【快投!】村田兆治は、引退後もプロ野球選手であり続ける 2015年4月18日
武蔵ヒートベアーズの初戦を記念するセレモニーで、村田兆治とパンチ佐藤の一打席対決というエキシビションがあった。
村田兆治が現役を引退したのは1990年だが、今でも「プロ野球選手」と呼べる投手である。
村田兆治、登場
セレモニーが始まると、村田兆治(65歳)は懐かしのロッテオリオンズのユニフォームを着て登場。
グラウンドの片隅で投球練習を始めた。
何球も何球も肩の調子を確かめるように投げ続ける。
そのうち徐々に後ろに下がって、投球の距離を伸ばしていく。
どんどん下がる。さらに下がる。
最終的には70mほどの距離で遠投をしていた。
実際のマウンドと打席の距離は19m足らずということを考えると、エキシビションの準備にしてはかなり過分に思える。
その後、入念にストレッチをし、マウンドに向かった。
投球開始!
元気よく打席に入るパンチに対して、マサカリ投法と呼ばれる独特なフォームで、一球目、ストレートを投げ込む。
相変わらず速い。130kmは超えているはずだ。
二球目、三球目。パンチは手が出ない。
そして徐々に盛り上がっていた客席が静まり返る。
観客も、村田兆治の投球に引き込まれてしまった。
2ストライクまで追い込んだ。
ここまできたら、最後の決め球はアレのはず。
客席の期待が高まった時、村田兆治が、ボールを握った手をパンチに見せつけながら叫んだ。
「パンチ!次、フォークな!」
村田兆治の代名詞、落差の激しいフォークボールを目の前で見られる喜びが客席に広がる。
フォーク一球目。パンチは見逃す。判定はボール。
投手も打者も一呼吸入れ、観客席の緊張は最高潮になる。
フォーク二球目。パンチは空振り。
勝負がついた。
歩み寄る両者の笑顔を見て、場内の緊張もほどける。
しかし、球場の空気は確実に変わった。
なごやかな中にもピリッと引き締まった感覚が残っている。
村田兆治を今でもプロと呼ぶ理由
球場の雰囲気をがらっと変えられる投手はそう多くない。
近年で言えばダルビッシュと田中将大くらいか。
そして試合ではない、たった一打席のエキシビション対決で空気を変えられる投手はどれだけいるのだろう。
たった500人足らずの観客のために入念に準備をし、最高のパフォーマンスを見せた村田兆治に、プロの仕事の意味を見せつけられた。
村田兆治は1990年にプロ野球選手を引退したって?
いや、彼はいまだに現役のプロだ。きっと死ぬまでプロ野球選手であり続けるのだろう。
そして今夜もまた、次の登板に備えて激しいトレーニングをしているのだろう。
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