近鉄ファンの呟き
この週末は、京セラドームに野球を見に行っていた。
今は応援団が応援できないので、京セラドームには応援団の横断幕が掲げられていた。
筆頭に置かれているのは、「いてまえ魂 青波魂」という幕。
いてまえ魂は、近鉄バファローズの魂のこと。
青波魂は、オリックスブルーウェーブの魂のこと。
これを見て、少し複雑な気持ちになった。
私たちは、いつまでこだわるのだろう?
私自身は、一生抱え続けると思う。
2004年に近鉄消滅後、オリックスの試合を見られるようになるまで5〜6年かかったし、オリックスを応援できるようになったのはオリファンのポンタが発見された2016年からだし、今でも私はあの球団が「バファローズ」と名乗ることを認めていない。
(もう一つ言うと、私は「オリックスを応援している」という言い方をするけど、「オリックスファン」とは名乗っていない。自分がオリックスファンとは思っていない。)
それでも、「私たちはいつまでこだわるのだろうか?」と感じたきっかけは、去年、中学生のオリックスファンに会ったことだった。
球団合併後に産まれた彼女は、B(阪急)もBu(近鉄)もBW(旧オリックス)も知らず、Bs(現オリックス)だけしか知らない。
無邪気に「山岡泰輔くん、かっこいい!」とはしゃぐ彼女に、私たちの悲しみを伝える必要はないのではないかと感じたのだ。
球場で、「いてまえ魂 青波魂」の横断幕を見て、「私たちは、いつまでこだわるのだろう?」と思った。
今、オリックスにいる選手は、全員が球団合併の後に入団した選手ばかりだ。
でも、球団合併後に産まれた楽天(近鉄消滅がきっかけで生まれた球団だ)ファンの少年からの「なんでしずかちゃんは弱いオリックスを応援しているの?」の問いを受けて、一つの答えが出た。
応援している球団は、いつまでもそこにあるわけじゃないこと。
ちゃんと応援の声を届けないと球団が消滅しちゃうこと。
お金だって落とさないと、球団は維持できないこと。
大好きな選手に大好きと言えることは当たり前のことではなくて、それは特別な幸せなことだってこと。
このことは伝える価値があるって思ったのだ。
「いてまえ魂 青波魂」を見て「あれは何?」と聞いてくれた人に、大好きと言える球団がある幸せと、応援することの大切さを伝えることはできる。
これは球団だけではなく、お店とかアーティストとか、いろいろなものに当てはまる。
大切なものがあるのなら、積極的に応援していかないと、ある日突然無くなっちゃうかもしれないんだ。
無くなりますって発表があってから、慌てて「無くさないで!」って署名したって遅いんだ。
あの悲しみを引き継がないために、覚えておいた方がいいことなのかもしれない。
あともうひとつ、気が付いたこと。
あの日、近鉄バファローズを守れなかったことが悔しくてたまらなかったけど、パリーグを守ることはできている。
よかった、何もできなかったわけじゃなかった。