会社や学校で「目標を立てましょう!」と言われる理由は管理のしやすさにある
成功法則は人それぞれ
世の中の人、全員に当てはまる成功の法則はない。
人は一人一人違う人間だ。好きなものも得意なものもまるで違う。
その全員に当てはまる成功の法則なんてない。
「死ぬまでに何を成し遂げたいか考えましょう」「10年後にどのような自分になっていたいか考えましょう」というのも、そういった成功法則の一つである。
10年後の目標を立て、そこから3年後にはどうなってたい?1年後は?と逆算し、目の前の目標を決めていく方法だ。
この方法も、ぴったり合う人もいれば、しっくりこない人もいる。
人それぞれ性質が違うのだから、それは当たり前のことだ。
世の中には逆算型の人もいれば、目の前のことをとりあえずコツコツこなしているうちに自分でもよく分からないまま望むところに近づいていく積上型の人もいるのだ。
積上型が感じる引け目
しかし、不思議なことに、積上型の人は、自分が先の目標を立てられないことに引け目を感じていることが多い。
目標が立てられる人の方がすごい人だと思っていることが多いのだ。
私も少し前までそうだった。
ただ単にタイプの違いだけであって、どちらがすごいとかではないのに、どうして引け目を感じるのだろうか。
なぜならば、学校や部活動や会社でも「10年後にどうなっていたい?」と聞かれることがあるからだ。
スラスラとやりたいことを書く同級生や同僚を横目に、どうして自分は書けないのだろうと焦りが生まれる。
白紙を前にして途方にくれる。
挙げ句の果てに、こう言う人もいる。
「10年後にやりたいことが思い浮かばないのは、心にブロックが掛かっているからです。ワクワクセンサーを磨きましょう。」
ああ、やりたいことが思い浮かばないのは、自分の心のせいなんだ。
そう思って落ち込んでしまう。
学校や会社で逆算思考が好まれる理由
人それぞれ性質が違うのに、どうして学校や会社では逆算思考で目標を立てさせるのだろうか。
なぜならば、その方が管理と評価がしやすいからだ。
人を管理するには、ガイドとなる道標があった方がやりやすい。
ガイドに沿っていれば問題なし、ガイドから外れたら矯正する。
ガイドに沿っていれば高く評価し、ガイドから外れたら減点する。
管理も評価も、一目瞭然だ。
つまり逆算で目標を決めていく方法は、管理や評価と相性が良いのだ。
一方、行き当たりばったりともいえる積上型の成功法則は、管理のしようがない。
管理できないものは評価もできない。
教師も上司もお手上げである。
逆算型だと管理や評価がしやすいのは本当?
本来は、人材の育成に、やりやすい方法もやりにくい方法もない。
人はそれぞれ違うのだから、一つの方法を全員に当てはめてもうまく行くわけなくて、臨機応変に対応しなければいけないからだ。
逆算型の方法で、今年の目標というガイドを決めたとする。
それを月の目標、週の目標に分解し、行動をする。
しかし、目標をクリアすることしか考えていなければ、「目標を守ること」が目標になってしまう。
こうなると、「目標は達成したけれど、目標が時代遅れになっていたために、成果が得られなかった」といったことが起こりうる。
逆算型といえども、目標は一度立てたら終わりではなく、その目標を常に俯瞰し、見直していく必要があるのだ。
学校や会社がこの方法を採用するなら、第三者の目から目標がその個人に合っているかを確認することが重要となる。
逆算型だからといって管理が簡単なわけではない。
心のブロックを外せば、10年後のやりたいことが思い浮かぶ?
積上型が引け目を感じるもう一つの理由である「10年後にやりたいことが思い浮かばないのは、心にブロックが掛かっているからです。」については、経験から答えを得つつある。
1年半前、私はワクワクセンサーが完全に麻痺していた人間だった。
自分がワクワクすることでも、お金が発生するものについては、例えそれが数百円であっても「私なんかにお金をかけてはいけない」と、自分にそれをする許可を与えなかった。
その後、「ビリーフ」という言葉を知り、自分がワクワクすることを許せるようになったら、ワクワクすることが見つけられるようになってきた。
そうして今ではそこそこ性能のいいワクワクセンサーを手に入れつつある。
さて、ワクワクすることができるようになった私は、10年後にやりたいことが思い浮かべられるようになっただろうか。
答えは否である。
その代わり、私のワクワクセンサーは「これは絶対面白いことになる!」というワクワクを見つけてくるようになった。
10年後のワクワクではなく、今、目の前にあるワクワクを数多くキャッチするようになったのだ。
積上型の人は、ワクワクセンサーを磨いても、10年後については考えられないようだ。
だから、10年後のなりたい姿が思い浮かばなくても、自分の心のせいだと落ち込む必要はない。
逆算型の人は、ワクワクセンサーを磨くと10年後やその先のなりたい姿が思い浮かべられるようになり、積上型の人は、目の前の面白そうなことを見つけることができるようになる、ただそれだけのことなのだ。
逆算思考が馴染まない人は
正直なところ、私自身も、会社の目標管理シートへの記載についての最適解を見いだせていない。
社員である以上は上司に気持ち良く管理させてあげるのも社員の仕事だと思って、身体中に虫酸を走らせながら、全くピンと来ないことを「5年後にやりたいこと」の欄に書いている。
しかし、自分のために人生を切り開くのは、自分の自由にすればいい。
10年後にやりたいことが思い浮かばなければ、無理に思い浮かべる必要はない。
自分は積上型の人間だと割り切って、目の前のワクワクの種を掴みに行こう。
自分を卑下する必要もない。
目標が立てられない情けない人間だから、目の前のワクワクにすがるのではない。
目の前のワクワクが、今の私の頭では思い浮かばないほどの素晴らしい未来に繋がっているから、手を伸ばすのだ。
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