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2.海外の野球 野球

WBCイスラエル代表はまるで野球漫画?!チームのここまでを振り返る。

2017/05/18

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これはリアルな野球漫画だ

WBC2017に突如あらわれ快進撃を続けるイスラエル代表。
既にピークを過ぎて必要とされなくなった選手と、ピークが来る兆しがなく球団に必要とされていない選手の集団のはずなのに、なぜか勝ち進む野球漫画的展開が現実に起きている。

イスラエル代表のこの大会の歩みを振り返る。
 

WBC予選4組

2016年9月22日~25日に開催のWBC2017予選大会に向けて、イスラエル野球連盟は、ユダヤ系の野球選手に声を掛けまくった。

試合は9月の終盤。
本場アメリカ、メジャーリーグでは、ポストシーズン直前の緊張感高まる時期だ。
そんな時期にチームを離れられる選手は、言っては悪いが、重要な試合に呼ばれる可能性が全くない選手だ。
それ以外では、チームをクビになり、スケジュールが空っぽの選手になる。
自然と、イスラエル代表は、重要な試合には程遠いレベルの選手と、どこのチームにも属さない孤独な選手の集まりとなった。

予選を勝ち抜く

ブラジル、イギリス、パキスタン、イスラエル。
イスラエルの所属する予選4組はこの4か国で行われた。

日本からの移民が野球を広めたため、野球が比較的盛んなブラジルはともかく、他の3か国の状況は似たり寄ったりだ。
ユダヤ系アメリカ人をかき集めたイスラエル。
イギリス系アメリカ人とイギリス領バハマの選手をかき集めたイギリス。
クリケットの選手が代表選手に選ばれたパキスタン。

この4カ国の戦いを勝ち抜いたのはイスラエルだった。
その結果は驚きをもって伝えられた。
野球に馴染みがない国々に勝つだけで驚かれるとは、どれだけイスラエルの戦力が期待されていないかがよく分かる。
 

本戦に向けた選手集め

世間がイスラエルに期待していなくても、イスラエル野球連盟は予選突破という結果に盛り上がった。
WBCの予選には、有力選手は誰も来てくれなかったけれど、本選に出場できるとなれば、たくさんの選手が来てくれるに違いない!

ユダヤ系のメジャーリーガーは何人も存在する。
ブリュワーズのライアン・ブラウン、タイガースのイアン・キンズラー、ドジャースのジョク・ピダーソン...
彼らが出てくれたら、世界大会の中でも見劣りのないメンバーになる。

イスラエル野球連盟はユダヤ系のメジャーリーガー達にオファーを出した。
だが、返事はつれないものだった。
「チームを優先したい」「アメリカ代表になりたい」「イスラエルに思い入れがない」...

イスラエル野球連盟は焦った。
こうなったら、なりふり構っていられない。
祖父母がユダヤ系のメジャーリーガーはいないか!
探し回ったが、彼らの返事もつれないものだった。
 

本選から参加の選手

やっとのことで探しだした、本選からの参加が決まった5人の選手を紹介しよう。
S.フルド 35歳 外野手 2007-15まで9年間メジャーリーグでプレー。2016年は利き腕である左肩を怪我し手術。1年間試合出場がないまま秋に解雇。
D.アクセルロッド 31歳 2011-15年の5年間メジャーリーグに所属。2016年はマイナーリーグでプレーしたが、怪我をしたため解雇。
D.ブラワ 28歳 2015年はメジャーリーグで一時プレー。2016年途中に戦力外となり独立リーグでプレーを続けたが、現在、所属チームはなし。
Z.ソーントン 28歳 マイナーリーグに6年間所属。2016年オフに解雇。
T.クリーガー 23歳 2016年に入団したばかりのインディアンズ傘下のマイナーリーガー。ルーキーイヤーの2016年はA+所属。

5人中3人がメジャーリーグ経験者といえば聞こえはいいが、この3人全員を含む4人が、チームを戦力外になり行き場のない選手だ。
残りの1人はプロになりたてのマイナーリーガー。日本でいうところの四軍所属の選手で、自主トレ代わりに好きにしろ、ということなのだろう。

イスラエル野球連盟の期待は外れてしまった。
必死に勧誘して作り上げたチームは、既にピークを過ぎて必要とされなくなった選手と、まだまだピークが来る兆しがなく球団に必要とされていない選手の集団となったのである。
 

イスラエル代表のメンバーたち

ユダヤ系のルーツを持つというだけでかき集められた選手たちは、それ以外の共通点がほとんどなかった。
・年齢 21歳~38歳
・実力 日本でいうところの五軍にあたるA~元メジャーリーガー
・所属リーグ 所属チーム無し、独立リーグ、マイナーリーグ

WBCのような国際大会は、「母国の名をかけて」という思いが団結力を生むが、イスラエル代表にはそれすらもない。
初対面の選手もいる中、手探りでチームが作られていった。

1月には、チームの代表8人がイスラエルを訪問し、イスラエルへの理解を深めた。
イスラエル国歌の練習も行われた。
イスラエル人のコーチ、ネイト・フィッシュはインタビューにこう答えた。
「ヘブライ語が分からないながらも、歌っているように見せられるレベルにはなったよ」

そして、2月の終わり、イスラエル代表のキャンプが行われた。
予選からイスラエル代表に参加しているC.デッカーは、メンシュという敬虔なユダヤ人男性を模した等身大の人形を持ち込んだ。
チームがバラバラなことを気にしていたデッカーは、この人形を心の拠り所とし、チームの一体感を作ろうと考えていた。

