土俵祭りは予約不要で入場無料。誰でも見学できる日本古来の神事である
土俵祭りとは
大相撲の各場所の初日の前日に「土俵祭り」が行われる。
土俵祭りは江戸時代から行われており、新しく築いた土俵を清め、祝詞を奉上し、供物を捧げて場所中の安全と興行の成功、さらには国家の安泰、五穀豊穣を祈念するために行われる、神道に法って行われる儀式である。
土俵祭りを見るには
予約必要なし・入場無料
土俵祭りは、誰でも見ることができる。
大相撲本場所の初日の前日の、朝10時から、本場所の会場で行われる。
注意点は入り口。
両国国技館では、普段使われる観客用の正門ではなく、その隣にある南門が入り口となる。
とはいえ、行けば分かるので、心配する必要はない。
入場の前に
国技館での土俵祭りでは、優勝額のお披露目も同時に行われる。
国技館の上の方に、優勝力士の額が飾られているのをテレビ等で見たことがある人がいるだろう。
あれは、実はあの絵はほぼ等身大で書かれており、かなりの大きさである。
優勝額贈呈式は土俵祭り終了後の10時半から行われるが、報道陣が多く集まるので、一般客は人の背中の隙間から見るだけとなる。つまり、ほとんど見えない。
額の実物は国技館の入り口に飾られているので、土俵祭りが始まる前に見ておくといいだろう。
入場
土俵祭りの際は、溜席のところは関係者席になるが、それ以外は全席自由だ。
枡席から見るのがいいだろう。
枡席には、正面・向正面・東・西とあるが、儀式を正面から見ることができる正面席に座るのがおすすめだ。
土俵祭りには三役以上の力士も出席する。
向正面に座ると、儀式の間中、力士の顔を見ていられるので、お目当の力士がいるならば向正面も面白い。
土俵祭り開始
開始の木の音
まずは立呼出の拍子木から始まる。
清め祓い
儀式は、白い装束を着た三人の行司によって執り行われる。
この日は、祭主を立行司である第40代式守伊之助、脇行司を木村晃之助と木村吉二郎が務めた。
祝詞
祭主が祝詞をあげる。
そして、土俵の隅の四房の下に春夏秋冬の神々を祭り、お神酒を捧げる。
方屋開口
ここでいう「方屋」とは土俵のこと。「開口」とは開くこと。
土俵を開く、という意味で、土俵祭りのクライマックスである。
祭主が故実(昔からの習わし)を唱える。
そして、土俵中央に開けられた穴に、塩 、昆布、するめ、勝栗、洗米、かやの実などの縁起物を納める。
ところで、この写真で分かるだろうか。
行司は三人とも白い装束であるが、祭主を務める式守伊之助だけ、下に朱色の衣を重ねている。
襟口、袖からその朱色が覗くのはもちろんのこと、白い衣からも下の朱が透けて見えて、美しい。
平安時代、貴族たちは衣の重ねの美しさを競ったというが、こういったさりげない美しさを追求するのが日本古来のお洒落なのだろう。
御神酒
最後、祭主が土俵の徳俵に御神酒を注ぎ、参列していた協会役員が御神酒をいただいて、土俵祭りは終わる。
土俵祭り終了後
触れ太鼓
土俵祭り終了後、すぐ、呼出たちの触れ太鼓がやってくる。
触れ太鼓とは、明日から大相撲が始まることを告げるものなので、初日の前日にしか聞くことができない。
触れ太鼓を響かせながら土俵周りを三周し、町に繰り出していく。
初日取組の口上
触れ太鼓は、翌日から相撲が始まることだけではなく、取組を告げることもする。
これは両国国技館内の相撲案内所にて、呼出が取組の口上をあげているところ。
美声自慢の呼出たちが、代わる代わる独特の節回しで歌うように唱える取組は圧巻だ。
日本古来の神事
土俵祭りは、気軽に見ることができる日本古来の神事である。
両国だけではなく、大阪、名古屋、福岡でも初日の前日に行われる。
最後まで見ても概ね40分程度。
短い時間だが、薄暗い場内に映える行事の装束の美しさや、肌を震わす呼出の声など、この場にいるからこそ感じられることがある。
土俵祭りで立行司が唱える祝詞や故実が書いてある本
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