第69回正倉院展 心の残った宝物とお茶とお土産
正倉院
今年も正倉院展が始まった。
正倉院には、奈良時代に実際に使われていたの天皇や貴族の生活用具、楽器、遊び道具や服が9000件ほど保管されている。
聖武天皇の遺品が多いのは、756年に聖武天皇が亡くなった際、妻の光明皇后が聖武天皇愛用の品を納めたからである。
第69回正倉院展
毎年秋に行われる正倉院展では、正倉院の宝物の一部が一般公開される。
公開される品は年によって変わるので、毎年行っても楽しめる。
そういうわけで、さっそく今年も正倉院展に行ってきた。
展示物
今年の展示は初出陳を10点含む全58点。
物品では仏・菩薩への献物や献物のために使われた仏具、布物では腰回りを飾った帯とそれに付けるものが多く出品されていた。
写真は無いが、印象に残った物をいくつか。
・竹製のカゴ
細い竹を密に編んで作られたカゴ。
散華(法要の際に寺院の屋根から花びらをまくこと)のための花びらを洗うためのカゴと言われている。
花びらを洗うためだけの道具とは、なんて贅沢で風雅なのか!
・鏡を納める箱
天皇・皇后が使っていた鏡とともに鏡をしまう箱も展示されている。
その漆が現在も全く朽ちることなくそのままで驚いた。
内側の布は色あせ破れが見られるのに、漆とはこうも寿命が長いものなのだ。
・供物を載せる小さな台
法要の際の供物を載せる台。台そのものにも美しく細工がされている。
台の裏に「大仏殿」という風に使用されていた場所が書いてあることに微笑ましい気持ちになった。
現在でも会社等で長机の裏に「第一会議室」と書いてあったりするのと同じ感覚なのだろうか。
・玉尺八
大理石でできた尺八なのだが、見た目は竹製そっくりだ。
尺八は竹で作るのが一般的だが、それをわざわざ高価な大理石で作るとはなんて贅沢なのだろう。
しかも、あえてよくある竹に見せかけるとは、それを手にした者だけが分かる贅沢な遊びだ。
他にも、下に貼られた金箔が透けて見えるべっ甲や、組帯の緻密な文様など、当時の時代の最高の技術を見ることができ、大興奮の展示物だった。
お茶席
展示物を見た後は、お茶席で休むことができる。
想像力を最大限に駆使して宝物を堪能した後だったので、脳のクールダウンのためにも一服いただくことにした。
受付で500円を払い、このような景色を見ながら待つ。
お茶とお菓子が登場!
お菓子は、創業400年とも700年とも言われる奈良の老舗、本家菊屋さんの薯蕷饅頭。
正倉院展のみで扱われる花喰鳥の絵柄だ。
中のこしあんもさることながら、周囲の生地もしっとりとしたふっくらさに芋のほのかな香りがあり、とても美味しかった。
お茶もお菓子も販売されている。
どちらもここでしか手に入らない限定品だ。
お土産
一服して落ち着いた後は、グッズコーナーへ。
正倉院の宝物のモチーフを題材にしたスカーフやカバンやアクセサリーや文房具などいろいろなものが売っている。
何も買うつもりはなかったのだが、このモチーフに目を奪われた。
これは、今回の正倉院展で展示されている献物箱に描かれているものだ。
実物は銀の部分が黒く変色しているため、これが銀色だったらどういう感じだったのだろう、と想像しながら見た。
それが実際に銀色で再現されていて、ようやくはっきりとイメージすることができた。
つい嬉しくて、この蒔絵シールを、隣にあった鹿とともに購入。(1つ463円)
初日は混雑少なめ
会期の終盤の週末に行くと、入場までに30分ほど待ったり、中が激しい混雑だったりするので、今回は初日(土曜日)に行ってみた。
初日の11時頃に行ったのだが、狙い通り待ち時間なしで入れ、無料のコインロッカーも好きな大きさを選ぶことができ、館内もじっくり見ることができた。
なお、11月1日は留学生の日で、留学生は無料で入ることができる。
第69回正倉院展は2017年11月13日まで!
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