社会心理学を専攻して分かった人間心理の本当の魅力について


私は大学では社会心理学を専攻した。
人間の心と行動を学びたかったのだ。

そのため「人間行動」と名のつく学部を持つあちこちの大学を受験した。
合格した大学では社会心理学と文化人類学のゼミがあり、私は社会心理学のゼミに入った。

社会心理学で学んだこと

社会心理学とは、社会という集団の中で、個人の思考や感情や行動が受ける影響を解明しようとする学問である。

社会心理学の有名な実験

授業は面白かった。
特に様々な実験の話は興味深かった。

「吊り橋理論」と呼ばれる実験は有名なので、聞いたことがある人も多いだろう。
それは、こういう実験だ。

対象は若い独身の男性。
渓谷に架かる吊り橋で行われる。
橋は、揺れるものと揺れないものの二種類がある。
男性に橋を渡ってもらい、橋の途中で若い女性(サクラ)が突然アンケートを求め話しかける。
その際に理由をつけて女性が電話番号を教える。
後日、揺れる吊り橋で実験を行った男性の50%が電話をしたのに対し、電話をした揺れない橋の男性は12.5%のみだった。

恋に落ちると胸がドキドキする。
それだけではなく、胸がドキドキしているときに異性と出会うと、その異性に恋をしていると自分自身が誤認してしまうのだ。
(なお、男女を変えて行われた実験では、揺れる橋も揺れない橋も結果が変わらなかった。この誤認は男性特有のものらしい)

その他にも、「定食屋で松竹梅と三種類あれば多くの人が竹を選ぶ」であったり、「行列がある店は美味しそうに感じる」なども社会心理学の実験で判明した人間の行動である。

社会心理学の落とし穴

ところが、社会心理学を学べば学ぶほど、私は違和感を感じるようになった。

確かに社会心理学の様々な実験によって、人間にありがちな行動が見えてきた。
それは、人間の平均的な特性と言えるだろう。

しかし、同時にこうも感じた。
「こんな人は、実際にはいないよな…。」

人間はあるときは吊り橋を渡って恋に落ち、あるときは竹の定食を食べ、あるときは行列に興味を持つかもしれない。
とはいえ、全ての人間が常にそういう行動を取るかというと、そんなことはない。
人は、吊り橋を渡るたびに恋に落ちるわけではないし、松の定食を奮発するときもあるし、行列に見向きもせずに恋人との待ち合わせ場所に急ぐときもある。

社会心理学の実験結果通りに常に行動する人は、実はこの世にいないのだ。
人間を知りたくて社会心理学を学んでいたが、学べば学ぶほど、一人一人の人間の特性からは離れていくのを感じたのだった。

人間の面白さ

私は人間が好きだ。
人はそれぞれ、悩み、迷い、笑い、努力しながら生きている。

人間の面白さは、実験の結果から外れたところに常にある。

例えば、定食屋で食事をしている人に、そのメニューを選んだ理由を聞いてみる。
竹を選んだ人の中には「えー。なんとなく」と答える人も多いだろう。
しかし、わざわざ松を選んだ人は「給料日なので奮発して」や「今日の会議のプレゼンがうまくいったから」や「厚岸のカキフライという響きに惹かれて」など、個人的な選んだ理由があるだろう。
話を聞くなら、その個人的な話の方が面白い。

行列に並ぶ理由だって、「他の皆が並んでいるから」という理由で並ぶ人より「この店で3時から売り出されるスペシャルメロンパンがいかにスペシャルなのか」を熱く語る人の方に人間味を強く感じる。

人間の平均値から外れたところに、その人独自の感性があり、それが魅力となるのだ。
 

心理学の実験通りに常に行動する人がいないということは、この世に個性的ではない人は一人もいないということだ。
人は皆、思考や感情や行動が違っていて、違っているからこそ面白く、魅力的なのだ。

私が社会心理学から得た一番大きな学びはこのことだった。
人間は、すべて違う。
平均の丸からはみ出た尖ったところこそが、人間の魅力であるのだ。

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