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しずかみちこ
Gallup認定ストレングスコーチ
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の専門家として、個人やチームが「強み」を活かして最大の成果を生み出すためのコーチングと研修をしています。

リクルートスタッフィングで経理したり、レアジョブの管理部門立ち上げたり、ブラック企業に入ったり、上司の横領見つけて辞めさせられたり、人の会社2つ作ったりと波乱万丈な職歴の後、独立して今に至ります。

投資と経理スキルでお金をデザインし、ストレングスファインダーで強みを活かしたら、人生が楽しくなりました。

趣味は野球観戦と美味しいものを食べること

収集心・最上志向・戦略性・未来志向・分析思考
ストレングスファインダーのnote
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書評『朝、目覚めると、戦争が始まっていました』この本は日本人の一般教養として読むべき本だ

すごい本を読んだ。
朝、目覚めると、戦争が始まっていました』という本だ。
今、私は、得も言われぬ恐怖を味わっている。

日本人として、大人として。
一般教養の一つとして読んでおくべき本と感じた。

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目次

朝、目覚めると、戦争が始まっていました

昭和16年12月8日。太平洋戦争が開戦した日。
この本は、この日に焦点をあてている。

[box class=”box27″ title=”昭和十六年十二月八日午前七時のラジオ放送より”]
臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。
大本営陸海軍部十二月八日午前六時発表、帝国陸海軍は本八日未明西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり。(後略)
[/box]

開戦を知った後の思想家吉本隆明(当時17歳)は、こう感じた。
「ものすごく解放感がありました。パーッと天地が開けたほどの解放感でした。」

この文章を読んだ私は、ぎょっとした。
戦争が始まったのに、解放感だって!?!?

吉本隆明の年齢を見て、自分を納得させた。
(17歳の男の子なら、戦争ってワクワクするものなのかな?しょうがないんだろうな。)
しかし、読み進めるうちに、この考えは若さゆえではないことがわかって来た。

本の構成

この本は、開戦当日のラジオニュースと著名人たちがその日に感じた思いが掲載されている。
余計な解説等はいっさいない。

午前7時、正午、12時30分.午後3時、午後5時、午後7時、午後9時。
ラジオでは、日本軍の甚だしい戦果を告げる。

ラジオニュースの間に掲載される著名人の思いは、総勢54名分が収録されている。
当時17歳の吉本隆明から始まり、ボクサーのピストン堀口、芸術家の岡本太郎、コメディアンの古川ロッパ、元首相の近衛文麿、軍人の真崎甚三郎、78歳のジャーナリスト徳富蘇峰まで、幅広い年齢、職業の人が集められている。

当時の空気

年齢順に並べられている著名人の感想は、意気揚々とした感想が多い。
17歳の青年だけではなく、30歳、40歳のいい大人と呼ばれる人も、戦争開始に明るい希望を見出している。
「いよいよ事は決した」
「神々が東亜の空に進軍してゆく」
「日本国民の心が一つになった」
「新しい世界のスタート」

勝利の報に喜ぶ人もいるが、勝利は最初だけと悟っている人もいる。
悲しいことに、勝利は最初だけど悟っているのは、軍人なのだが…。

もちろん、戦争に怒りを感じる人、開戦を止められなかったことに心を痛める人もいる。

日常生活が垣間見える記述もある。
もうアメリカの映画が見られなくなるからと映画館に向かう人がいる。
子供に「パパ、ママ」と呼ばせるのを止めるように諭す人もいる。

それぞれの昭和16年12月8日が過ぎていく。

開戦の日の思い

最初、私は、開戦を喜ぶ感想を抱く人に対して、「戦争が始まったんだよ?バカじゃないの?」と理解しがたさを感じた。
しかし、私のこの思いは、太平洋戦争の結果を知るものの感想でしかない。

著名人の感想を読むと、開戦直前の日本には閉塞感が漂っていたようだ。
多くの日本国民は、閉塞感に飽き飽きしていた。

日本は、それまでの戦争には勝ち続けている。
開戦は、閉塞感を打破するものにしか見えなかったのだろう。
だって、日本は神の国、神が日本を守っているのだ。

多くの国民がこう考える中、敗戦を悟る人もいた。
元軍人、元外務大臣、洋行経験のある芸術家…。
自分の目で海外を見ている人は、戦争を勝利に導くのは神ではないと知っていた。

今の、この時代

私は、太平洋戦争開戦の日、喜びを感じた人を笑えるのだろうか?

平成30年(2018年)の今は、昭和16年(1941年)当時とは全く違う。
昭和16年は、多くの人がラジオニュースから流れるニュースを信じていた。
情報はラジオと新聞しかなかったから、かじりつくようにしてラジオを聴き、穴があくほど新聞を見つめた。

平成30年の今は、情報源はたくさんある。
マスコミの報道が100%正しいと信じている人は、さほど多くはないだろう。
報道よりも口コミの方が信憑性があると思っている人は多い。

しかし、情報源がたくさんあるからといって、正しい情報が集まっているとは限らない。
情報源がたくさんあるからこそ、自分の思想に合う、自分にとって耳障りのいい情報だけを取捨選択することができる。
不愉快な情報は見なくても生活できるのだ。

情報が偏っているという点においては、昭和16年も平成30年も変わりがないと思える。
確かに、昭和16年は、お上から押し付けられた情報のみで、他の情報を選ぶのは難易度が高かった。
しかし、自分で情報を選べる平成30年も、本当に自分の意志で情報を選んでいるだろうか。
尊敬する人のいうことを鵜呑みにしてないか?
周囲の人の意見に合わせていないか?
居心地の良さだけで情報を選んでないか?
誰かに意見を話すとき、その意見は、本当に自分の心から出て来たものなのか?
 

この先、日本が戦争に参加する日が来るのかどうか、私にはわからない。
でも、戦争だけではない。
国家的にでも、個人的にでも、何らかの非常事態が起きる可能性は高い。

そのとき、わたしは、何を感じるのだろうか。
どういう判断をするのだろうか。

考えると、怖い。
私の眼は、耳障りの良さに踊らされず、真実を見つめることができるのだろうか。

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