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しずかみちこ
Gallup認定ストレングスコーチ
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の専門家として、個人やチームが「強み」を活かして最大の成果を生み出すためのコーチングと研修をしています。

リクルートスタッフィングで経理したり、レアジョブの管理部門立ち上げたり、ブラック企業に入ったり、上司の横領見つけて辞めさせられたり、人の会社2つ作ったりと波乱万丈な職歴の後、独立して今に至ります。

投資と経理スキルでお金をデザインし、ストレングスファインダーで強みを活かしたら、人生が楽しくなりました。

趣味は野球観戦と美味しいものを食べること

収集心・最上志向・戦略性・未来志向・分析思考
ストレングスファインダーのnote
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葬式なし、僧侶なし、戒名なし。ただ火葬するだけの「直葬」で母を見送った話。

母が亡くなった。

母と父の双方の強い希望で、葬式なし、僧侶なし、戒名なし、遺影なし、お墓なし、喪服も不要という極限までにシンプルな形で見送りをした。
とても納得の行く、満足なお別れができた。

このような直葬という形式を選ぶ人も今は増えているというが、まだまだ少数派だとは思う。
我が家の経験を書き残そうと思う。

目次

直葬の流れ

母が亡くなってから、火葬が終わるまでの流れはこうだった。

2023年5月某日・夜

母の入院先の病院にて、死亡宣告を受ける。
まだコロナ体制中だったが、最期を看取ることができて感謝している。

5分か10分かを母と過ごした後、遺体をどうやって運び出すかを聞かれた。
病院が言うには、1時間半くらいで母を運び出す用意ができるから、それまでには運び出せるようにしてほしいとのこと。

あらかじめ見当をつけていた葬儀社に電話。
1時間半後のお迎えを了承してもらう。

エンゼルケアは病院の看護婦さんたちがしてくれた。
母のお気に入りの服を、あらかじめ病院に渡していた。
着替えて化粧をした母は、穏やかに微笑んでいた。

夜9時を回り、約束の時間に葬儀社の方が来てくれた。
母の遺体を葬儀社が用意した車に載せて、見送る。

病院に残った担当の方と、その後の打ち合わせをする。
葬儀プランを決め、金額と支払い方法の話をし、その後の流れを教えてもらう。

葬儀社の方が役所に死亡届を出してくれて、火葬の手配もしてくれた。
なるだけ早いタイミングで、という我々の希望通り、翌々日の朝一番の予約を取ってくれた。

翌日

一般的には枕飾りをして夜通しお線香を焚くのだろうけれど、我々は遺体を葬儀社に預けているので、火葬の時まで何もすることはない。

普通の一日(少なくとも表面上は)を過ごした。

翌々日

火葬場へ向かう。

葬儀社の方とは、火葬予定時刻の10分前に火葬場で待ち合わせをしていた。

見送るのは父と私の2人だったので、喪服は用意しなかった。
父は黒い薄地のセーターに黒いズボン。
私は黒いパーカーに濃紺のスカート。

安置所で母と最後の対面が出来た。
僧侶は呼んでいなかったが、葬儀社の方がお焼香の準備をしてくれたので、形だけお焼香をして、母と向き合う。

朝10時の火葬場には、私と父以外、火葬待ちの遺族は誰もいなかった。
静かな中で母と最後の対面が出来た。
棺の中に、家から持参した花とお菓子を入れて、数分の対面が終わった。


焼いている最中は、火葬場の待合室で待つ。
葬儀社の方との打ち合わせも待合室で行う。
骨壷を見せてもらい(大と小の2種類)、小に決める。

火葬場へのお支払いも済ませる。


火葬が終わり、呼ばれる。

骨を拾う。

母はお墓に入らず、散骨を希望している。
散骨をする際は、墓地埋葬法の規定で骨を粉になるまで砕かないといけない。
骨が多いと、粉にするにも手間が掛かる上に、海に大量の骨を巻くことにもなり気が引ける。
なので、3つだけ、骨を拾った。


葬儀の儀式は、これで全て終わった。

現在

今、母の遺骨は、実家に置いてある。
写真を飾り、家にあった線香立てに母が好んでいた良い香りの線香を立て、庭の花を飾っている。

父は、自分が存命のうちは手元に置くことを望んでいるため、それまではこのままにするつもりだ。
父が亡くなったら同じように最小限の骨を拾い、母の骨と一緒に散骨しようと思っている。

