心のこと

『そして<彼>は<彼女>になった』毒親から安冨歩さんと友人が逃れるまで

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そして<彼>は<彼女>になった

「ツレがうつになりまして」を描いた漫画家・細川貂々さんの新作、『そして<彼>は<彼女>になった』を読んだ。
この漫画は東大教授の安冨歩さんとそのご友人のふうちゃんが主人公である。
安冨歩さんは、女性装者で東大教授という肩書きも興味深いが、美しくたおやかな笑顔で現代日本をバサバサ切る発言の内容が更に興味深く、私が今とても気になる方の一人である。

この本について

本の内容は、ざっくりと3つに分けられる。
細川貂々さんの画風のおかげで、ほっこりした話に感じるが、実はそれぞれ壮絶な話である。

自分を閉じ込める檻に気づくまで

ふうちゃんは、母親に「私はあんたを産んだとき失明同然になったのだから私を養うのが当たり前」と言われ続け、自身の結婚ですら母親の希望を叶えるためのものと思うほど、母親に縛り付けられていた。
やっくん(安冨歩さん)は、毎日のように奥さんからなじられ、行動を監視され、疲れ果てていた。

檻から出ようと、決意し、戦う

入院先にまで悪態をつきに来る母からの攻撃から逃れるには、死ぬしかないのかと追い詰められ、でも生きたいと苦しむふうちゃん。
自分のことも子供のこともなじる奥さんから逃げるには、死ぬしかないのかと絶望するやっくん。

私たちは同じ敵と闘う仲間なのでは…!と気づき、二人は戦い始める。

本当の自分を探しに行く

母親と生活空間を分けることができたふうちゃんと、離婚が成立し母親からも独立したやっくん。
でも心の中には、マイナス癖が残っていた。
そのマイナス癖から脱却するために、自分らしく正直に生きる方法を模索していく。
(その過程で、やっくんは女性装に目覚めていった…!)

この本から学んだ大切なこと

一人では闘えない

私は、かつてブラック企業にいたことがある。
心をガチガチに支配されていた。
友人達が、私に自分自身を客観的に見る機会を与えてくれなかったら、あそこから抜け出せなかったと思う。

自分の心を他者に支配されると、自分を否定して考えるため、支配されている状況を苦しく思う自分がおかしいと思うようになり、支配されている状況に適合しようとしてしまう。
自分がいる状況を客観視し、支配から逃げ出していいと気づくためには、他者の手助けが必要だ。

たった1年のブラック企業生活でさえ、そういう状態だったのだから、常に一緒にいる家族、特に生まれた瞬間から一緒にいる母親から逃げ出すには、ますます一人では難しいだろう。

他人に心を支配されていると人と会うのが億劫となり引きこもりになりがちだが、ふうちゃんとやっくんの闘いを見て、やはり一人では闘えるものではないという思いを強くした。

 

逃げ出すことが終わりではない

支配される状況がおかしいと気がついて、そこから逃げ出せたとしても、それで終わりではない。
他人の支配を受け入れる心の癖が残っているのだ。

他人に支配されることは、心の拠り所を他人に預けるということでもある。
毒親、毒家族、ブラック企業から逃げ出すということは、自分を支配していた他人から心の拠り所を奪い返すということだ。
しかし、人間には心の拠り所が必要なので、次の心の拠り所を見つけないと、不安定になってしまう。

せっかく逃げ出しても、すぐに元に戻ってしまう人や、逃げ出したのに、次に同じような恋人を作ってしまう人がいる。
これは、新しい心の拠り所の見つけ方がわからないため、今までと同じ心の拠り所を求めてしまったときに起こる。

心の拠り所を他人に求めてはいけない。
自分自身を、心の拠り所とするのだ。

自分らしく正直に生きることができるようになったとき、自分自身が心の拠り所となっていく。

続編が読みたい!

ふうちゃんとやっくんは、今、自分らしさを取り戻している最中だ。
その過程として、こういう記載がある。

P126 ふうちゃんとやっくんは自分自身の中にある問題のタネ、悪い状況を引き起こしているものを発見してはそれをとりのぞく作業をしました

これは、私の周りでは「ビリーフを外す」という言葉で話されていることである。
さらりと一文で語られているが、ここだけで一冊の本になるくらい、とても重要なことだと感じる。
二人が、どんな問題のタネを見つけて、どうやって取り除いていったか、もっともっと知りたいと思った。

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