価値ある長時間労働か搾取されているだけかを見極める方法
長時間労働は必要か否か
長時間労働が話題になるたびに、長時間労働反対派と長時間労働必要派で意見が食い違う。
私は、自分自身が長時間労働によって身体に取り返しのつかない悪影響を受けたため、長時間労働はするものではないと思っている。
しかし、身体を壊すまで夢中になって働いた経験があるほどだから、長時間労働必要派の気持ちもわかる。
ではあるが、ブラック企業にいた経験からいっても、長時間労働が必要だとは言い切れない。
先日、児童労働について友人と話していた時に、このもやもやが整理された。
児童労働が貧困の負の連鎖を生んでいるように、長時間労働も負の連鎖を生む場合があるのだ。
その見極めが重要なのだ。
長時間労働の必要性を見極める
自分が今やっている長時間労働は、それをする価値があるのだろうか。
それを見極めるのは、この質問だ。
「その長時間労働は、あなたのプラスになりますか?」
する価値のある長時間労働
価値のある長時間労働には、2つの特徴がある。
下記の2つのどちらも兼ね備えているのなら、その長時間労働はする価値がある。
1.終わりが見えている
昨日も今日も会社に泊まり込みだ。明日もたぶんそうだろう。
でも、これは一時期だけだ。
立ち上げたばかりのこのサービスが軌道に乗れば、長時間労働は必要なくなる。
もしくは、
昨日も今日も終電帰りだ。明日もたぶんそうだろう。
でも、これは今だけだ。
このトラブルを乗り越えれば、長時間労働は必要なくなる。
この段階を乗り越えれば、楽になるのがわかっている。
そして、それがだいたいいつくらいになるか目処はついている。
いつまで続けるかの撤退基準を決めている。
終わりの時期の目処がついていることは重要だ。
今だけ、といいつつ、ずるずると引き延ばしてやっているようならば、どこかに問題がある。
2.自分にプラスの見返りがある
さらに重要なのはこれだ。
その長時間労働をやりきることが、自分のプラスになっているだろうか。
サービスが軌道に乗ったら、会社の利益が上がって、給与に反映されたりボーナスが支給されたりするのか。
トラブルを乗り切ることで、自分のスキルが上がって、市場価値が上がるのか。
特に重要なのは後者だ。
自分の市場価値が上がると、それはこの先長く活きる財産となる。
それを手に入れるためならば、歯をくいしばる時期があってもいいだろう。
価値のない長時間労働
上記の2つを兼ね備えていない長時間労働はする価値がない。
働いても働いても楽にならない。
延々と続き、この先も終わる見込みがない。
いくら長時間労働をしても、利益は自分以外の他者のものになる。
こういった労働はする価値がない。
そして次のような勘違いをしがちなので注意が必要だ。
長時間労働をしたら残業代がたくさんもらえた、というのは見返りではない。
単に時間を切り売りした対価である。
長時間労働をしたら忍耐力がついた、というのはスキルではない。
言われたことに文句も言わず、ただ黙々と働くだけならば、機械と同じだ。
人間としての市場価値は全く上がっていない。
もし価値のない長時間労働をしているならば
自分がしている長時間労働が、する価値のないものだったらどうすればいいのだろうか。
自分で変えられる仕組みかどうか判断する
する価値のない長時間労働を変えるには、その仕組みを変える必要がある。
まず、その仕組みが、自分で変えられるものか変えられないものかを判断する。
1.誰が仕組みを変える人かを見極める
大原則として、仕組みは、その組織のトップが変える気にならないと変わらない。
会社の仕組みを変えるなら、社長が変わらないといけない。
部署の仕組みを変えるなら、部長が変わらないといけない。
自分の仕事の仕組みを変えるなら、自分が変わらないといけない。
今、自分がしている長時間労働は、会社の仕組みを変えないと変わらないのだろうか。
自分が変わることで変えることができるのだろうか。
長時間労働の原因がどこにあるかを考えて、その責任者が誰かを見極めることを、最初にする。
2.仕組みを変える人に、変えるメリットがあるか見極める
誰が仕組みを変えられる人かを見極めたら、次にすることは、その人に仕組みを変えるメリットがあるかを考えることだ。
仕組みを変えるべき人に利益が集まる構造になっている場合、その構造が脅かされない限り、仕組みは変わらない。
もしその人が「会社を変えなくちゃね」と言ったとしても、自分に利益が集まる構造はそのまま残して小手先の改革をしようとするから、かえって現場が混乱する。
人間は、一度手にした権益はなかなか手放せないことを覚えておいたほうがいい。
しかし、仕組みを変えるべき立場の人も長時間労働のメリットを受け取っていないのならば、一緒に仕組みを変えられるかもしれない。
そして、自分自身の動き方を変えれば長時間労働が改善されるなら、今すぐ取り組む価値がある。
誰が仕組みを変えられる人か分かったら
誰が仕組みを変えられるのか見当がついたら、その人に仕組みを変える度量があるかどうかを推測する。
仕組みが変わらなそうな場合
する価値のない長時間労働をしていて、仕組みを変えられる人に変えるメリットがない場合。
もしくは、疲れ果てて仕組みを変える気力がない場合。
この場合は、進む道は一つだ。
逃げろ。
そこにいても、時間と体力を食いつぶされるだけだ。
一刻も早く逃げだそう。
※円満退職ができそうにない場合は、文字通り逃げるのもあり
https://koto1.com/archives/1571
仕組みを変えられそうな場合
もし仕組みを変える余地がある場合、挑戦する価値はある。
なぜなら失敗したとしても、仕組みを変えようとして動いた経験は、自分の市場価値をあげる財産になるからだ。
長時間労働が発生する仕組みを変えるためにまずすることは、早く帰ること、もしくは会社を休むことだ。
矛盾したことを言っているようだが、長時間労働が発生しない仕組みを作るために、長時間労働をしない日が必要になる。
仕組みを考えるには時間が必要だ。
情報収集したり、人と会って客観的な意見をもらったり、長時間労働によって失った判断力を取り戻すために脳を休めたりする必要があるからだ。
体調が悪いくらいで休めない職場もあるが、そこを休む。
残業をしないで帰ってみる。
長時間労働をしないための仕組みを作る第一歩は、長時間労働を止めることなのだ。
そうしたら秩序が乱れて会社にいずらくなる?
仕組みを変えるということは、一時期、秩序が乱れるということだ。
秩序のほうが先に乱れてくれたなら、仕組みは変えやすくなる。
大事なのは負の連鎖から離れること
長時間労働は辛いけれど、収入が無くなるのが怖くてそこに留まっているならば、すでに負の連鎖に取り込まれている。
時間と利益を搾取され続けている限り、負の連鎖からは逃れられない。
負の連鎖から抜け出すには、負の連鎖から離れることが必要なのだ。
生活の立て直しは、負の連鎖から離れてから始まる。
まず、逃げるなり変えるなりして負の連鎖から距離を置くことが、重要なのだ。
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