働くママの能力を活かせば、全ての社員が働きやすくなってくる
『部下が全員働くママになったら、私の残業時間が減ったという話』を読んだ働くママから「こういう風に思ってくれるのは一握りだけ」とため息混じりの感想をいただいた。
そして、このとき同じチームだった働くママ本人がこの記事を読んで「これは理解ある上司のおかげですm(_ _)m」とメッセージをくれた。
「働くママ」だからではなく「優秀な人が働くママになったから」、業務が効率化できたのでは、という感想もいただいた。
私は理解ある上司ではなかった
こんなはずではなかった、というのが最初の感想
まず最初にいうと、私は理解ある上司ではなかった。
チームのメンバー2人とも、私が採用に関わったのだが、採用した時点で既に子供がいた。
そのときは、まさか子供というものが、こんなに体調を崩すものとは思っていなかった。
保育園に入ったばかりの時期はいろいろあるだろうけど、1ヶ月もすれば体調が安定するものと思っていたので、その後、食中毒、プールによる結膜炎、溶連菌、インフルエンザ…と続々とくる試練の時期に愕然としたものだ。
働くママを基準にすればいい
多くの会社では、残業ができる人たちのルールに働くママを当てはめているのではないだろうか。
そうすると働くママには残業や休日出勤ができないと言われて、「働くママは融通がきかず使えない」と評価されてしまう。
しかし私の部署では、子供がいない私の方が少数派だったので、私が働くママの仕事ぶりに合わせる形となった。
そうしたところ、この記事に書いた通り、そもそも残業が必要のない環境ができあがった。
まさかこうなるとは思っていなくて、ほんとうにびっくりした。
彼女たちが特別に優秀だったのか
事務職は未経験だった
彼女たちが優秀だったかと聞かれると、「とても優秀だった」と迷わず答える。
しかし、事務のスペシャリストを採用したのかといわれると、そうではない。
私が採用したときの採用基準は「何が起きても動じず柔軟な対応ができる人」だった。
お願いする仕事は伝票の入力作業のみの予定だったので、事務職の経験やパソコンスキルは度外視していた。
採用した二人とも接客業出身者で、うち一人は事務職が未経験。
パソコンはブラインドタッチができるけれど、エクセルの関数にはあまり詳しくない、という状態だった。
成長スピードの早さに舌を巻いた
彼女たちの仕事を覚えるスピードは早かった。
限られた時間で仕事をこなさなければならない、というプレッシャーがあっただろう。
「休みが多くて申し訳ない」という気持ちも、彼女たちを駆り立てていたかもしれない。
そして、こういう根拠のない推測もしている。
例えば、職場でも身近に成長著しい人が一人いると、つられて他のメンバーも成長することがある。
ということは、子供という成長著しい存在と向き合い続けているママは、否が応でも成長しまくるのではないだろうか。
ともかく、私のチームのメンバーたちは、次々と仕事を覚えて、どんどん業務を効率化して、「手が空きました!何かやることないですか?」と聞いてくる。
私が抱えていた仕事を渡すと、それも覚えて見事にこなせるようになる。
数ヶ月後には、最初に考えていた「伝票入力部隊を作る」という目論見を超えて、経理課の一員として立派な戦力になってくれた。
働くママの優秀さ
つまり、彼女たちは最初から経理としての能力が高かったわけではない。
ただ、仕事に向かう姿勢はとても素晴らしかった。
そしてこれは彼女たち二人だけが持つ特殊な能力ではないと思う。
「限られた時間で仕事をこなさなければならない」というプレッシャーと、「休みが多くて申し訳ない」という気持ち、それだからこそ、仕事に対して真摯に向き合う。
こういう思いは、多くの働くママが持っていると思う。
働くママを活かすための発想の転換
5歳の子供がいる私の友人は「残業ができないなんて、責任感がない奴だ」と上司に怒られ、泣いていた。
怒られはしなくても、働くママが「この部分を解消すれば効率化できるのに…。」といった改善案を持っていても、「そんな余計なこと考えていないで、まずは決められた仕事をしろ」などと言われているのではないだろうか。
働くママが能力を発揮できる環境は、全ての社員にとって働きやすい環境だ
こういったことは、今ある環境に働くママを当てはめようとするから起きる。
これでは、働くママの能力を活かすことはできない。
しかし、働くママが能力を発揮できるような環境を作ればどうだろう。
彼女たちの強みであるマルチタスク能力や仕事に対するスピード感をフルに活かしてもらえば、どんどん無駄な業務が削減できて、シンプルにやるべきことができる環境が整うだろう。
そうすると、全ての社員にとって働きやすい環境が自然にできあがる。
私も実際に経験するまでこういう発想はなかったから偉そうには言えないが、今ではこう確信している。