必要なのは仕事ができる不機嫌な人ではなく、空気を明るくできる人である
不機嫌を垂れ流す人
不機嫌さをすぐに表に出す人がいる。
つまらない顔をして、ふてくされた態度をとって、やる気がないことを全身でアピールする人だ。
誰に文句を言うわけでもないが、話しかけても無視したり、返事がきつい口調だったり、物を机の上に投げつけるように置いたりと、機嫌の悪さを垂れ流す。
何か不機嫌になるようなことがあったのだろうが、そういう人が一人いるだけでこちらの気分も悪くなる。
不機嫌になっていいことがあるのは子供の時だけ
どうして、思い通りにいかないときに、拗ねてふてくされてしまうのだろうか。
それは、幼いときに身体に染み付いた記憶のせいである。
拗ねたら周りがチヤホヤしてくれた、幼い子供の記憶を忘れていないのだ。
食べたくないものをポイッと放り投げたら、ママやパパが「美味しくなかった?ごめんねー」と片付けてくれたあの日。
機嫌悪く泣き叫べば、「どうしたの?お腹空いたかな?眠いのかな?それともトイレかな?」といろいろ原因を探って構ってくれたあの日。
しかし、大人になった自分には、あの日のパパとママはもういない。
自分の気持ちは自分で整理をつけなければいけないのだ。
もし今も拗ねた態度をとることで、周りが察して状況を改善してくれることを望んでいるのなら、自分がやっていることは乳幼児と同じだということを自覚しよう。
2歳であれば、どんなにイヤイヤ言っていてもパパやママは根気強く待ってくれる。
しかし会社にはパパもママもいない。
不機嫌さを表に出しても給料は上がらないし、面白い仕事が貰えもしない。
不機嫌を垂れ流す人は会社にいらない理由
「空気」というものがある。
「空気を読む」として使われる空気だ。
不機嫌さを垂れ流す人は、場の空気を悪くする。
空気は、悪くなると重くなり、人の動きを鈍くする。
空気が重くなると声を出すのも億劫になり、隣の人とコミュニケーションをとることでさえ遠慮したくなる。
これが不機嫌を垂れ流す人が会社にいてはいけない理由だ。
誰か一人が不機嫌を垂れ流すだけで、会社全体の空気が悪くなり、その場にいる人全員の動きを鈍くする。
もし能力が高い人が揃っていても、鈍い動きしかできなければ力を発揮できない。
いくら効率化といっても、全員の動きが鈍くなってしまえば意味はない。
不機嫌な人が一人いるだけで、各人の能力の高さも、仕事をスムーズに回すための工夫も、全てが無駄になってしまうのだ。
いくら不機嫌を垂れ流す人が能力が高い人であっても、他の全員の足を引っ張るようでは組織に貢献しているとはいえない。
2歳児を雇用する会社がないように、どんなに仕事の能力が高くても2歳児のような不機嫌の垂れ流しをする人は会社にいる必要はないのだ。
不機嫌は自分のためにもならない
自分の思い通りにいかないときに不機嫌になっても得るものはない。
しかし、精一杯頑張ることは自分の能力を高めることに繋がる。
不機嫌を乗り越えることで身に付くもの
例え自分が望んだ仕事でなくても、その中で工夫をし続ければ、その経験は自分の力になっていく。
次に自分の得意なことをしたときに、その工夫をする力がさらに自分を飛躍させてくれるだろう。
自分の得意なことをしていても、全てが順調に進むわけではない。
行き詰まったときに、思い通りにいかない中で工夫した経験が活きて、突破口を掴めるかもしれない。
自分の希望通りではないことをするのは回り道に感じるかもしれないが、この経験が、この先の人生の特急切符に変わるかもしれないのだ。
だが、拗ねて何もしなかったら、成長しない。
同じところに立ち止まったまま周囲の景色が変わるのを待つだけでは、自分はどこにも行けないのだ。
大人は自分で人生を変える
仕事を例に書いたが、人間関係を含めた全てにおいて同じである。
思い通りにいかないからと、拗ねて周囲の気づきに頼っているうちは、周囲からの評価は上がらず、自分自身も全く成長しない。
思い通りにいかないなら、自分から現状を変えなくてはいけないのである。
今自分がいる環境の中で、精一杯頑張って、自分の能力を高めて、次の場所へ行く準備をする。
「努力をすれば、必ず誰かがその姿を見てくれているよ」と言うつもりはない。
ドラマのように都合よくいかないのが世の中だ。
しかし、努力をした結果は、自分の血となり肉となり、これは必ず誰かの目に触れる。
大人は、自分の人生を自分で切り開くことができるのだ。
空気を明るくする人
不機嫌になる人とは逆に、空気を明るくする人もいる。
明るい空気は軽やかで、中にいる人も自然と動きが軽やかになる。
空気が軽いと心も軽くなり、前向きになれる。
明るい空気の作り方
空気を明るくするために、難しいことをする必要はない。
やろうとさえすれば、誰でもできる簡単な3つのことをすればいい。
1.挨拶をかかさずする
2.話しかけられたら明るい声で返事をする
3.「ありがとう」を面倒がらずに言う
小学校で習うような人間関係の基本であるが、とても大切なことだからこそ基本として習うのだ。
それなのに、この基本は大人になると忘れ去られてしまいがちである。
今一度、基本に戻るだけで、明るい空気が近づいてくる。
挨拶さえもしずらい環境では
明るい空気の作り方の三要素は、特別なスキルが必要なことではないはずだが、常に空気が重い環境では、この3つをすることでさえ難しいだろう。
そのときは空気をぶち破る力が必要になる。
空気をぶち破る力の材料は「思い切り」である。
空気が読めない困った子のふりをして、思い切って「おはようございます!」と言うところがスタートだ。
最初は孤軍奮闘している気持ちになるだろう。
しかし、人間は、誰もが重い空気より明るい空気を好む。
例え自分一人だけでも明るい空気を発するようにしていると、自然と他の人が明るい空気を求めて吸い寄せられてくるようになる。
そして、明るい空気を吸った人は、自分でも明るい空気を発するようになる。
そのうちに、明るい空気の濃度が少しずつ濃くなって、だんだんと重い空気を発する人は居心地が悪くなっていく。
会社の業績をあげるのは空気を明るくできる人
仕事ができる不機嫌な人より、仕事に多少のミスがあっても空気を明るくできる人の方が、会社への貢献度は高い。
会社という場所は、赤の他人が寄せ集められ、一日の相当な時間を共に過ごす場所だ。
友達同士の集まりではないのだから、好ましい人もいれば好ましくない人も当然にいる。
そういう場だからこそ、それぞれの時間を気持ち良く過ごすために、居心地のよい空気を作ることを心がけるようにする。
この心配りが社員全体の能力を発揮させ、会社の業績を大きく左右する重要な要素となるのだ。