こんなに魅力的なのに、どうして誰も興味を持ってくれないの?と思ったときによむ話
とあるネジメーカーの求人に応募がくるまで
求人情報を作成する会社の人から聞いた話が興味深かった。
世の中に存在が知られていない小さな会社では、求人広告を出しても応募が全く来ないことが多くある。
その小さな加工所は、世界でも作れる人が少ない特殊なネジを作っている。
もちろん求人広告もその技術をアピールするものだ。
しかし、話を聞いた担当者の感想は「いくら世界レベルの技術といっても、僕はネジを作りたいとは思わないなあ…」だった。
その代わり、そのネジについて熱心に活き活きと話す社長の熱さに惹かれた。
この社長と一緒に働いたら、楽しいだろうな!
そこで、求人広告の中心を占めていたネジの写真を、ネジを手に熱く語っている社長の写真に変えた。
コピーも「世界レベルの技術が身につきます」といったものから、「小さなネジに全てをかけた男がいる。彼と一緒に世界へ羽ばたこう」といったものに変えた。
すると、その会社に初めての応募がきたらしい。
この会社の魅力は技術にあると社長は思っていた。
しかし他者からみると、技術よりも社長の存在の方がもっと魅力的だったのだ。
その魅力は相手にとっても魅力なのか
当たり前の魅力は分かりやすいけれど
「世界レベルの技術は素晴らしい」とは、誰もが「そうだね」と言うだろう。
それは当たり前のことだが、相手にとって魅力的かどうかは別問題だ。
それなのに、多くの人が、分かりやすい「当たり前」に注目しがちだから、「当たり前」から外れたところにある魅力は、他者・他社からの差別化につながる。
この独自の魅力に気がつくと、強い。
興味のないことをアピールしても届かない
魅力の探し方にはいろいろあるけれど、一つは「そのサービスや商品の受け手側の視点に立つこと」ということだ。
その商品やサービスに思い入れが強ければ強いほど、それをアピールしたくなるけど、受け手側がそれを求めているとは限らない。
受け手側は、自分が興味を持った商品やサービスの持つ物語はとても喜ぶが、興味ない商品の物語はうざったいだけだったりする。
まずは受け手側に興味を示してもらうことから始めないといけないのに、思い入れが強いほど最初に物語を語ってしまいがちである。
自分が思う魅力と相手が求める魅力
上の例でいうと、いくらネジが素晴らしくても、「でも、ネジですよね。」という受け手側の視点を忘れない、ということだ。
最高のネジを探しているお客様に、そのネジの素晴らしさを熱く語るのはありだけれど、求人広告でターゲットにするのはネジを買いたい人ではない。
例えばこれが車のように、興味を持っている人が一定数以上いる商品であれば、商品の良さをアピールすることが応募につながるが、残念ながら世の中にはネジの魅力に取り付かれている人はそこまで多くない。
そこで、視点を変えて、より多くの求職者が興味を持つ「自分はどういう人と働くことになるのか」の部分の魅力を探した。
そうして初めて求職者に興味を持ってもらえたのだ。
魅力が伝わらないと感じたら
こんなに素敵な魅力があるのに、どうして誰も興味を持ってくれないのだろう。
そんなときには、一度頭を真っさらにして、受け手の目には何が映っているのかを見直してみる。
その業界に詳しくない人に感想をもらって、客観的な視点をもらうのもいいだろう。
自分が思う魅力がうまく伝わらないと感じたときは、その魅力が目指す相手にとっての魅力かを考えてみるといい。