こうして、選手40人と奇妙な人形1体で構成されたイスラエル代表チームが完成した。

韓国で行われる一次ラウンドに向けて、練習を重ねる日々が続いた。

一次ラウンド@ソウル

ソウル到着

一次ラウンドのために選ばれた28人の選手と奇妙な人形1体が、WBC一次ラウンドの会場である高尺スカイドームに到着したのは3月1日のことだった。

最初の試合が行われる3月6日までの期間は、なかなか楽しいものだった。

完成して1年余りの新しい球場で練習をした。
スタイリッシュなデザインになった真新しいユニフォームが支給された。早速袖を通して、みんなで記念撮影をした。
韓国警察軍と練習試合をして、5対2で快勝した。
韓国陸軍とも練習試合をして、1対0でなんとか勝った。

ソウル市内の観光もした。
景福宮といった韓国の古い建物は興味深かった。
 

一次ラウンド開始

一次ラウンド初戦は、一次ラウンド4チームの中で最も強いと言われている韓国戦だった。
決勝リーグ常連の韓国と、WBC本選に初出場のイスラエル。
戦う前から勝負はついているはずだった。

しかし、野球の神様は、野球を愛するものを愛する。

試合に対する集中力のない韓国と、初めてのWBCの舞台にワクワクしているイスラエル。
韓国が決め手をかいたまま自滅していくかのような試合展開で、終わってみたら2-1で勝利したのはイスラエルだった。

ピンチを何度も背負った苦しい試合だった。
試合の終盤には、三塁まで走ると足がもつれてしまうほど疲れていた。
その死闘を制した選手の顔は、喜びに満ち溢れていた。
 

イスラエル代表の共通点

ユダヤ系という以外に何の共通点もないように思えたイスラエル代表に共通点が発見された。

2016年オフに戦力外になった選手の一人、C.デッカーはこう言う。
「(2016年は)ジェットコースターのようなクレイジーな一年だった。やる気がなくなるようなことばかりで、自分が何をしようとしているのかわからなくなっていた。でも(WBCイスラエル代表の一員として試合をして)ただ試合を楽しみたいんだとわかったよ!今は素晴らしい気分だ」

怪我をして2016年は試合に出られなかったS.フルドは、韓国との死闘直後、こう呟いた。
「野球がどんなに楽しいか思い出したよ! ああ、眠い。。。」
 
イスラエル代表28人は、皆、野球に飢えていた。
所属チームがなく、2017年以降野球ができるかわからない選手が9人。
すでに1年以上実戦から遠ざかっている選手もいる。
試合ができる、それだけで体の内側に力が湧いてくる。

所属するチームがある選手も同じだ。
下っ端のマイナーリーガーは、安いハンバーガーをかじりながら、長距離のバス移動を繰り返す。
それもこれも試合に出たいがためだ。

WBC本選の球場は、彼らが普段試合をしている球場より、整備が行き届き、美しく、設備もしっかり整っている。
まるで、憧れのメジャーリーグの球場のようだ。
そこで試合ができると考えるだけで、自分が強くなったような、そんな気持ちになれる。

試合ができる。それがただ楽しい。
何の共通点もなく、イスラエルへの愛国心も持ち合わせていなかったチームが、同じ思いのもと一つになった。

「試合がしたい。勝ちたい。勝ってもっとたくさん試合をしたい!」

そして、もしここで最高のパフォーマンスを発揮できたら、どこかのチームから野球を続けないかと声が掛かるかもしれない。
今は下っ端のリーグだけれども、一つ上のリーグに引き上げてもらえるかもしれない。
イスラエル代表にとって、WBCで勝つことは、自分の心の喜びと、自分の生活向上の、どちらの願いも叶うことなのだ。

これは、とても大きいことだ。

アメリカ、日本、韓国といった強豪と呼ばれる国の選手は、怪我をしてシーズンに影響がでたらどうしようという懸念を持ちながら試合に臨む。
選手はWBCに全力を注ぎ込みたくても、所属のチームはレギュラーシーズンのパフォーマンスに悪影響が出ないことを望む。
所属チームから年俸を得ている以上、意向を完全に無視するのは難しい。
自分の背中を掴む腕を振り払いながらの試合は、今回の韓国チームがはまったように、多少なりとも集中力に影響を及ぼす。

イスラエル代表には、そんな心配は全くない。
自分がやりたいように野球をやっても、誰も心配したり引きとめたりしないため、思う存分試合ができるのだ。

誰にも期待されていない選手たちの寄せ集め集団が、一つになって最高のパフォーマンスを発揮し、勝ち進んでいく。
まるで野球漫画のような展開ではないか!

 
この野球漫画のクライマックスは、3月15日19時から、東京ドームで見ることができる。
 

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もっと詳しく知りたい方は

イスラエル野球の本

参考にしたサイト

イスラエル代表が予選を突破して以降、情報を得るために主に参考にしていたサイトです。一つのサイトで複数の記事を読んでいますが、書ききれないので印象に残っている記事のリンクを貼ります。
メジャーリーグ公式サイト
イスラエル野球連盟の公式サイト
ニューヨークポスト社のサイト
USA TODAYのサイト
アメリカに住むユダヤ人向けサイト
ユダヤ系野球選手の情報を集めたサイト
アメリカのスポーツライターによるイスラエル代表の記事
アメリカのスポーツニュース専門サイト
アメリカのエンターテイメント専門サイト
メンシュの公式サイト

その他、イスラエル代表の公式Faebook,選手個人のtwitterを参考にしています。

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