81。総合芸術という名のレストラン。特別な世界観を体験しに広尾へ
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憧れのお店、というものがある。
行きたいなあ、と思いつつ、なかなか行けない。
行けない理由はお店によって様々だ。
敷居が高い、値段が高い、予約難易度が高い…。
これから紹介する「81」も、2年ほど憧れ続けた店である。
81とは
私が始めてこの店を知ったのは、高城剛さんのメルマガだった。
オーナーシェフの永島さんが「レストランは総合芸術」と語っているのを見て、とても興味が湧いた。
美味しいものを提供するのが目的ではなく、空間全てを使い五感を刺激する体験型の芸術の提供が目的であると知り、ぜひとも私もその空間に身を置きたくなったのだ。
体験型芸術と聞いて、敷居が高く感じた。
値段も高く、予約難易度も高く、さらに開始時間を合わせるのも大変だ。
というのも、81のメニューは決められたコースのみで、提供時間が18時からと21時からの2部制となっている。
18時までに広尾に行くには会社を早退しないといけないし、21時開始だと朝型生活の私は眠くなってしまう。
また、一人での予約は受け付けていないので、一緒に各難易度の高さを乗り越えてくれる同志を見つける必要もある。
そんなこんなでこの店のことを知ってから2年後に、ついに訪問が叶ったのだった。
81の入り口
広尾駅から10分強ほど歩く。
途中坂道なので、頑張って歩く。
いかにも高級住宅街と感じさせる建物が並ぶ。
これが81のある建物の入口だ。
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コートヤードHIROO入り口
門をくぐったのはいいが、そこから先の入り口が分からない。
店は2階と書いてあるが、2階に上がる階段が見つからない。
迷ってキョロキョロしていたら、1階のスポーツジムのようなところから招き入れられた。
ヨガスタジオの受付のようなスペースだが、ここが待合を兼ねているらしい。
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待合場所の入り口。(帰るときに撮影したので夜がふけている)
このウェイティングエリアでは、アルコールとノンアルコール、どちらを希望するかを聞かれる。
こちらのお店は、飲み物もコース仕立てで出てくるのだ。
アルコールだとワインがメイン。ノンアルコールだとお茶がメイン。
ワインを大量に飲むと酔っ払うが、お茶を大量に飲むと身体に震えがくる(カフェインアレルギー)ので、アルコールを量を少なめでお願いした。
先にお支払いを済ませ、時が来るのを待つ。
81のメニュー
18時になり、移動を促される。
着いた場所は、真っ暗な空間だった。
薄明かりの中、シャンパーニュが振る舞われる。
ノンアルコールを希望した方には、甘くないブドウのスパークリングジュースだったようだ。
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ウェルカムシャンパーニュ。量は少なめver.(他の方はもっとたくさん注がれている)
一口二口飲みすすめたときに、奥の壁…と思っていたものが動いた。
そこが、舞台への入口だった。
黒が基調の装飾を最低限に抑えた空間。
アクセントは光のみ、と言っても過言ではないだろう。
コの字型のカウンターを囲んで座る。
今治タオルのふわっとしたおしぼりが、富山の錫のぐにゅっとしたトレイに載せられている。
渡されたメニューを見ても、何が出てくるのか見当がつかない。
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メニュー。帰宅後撮影
これから何が始まるのだろうか。
ついに、一皿めが登場した。
黒いグラスに入った、白いスープ。
蛤とジャガイモのスープだ。
蛤の甘くて濃厚な旨さが、じゃがいもの滑らかさと共に、喉の奥に滑り込む。
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真っ黒なグラス
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覗き込むと白いスープ
炭が入っているという真っ黒なパンも出てきた。(失礼ながら、最初、焦げているのかと思った)
パンが乗っている皿は、なんと硯だ。
本来なら墨が入っている部分にスペインのオリーブオイルがある。
パンはチーズの香りがする、ふわっとしたパンだ。
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硬そうな見た目だが柔らかい
新しいワインが供される。
シャトーヌフ・デュ・パプ2017。
ワインの成り立ちについても説明があるので、分からないながらも分かったような気分になる。
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左がシャトーヌフ・デュ・パプ。こちらも少なめの量でお願いした(以下同じ)
次の皿は海鮮だった。
アオヤギ、蛤、ヤリイカが、昆布の香りのクリームソースをまとっている。
軽く炙られたイカの香ばしい風味と貝の甘さがすばらしい。
揚げ春雨が春の雨を表している(らしい)。
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Rainy Shore と名付けられた一皿
海の香りを味わったあとは山の香りがするスープだ。
フキノトウを練り込んだ帆立のしんじょうに、コゴミ、タラの芽、ウドが添えられている。
アク取りが丁寧で、山菜のえぐ味は全く感じない。
