トラブルが起きたときに真っ先に行う3つのこと
トラブルというものは、ある日突然やってくる。
実際にはそれ以前にも予兆が積み重なっているのだが、ある日突然ダムが決壊するように、それまでは静かに増水していたとしても、発覚するときは一気に来る。
トラブルが起きたとき、まずは何からすればいいのだろうか。
トラブルが起きたときにすること
トラブルが発覚したときは、初動が大切だ。
最初に何を行うかで、その後が決まる。
トラブルが発覚したときにまずすることは3つある。
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1.トラブル拡大を食い止める
2.全容を把握する
3.ゴールを決める[/box]
1.トラブル拡大を食い止める
まず、真っ先にすることは、トラブルの拡大を食い止めることだ。
拡大を食い止めるには、対症療法と原因療法の双方が必要となる。
天井から水が漏れてきた時、水漏れの箇所の下にバケツを置くのが対症療法だ。
その水漏れの原因が、上の階の人がお風呂の蛇口を開け放しにしていることであれば、蛇口を閉めるのが原因療法だ。
人間関係のトラブルの場合であれば、周囲の人に「こういうことがあるから気をつけて」と注意喚起するのが前者で、トラブル発生源の人に「そういうことはしないで」と伝えるのが後者となる。
もし原因がすぐに分かり、簡単に対応できることであれば、真っ先に原因に対処する。
例えば、水漏れの原因が蛇口の閉め忘れなら蛇口を締める。
雨漏りのように原因に対処するのが不可能であれば、対症療法を行う。
人間関係のトラブルの場合、「そういうことはしないで」と伝えるだけで相手が止めてくれるなら、原因療法だけに留めるのが穏やかだ。
しかし、既に複数の人がトラブルに巻き込まれていて全容が見えない場合は、対症療法を取らざるをえない。
2.全容を把握する
トラブルの拡大が止まったら、次に全容の把握に努める。
トラブルが早期に発見できればいいが、実は発見時にはもう取り返しの付かないほど影響が広がっている場合がある。
全体を見ずに目の前の事象だけを解決しても、問題の根本的な解決に繋がらない。
誰に対して何が起きているのか、全容を把握することで、次の項目の「ゴール」が考えられるようになる。
3.ゴールを決める
ゴールを決めるとは、何をもってトラブル解決とみなすか、ということだ。
これは優先順位を決めることでもあるし、諦めることを決めることでもある。
トラブルが起きたとき、全て何もなかったかのように解決できるといいが、多くの場合そうはいかない。
そのトラブルにより、お金や物といった具体的な何かを失う場合もある。
時間といった目に見えないものを失う場合もある。
傷ついた人間関係にはわだかまりが残る。
トラブル発覚以前の状態を完全に取り戻すことは不可能だ。
そのとき、まず何から復元するのか、そしてどこまでの復元を求めるのかをあらかじめ決めるといい。
例えば、とある子供がやんちゃをして、自分の子供の玩具が壊れたとする。
このときのゴール案としては、新しい玩具を弁償してもらうことと、壊した子供にごめんなさいをしてもらうことの2つが考えられる。
玩具さえ弁償してくれたら、もう顔も見たくないから謝らなくていいという考え方もある。
ごめんなさいをしてくれたらそれでいいという考え方もある。
弁償と謝罪の両方を求めるという考え方もある。
どのゴールを選ぶかは、相手親子とのこれまでの関係性によって変わってくるため、正解はない。
ただ最初に「謝ってくれたら弁償はいらないよ」と言っておきつつ、後々になって「弁償してもらえばよかった」と後悔することのないように、事前に自分が求めるゴールをきちんと考えたほうがいい。
そして、ゴールを決めたら、自分自身も決めたゴールに従うこと。
「謝ってくれたら弁償はいらないよ」と自分から言ったのであれば、「あそこの子供に玩具を壊されたけど弁償してくれなかった」と恨みを募らせてはいけない。
ゴールが決まったら、トラブルの相手とゴールについて共有し、あとはゴールに向けて進んでいく。
迅速な初動のために
トラブルに気がついたとき、素早く動くのは難しい。
勘違いだったらどうしよう、大げさに騒ぎ過ぎたらかえって迷惑かもと感じてしまう。
しかし、そこにトラブルの臭いがするのであれば、見て見ぬふりは事態を悪化させるだけになる。
原因がはっきりしないとき
原因がはっきりと分からないのであれば、分からないなりに行動すればいい。
天井から水が漏れている。
上階の人が原因かはっきり分からない。
そうであれば、「もしかしたら蛇口を開けっ放しにしていませんか?」と仮定の話として尋ねればいい。
間違っていたら、「勘違いでした、ごめんなさい」と謝ればいいのだ。
(上階の人と面識がなければ物件の管理者に確認をお願いしよう。勘違いであれば、次の原因究明をそのままお願いすればいい)
これを突然「てめー!蛇口締め忘れやがって!」と喧嘩口調で殴り込みにいったら、新たなトラブルとなる。
周囲の人に注意喚起したいが、誰が原因かはっきりしないなら、「こういうことをする人がいるという噂を聞いたから、気をつけた方がいいみたい」と分かっている状況を周囲に伝えるだけでも意味がある。
うっすら原因に心当たりがあって、念のため本人に釘を差したいなら、「こういうことをする人がいるって噂を聞いたけれど、そういうのって困るよね」と言っておくだけでも効果がある。
自分が対応しなくてもいい
トラブルが起きたとき、自分一人では手に負えない部分も出てくるだろう。
そのときは、ためらわずに頼れる人に頼ってしまった方がいい。
相手が企業であればお客様相談窓口に、アパートだったら管理人さんに、会社のトラブルだったら上司や人事などの頼れそうな人に、プライベートな件だったらその人と近い関係の人に相談するといい。
自分一人で抱え込んで動けなくなるよりも、その件でより動ける人に頼ったほうが事態は早く解決に進む。
見て見ぬふりが危険な理由
トラブルの予兆を感じたとき、まだ解決に乗り出すほどではないと感じても、見て見ぬふりで終わらせることは危険である。
案外、相手は、見て見ぬふりをされていると気づくものである。
見て見ぬふりをすることで、相手がそれをすることを許されたと受け取り、エスカレートする場合があるのだ。
「私はそういうことは好きではない」とはっきりと表明することで、「この人の前ではこういうことをしてはいけないな」と伝える効果がある。
直接伝えるほどではないと感じても、雑談の片隅で「こういうことは好きではない」ときちんと表明しておくことで抑止の力が生まれる。
「こういうことはしてほしくない」と自分の立場を表明することが、自分自身を守ることになる。
人によって何を許せて、何が許せないかは違う。
悪口を言われても笑い飛ばせる人がいれば、家から出られなくなるほど深く傷つく人もいるように、同じ事象でも受け取り方は全然違う。
なので、黙っていれば気づいてくれるだろう、止めてくれるだろう、という考え方は危険なのだ。
見て見ぬふりではなく、自分がされて嫌なことをきちんと表明することが必要なのだ。