『苦しかったときの話をしようか』森岡毅:天才マーケターも人である。いかに生きるかを考えさせられる本
手にとったきっかけ
私がこの先の事業立ち上げについて相談をしたコンサルタントの服部慎也さん(twitter→ @FACTDEAL)から教えていただいたのが、読もうと思ったきっかけ。
あらすじ
USJの経営再建に携わり、見事に復活を果たした立役者の森岡毅さんが、自らの子供が、キャリアの判断に困ったときに役に立つように虎の巻を授けたいと考えて書いていた原稿を本にしたものだそうだ。
書かれている内容は、こういったことだ。
・会社に依存せずに、自分の能力を磨いていくことの大切さ。
・きれいごとでは説明できないこの世界の(資本主義社会の)本質について。
・自分自身の強みを知って売り出していく方法。(自分マーケティング)
・森岡さん自身の、体調を崩すほど辛かった時代の話。
・精神的な不安や能力的な不足部分といかに向き合うか。
特に心に残った部分
この本を読んで、一番唸らされたのはこの部分だ。
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「会社が給料を払っている対象は、君の強みに対してであり、君が弱みを克服する努力ではない」p.276
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この本では自分の強みを発見し、それをどう表現するかにページ数が多く割かれているが、その理由はこの文章に凝縮されている。
「会社は学校ではない」という言葉を聞いたことがある。
学校であれば「毎日がんばりました」で評価されるが、会社が評価するのは結果だ。
それならば弱みを克服することに時間を使うのではなく、強みを用いて結果を出すことに時間をかけたほうがいい。
会社は強みを評価して、給与を払っているのだ。
また、この文章は管理職として読むと、部下の弱み克服に力を入れるのではなく、強みを伸ばすことに注力する方が良いことが分かる。
自分自身の部下の育成についても考えさせられた。
感想
この本は、出版するつもりではなく、子どもたちに向けて書いていたものを大きく手を入れずに書籍化したそうだが、それがリアルさを生み出していて、著者の森岡さんに直接語りかけられている気持ちになる。
(そのせいで森岡さんを私の父の年代だと思いこんでしまったほどだ。実際は2歳しか違わない)
自分の経験と考えてきたことを余すことなく伝えようとしているため、この本の主眼は働くことに置かれているが、最終的には「生きるとはどういうことか」まで考えさせられる内容となっている。
自分のこれまでを振り返り、これからを考えさせられる本だった。