萬屋おかげさんの春のメニューと日本酒。ミシュランの星を獲得する味!
友人からお誘いいただいたその店の名を、私は知らなかった。
もともと参加予定だった方が仕事の都合で行けなくなったらしいのだが、欠員を出すのはもったいないほどの素晴らしいお店なのだという。
その店の名は「萬屋 おかげさん」。
調べてみると、居酒屋で唯一ミシュランの星をとったお店で、料理の美味しさとそれに合う日本酒の品揃えの素晴らしさのため、予約がなかなか取れないお店らしい。
こんな素敵なお店にお誘いいただいた喜びで胸がいっぱいになる。
そして胃袋をいっぱいにするべく、お店に向かった。
萬屋 おかげさん
四ツ谷駅から10分近く歩く。
店の入り口は分かりにくいが、そのことでさえ、お店への期待を高める。
看板のためにスポーツジムにしか見えないが、この奥の階段を降りたところにお店はある。
手の込んだ料理たち
席に着く。まずはその日の料理の説明がある。
料理は基本はお任せで、お腹の具合によってアラカルトメニューの中から好きなものを追加できるそうだ。
お酒は自分で選んでもいいが、料理に合うものをお店の方にお願いすることもできる。
さっそく突き出しのアスパラガスが登場。
お酒は高知の美丈夫のうすにごり。きめ細かい泡が食欲を駆り立てる。
次に登場したのは真子鰈に煎り酒がかかったもの。
煎り酒とは、日本酒に梅干し、鰹節、塩を入れ、煮詰めて作られる室町時代から作られている日本古来の調味料だ。
一度食してみたかった憧れの煎り酒は、材料それぞれの旨味が柔らかく溶け合って美味しかった。
カレイの邪魔をせず、いい脇役になっていた。
あまりの美味しさに、カレイを食べ終わった後、皿に残った煎り酒を飲み干したほどだ。
そして真鯵の芽ネギ巻き。
たっぷりの芽ネギの食感がアジの身の柔らかさとよく合う。
ワラで炙られた初鰹は、焼き目の香ばしさがたまらない。
ここから日本酒は東出雲の丈径(たけみち)となる。
カラスミがかかった金目鯛。
金目鯛だけでも美味しいのに、そこに添えられる塩分が醤油でも塩でもなくカラスミとは贅沢極まりない!
思いがけない組み合わせだが、もう他の取り合わせは考えられないほど美味しい。
鰹の漬けはとろけるような滑らかな身をワサビと生姜で味わう。
ここでアラカルトでお願いしていたなめろうが来た。
一緒にたたかれている薬味は、ミョウガとシソが少し。味付けは最小限にとどめて、鯵の甘さを引き出している。
日本酒は、ここから福島の奈良萬だ。
おからがこのタイミングで登場。
メニュー上は突き出しだが、生魚をたっぷり堪能した口をおからがリセットし、次からの料理を新鮮に味わえる準備をしてくれた。
おでんの出汁で炊かれたおからは、ふわふわとしている。
次は山うどのさつま揚げ。
ふわっとした揚げのなかに、サクサクとした山うどが入っている素晴らしい食感。
真ダコの柔らか煮。
濃い甘い味付けに目が覚める感覚。添えられたゴボウもこの味付けと相性が良い。
日本酒は、もう一つ福島のお酒が勧められる。飛露喜だ。
ここからしばらくアラカルトでお願いをする。
豆腐のもろみ味噌漬けは熊本に伝わる保存食だそうだ。
塩気が強めで旨味の濃いクリームチーズといった味で、日本酒が進む。
季節は違うが、私の大好物の銀杏の素揚げ。
日本酒は佐賀の鍋島に変わる。
金目鯛の骨せんべい。
パリパリと軽く揚げられて、まったく喉に当たらない。
たっぷりのおでん。
おでんといえば外せない大根と卵はもちろん、はんぺん、玉ねぎ、がんもどきと幸せのラインナップ。
そして最後はコースの締めの塩むすび。
結構大きいおにぎりだが、海苔と米と塩のシンプルな美味しさでペロッと食べられてしまう。
お願いすれば、塩むすびは鯵の漬け丼にもできるようだ。
感想
居酒屋と名乗ってはいるが、一品一品細やかに手が掛けられており、あちこちにある居酒屋と一緒にしてはいけないことがよくわかった。
お料理やお酒を丁寧に説明してくださるお店の方々もとても親切で、料亭のエッセンスを居酒屋に組み込んだ店といっても過言ではないはずだ。
美味しい料理と美味しいお酒、そして楽しいおしゃべり。
幸せな時間を過ごすことができた。
お店情報
萬屋 おかげさん
東京都新宿区四谷2-10 松本館 B1F
03-3355-8100
営業時間:18:00~22:00(入店は20時まで)
休業日:日曜日・祝日・月曜日
https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13025617/
https://r.gnavi.co.jp/7hfjs0v30000/
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