自分の価値の計り方。金額換算する場合は時給だけではなく年収でも考えよう
自分の価値を考えるには時給がいいか年収がいいか
以前書いた採用面接の記事に、自分の価値を時給では考えたことがあるけど、年収ベースでは考えたことがなかったと感想をくれた仲間がいた。
https://koto1.com/archives/2456
そう言われて、もともとは私も自分の仕事を時給で考えていたことを思い出した。
しかし、今では自分の仕事を時給換算では考えていない。
そのターニングポイントは、やはり採用面接の場にあった。
もとは自分の仕事を時給で考えていた
そもそも私が自分の仕事の価値を給与と結びつけて考えるようになったのは、人材派遣会社に転職してからである。
人材派遣業は、時節によって上下はするが、この仕事は時給いくら、という大よその目安が決まっている。
秘書業務だったらいくら、経理業務ならいくら、というように仕事ごとに分かれており、さらに経理の中でも、単純に会計ソフトへ入力するだけだったらいくら、自分で仕訳をきれるといくら、決算補助ができるといくら、といった時給テーブルがある。
いくつかのテストと面談によって派遣就労希望者のスキルを時給テーブルに当てはめる仕事をしていたが、それは、自分の仕事が世の中的には時給がいくらにあたるのかを常に突き付けられているのと同じことだった。
その後、経理部に異動した。
経理は未経験だったので、私のスキルは、経理の時給テーブルの一番下の「伝票入力補助」レベルだった。
それからは、新しい仕事を覚えるたびに、派遣だったら時給が50円上がった、と意識していた。
そして数年が経ち、経理の時給テーブルの一番上に位置する「年次決算を取りまとめられるレベル」まで来たと思えるようになった時、転職を考えたのである。
転職活動で自分の価値に気づく
人材紹介会社に登録をし、転職活動を開始した。
名の知れた大手の会社の年次決算ができるレベル、という私の職務経歴書は見栄えが良く、書類選考はほぼ落ちることがなかった。
面接の感触も悪くなかった。
私は経理に向いていない?!?!
とある会社の面接で、面接官と盛り上がり、私が入社したらあの店に飲みに行こうという具体的な話にまでなった。
私はその会社に入りたかった。
しかし、筆記テストで落とされた。
その筆記テストは経理のスキルを見るものではなく、性格テストのようなものだった。
落ちた理由は「性格が経理に向いていないから」だ、と聞いて、激しい衝撃を受けた。
それまで8年も経理をやってきた。スキルも身につけた。仕事は楽しかった。
それなのに、この8年間の経験を、たった20分のテストで否定されたのだ。
もし落ちた理由が「うちの会社の社風に合わないから」だったら納得できただろう。
そうではなく、8年も楽しくやった仕事を「向いていない」と言われたのだ。
衝撃以外の何ものでもなかった。
自分の性格を振り返る
しかし、落ち込んでいてもしょうがない。
入社時に受けたSPIの結果が残っていることを思い出し、昔のファイルを引っ張り出した。
私の性格類型は「EN’FP」となっていた。
この型の特徴をいくつかピックアップしてみる。
・長いスローな仕事に耐えられない
・従来どおりのやり方に従うのが嫌い
・確実性が低い
・堅実性は薄い
・計画的ではない
そこに書かれているのは、経理に向いていないと言われても否定できないことばかりだった。
どうやら本当に、私は、経理には、向いていなかったのだ。
自分の仕事を振り返る
あらためて自分の仕事を振り返ってみた。
ルーチン作業を繰り返すのが何よりも嫌いだった。
常にもっと楽ができないかと、業務を削減することばかり考えていた。
実際ずいぶん削減もした。
新しいルールを現場の状況に合わせて具体化し、実際の作業手順に落とし込む、という仕事もしていた。
従来のやり方を壊して、新しい仕組みを作る仕事は好きだった。
そして、これらは経理らしくない仕事だと、このときに初めて気がついた。
方針転換をする
それまでは転職先は上場会社を考えていた。
非上場の大会社で経理の時給テーブルの一番上まで行けたので、次は上場会社で経理の時給テーブルのトップを目指すことで、スキルアップをしようと考えていたのだ。
しかし、経理に向いていないと自覚した以上、経理としての王道を行くのは諦めた。
その代わり、従来の仕組みをバージョンアップできる経理、新しい仕組みを作ることができる経理として、自分を磨いていこうと決めたのだ。
こう書くと前向きに見えるが、当時は、経理の王道を泣く泣く諦め、かといって経理しかできることがなかったので、消去法でこう考えた、という状況だった。
そうして、私は、転職先に、設立2年ほどの全社員が数名の小さな会社を選んだ。
社長がやっていた経理的作業を巻き取って、会社に経理の仕組みを導入するのが最初の仕事だった。
そこで起きた意識の変化
時給で考えることがなくなった
経理の王道を諦めると同時に、私は経理の時給テーブルから外れざるを得なかった。
新しい仕組みを作り定着させるには、数ヶ月以上かかる。
経理は1年単位のルーチン業務もあるので、丸一年経たないと一通りの経験ができないという事情もある。
そうなると、自分のスキルを時間単位で切り売りするのではなく、年単位で自分が何を提供できるかを考えざるを得ない。
自然と、自分の仕事を時給換算する癖は無くなっていった。
時給と年収の意識の違い
今でも自分の時給を意識する場面はある。
例えば自分の仕事を外注に出すとき、削減される時間に時給を掛けて、外注費と比べたりする。
この場合の時給計算は、今の年収÷12ヶ月÷20日÷8時間で算出している。
しかし、時給で自分の仕事を考えていたときと、今で、意識は大きく変化した。
かつて自分のスキルから時給を判断していたときは、時給を増やしたければ自分のスキルをアップさせるしかなかった。それはすぐにできないので、労働時間を長くするという発想になっていた。
年収から時給を割返している今は、時給を増やすには、労働時間を減らせばいいと考えている。
収入を増やすためには、労働時間を変えなくても、アウトプットの質を高めればいい、という発想もできるようになった。
経理としてのスキルアップに限界を感じ、かといって、労働時間を増やしたくない私は、この新しい発想によって随分と気持ちが楽になった。
そして実際に、希望の年収を手にしつつ労働時間を減らし続け、ついに残業をしない生活ができるようになった。
時給と年収、どちらで考えるのがいいか
自分の価値を測るのに、時給ベースも年収ベースもどちらの考え方もできるが、時間に縛られたくないのなら、年収ベースがおすすめだ。
1日が24時間と決まっている以上、労働時間を長くして収入を増やすことには限界がある。
時間に縛られない自分の価値を見つけ、時間を切り売りする以外で収入を増やす方向に発想をすると、可能性が広がっていく。
おまけ
最後に私の名誉のために、ENFP型のいいところを書いておく。
・活動的で打ち解けやすい
・独自のやり方を工夫する
・本質を洞察する
・人の気持ちや感情に敏感
・調和を尊ぶ
・臨機応変で融通がきく
自分では当てはまっているつもりでいるが、実際はどうだろう。