干し貝柱と昆布の出汁は山菜の強さに負けていない。
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Flavor of mountain are borne on soft breezes
次のワインが出てきた。
余市NEIRO2017、バッカス。
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バッカスとはブドウの種類だそうだ
サクラマスが出てきたのだが、驚きの一皿だった。
見た目は生なのだが、フォークを入れるとまるできちんと火が入っているかのように身離れがいい。
それなのに、口に入れると生のようなとろっとした食感なのだ。
40度という低温でコンフィにしたのだそうだ。
添えられた茗荷のフリットは、とてもさわやか。
ソースはイクラを泡にしたものと、贅沢な親子共演を果たしている。
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Tidings of flowers
ここでもう一度シャンパーニュ登場。
コースの途中で、珍しいなと思ったら、なんとドン・ペリニヨン(2008)
ワインに詳しくない私でもさすがに知っている一瓶の登場で気分が更に盛り上がる。
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これが噂のドン・ペリニヨン
そんな高級なお酒に合わせる料理は何だろう?
正解は、ハンバーガーだった。
とはいえ、使われているのは伊勢海老だ。
伊勢海老のカツに、伊勢海老タルタルソース。
こんなに美味しいエビカツバーガーは他にないだろう。
ブリオッシュのほのかな甘味とエビの甘みが好相性だ。
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Toasting & the Burger。写真は2人前
次のワインはレ・トロワ・クロワのヴィラ・マリー。
生産本数の少ない希少なワインらしい。
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ヴィラ・マリー2014
そして料理は、81のスペシャリテ、カルボナーラの再構築が登場した。
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symbol of life, カルボナーラの再構築
一見、ただのゆで卵だが、スプーンを刺すと、ポンと弾ける感覚があり、白トリュフの香りが飛び出してくる。
注射器で卵の中に白トリュフオイルを仕込んでいるそうだ。
卵以外は、パンチェッタのソテー、クリームソース、周りにはパルミジャーノとペコリーノの2種のチーズ。
カルボナーラを一度分解し、違う形で登場させた一皿。
だから、カルボナーラの再構築なのだ。
卵を崩して混ぜるとカルボナーラが完成する。
壊して組み立てる。まるで人生そのものだ。
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うっとりする半熟具合
部屋ではレモングラスが焙じられ、爽やかな香りが漂っている。
宮崎県の山崎牛のステーキが登場した。
空豆と春キャベツ、できたてのリコッタチーズが添えられている。
赤身だが、柔らかい。
チーズがフレッシュで口直しになる。
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Jack and the beanstalk
メインは終了したが、ワインはまだ出てくる。
余市のHATSUYUKIというデザートワインだ。
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まろやかな甘さ
料理も最後の一皿、デザートが登場。
青梅の菜の花のハチミツのアイスクリームが、ハチミツのピューレのチップスとともに供された。
なんと、コースターにはシャネルの5番が吹きかけられ、アイスクリームを大人の顔に仕立てている。
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Bees shared honey for us
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グラス足元のコースターにシャネルN5
こうして、全8皿のショーは幕を閉じたのだった。
感想
これは、完全にショーである。
永島シェフの作り上げた世界を堪能した。
各皿、味はもちろん、見た目、香り、食感が全て計算され、しかも一皿一皿で流れる音楽まで変わる凝りようだった。
文字通り、五感をフルに使って楽しむ場所なのだ。
お店のスタッフが料理を出す動きまでも計算されていて、きびきびしていて気持ちが良かった。
なお、料金は食事とドリンクがセットで25000円(税込)。
この時間を夕食と捉えるか、五感が全て刺激される特別な体験と捉えるかで、この値段への感じ方が変わってくるだろう。
お店情報
81
東京都港区西麻布4-21-2 コートヤードHIROO
080-4067-0081
営業時間: 1st 5:30pm Open, 6:00pm Start、 2nd 8:30pm Open, 9:00pm Start
定休日:日・祝日
※完全予約制
インターネットでの予約も可。
公式の予約サイトはこちら→ table check 81予約ページ
日程によっては食べログからでも予約が可能→ 食べログはこちら
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