直葬に向いていない人

母の場合は、本人も家族もこの形式を強く希望したし、母を取り巻く状況も問題が無かったため直葬を選んだが、向き不向きはあると思う。

お葬式や結婚式といった儀式は、繋がり(もしくはしがらみ)を確認する側面がある。
なので、繋がりやしがらみを多く持っている人は、直葬には向いていない。
例えば、次のような人だ。

1.宗教と深い繋がりがある人

まず、宗教に帰依している人やお寺の檀家さんなどは、宗教儀式を抜きにして進む直葬は難しい可能性が高い。
その宗教に則った葬儀を行わないとお墓に入れてもらえない場合もあると聞くため、事前に確認しておいたほうがいい。

2.顔が広い人

直葬は直接火葬場に遺体を持ち込むため、大人数がお別れをいう場所がない。
人付き合いが良く、多くの人が参列を望むであろう人は、通夜や告別式で皆がお別れをいうタイミングを作ったほうが、後々楽であろう。

葬儀自体は直葬で行い、別でお別れ会を営んでもいいかもしれないが、手間という観点でいえば、葬儀社が主導で進めてくれる葬儀の方がスムーズに進むとは思う。
(故人らしさという点でいえば、葬儀社ではなく、故人をよく知る人がお別れ会を主催した方が希望通りになる可能性は高い)

3.身内が反対している人

お葬式は、残された人が気持ちを整理するために行う側面があるとも言われている。
反対している人がいるのに、強硬に直葬を押し進めると、後でトラブルが起きるかもしれない。

亡くなった後に身内の了承を取っている時間はないので、直葬を望む場合には事前に話を通しておく必要がある。

直葬をするために

我が家は極端にしがらみのない状況なので、直葬はしやすかった。

我が家は、付き合いのあるお寺や教会はない。
父も母もそれぞれの両親と長く離れて暮らしているため、親の檀家といったしがらみも関係ない。(父は次男だ)
お墓もなく、本家のお墓に入ることも拒否をしている。(お墓参りも一度もしたことがない)
母は一人を好み、全く友達がいない。
そして母自身の親兄弟は一人を除き故人である。(生存していると思われる一人とは連絡が取れなかった)

本人が直葬を強く希望したというのが大前提のうえに、心境に配慮すべき人も、葬儀に呼ぶ人もいないため、迷うことなく直葬を選択することができた。


儀式には繋がりを確認する側面がある以上、故人の希望だけでは進めにくい。
もし自身が直葬を望むなら、強い繋がりがある人には事前に直葬の希望があることを話しておいた方が良いと思う。

葬儀の一連の流れには、段階を踏んで進めていくことで、気持ちの整理がつくという側面もある。
感情が乱れているときは新たなことを考えるのが難しくなるため、形式に則って淡々と儀式を進めることが心の救いになる場合もある。
上の流れに書いた通り、直葬の場合、我が家では亡くなった日を含めて3日で全部儀式が終わった。
いつも通りに過ごした中一日を含めて、特別なことは骨を拾ったぐらいだ。
こういうものだという心の準備をしておかないと、心の整理がつかないまま突然放り出されたような空虚な心境になるかもしれない。

もし自分や家族が直葬を望んでいるなら、事前に周囲に理解を求めることはしておいた方がいい。
そして、家族も安易に同意をするのではなく、直葬がどういうものかをイメージして心の準備をしておいた方がいい。

直葬で良かった理由

父も私も、直葬での見送りにとても納得がいっている。

その一番の理由は、母が人を苦手としていたことが大きい。
母は警戒心が人一倍強い人で、父と私にしか心を許さなかった。
病院の看取りもそうだったが、最後のお見送りも父と私だけで送ることが、母にとって一番心が安らぐ状況だと自信を持って言えるので、これで良かった。

火葬場は緑に囲まれて(田舎なので付近一帯が緑に囲まれているのだが)、聞こえてくるのは鳥の声だけだった。
静かな環境で、母と父と私で最期の時間を過ごしたことで、父と私の心も和らいだ。

特別なことはほぼ何もない、日常生活の延長上のお別れが、私達家族にはちょうどいい形だった。

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