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しずかみちこ
Gallup認定ストレングスコーチ
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の専門家として、個人やチームが「強み」を活かして最大の成果を生み出すためのコーチングと研修をしています。

リクルートスタッフィングで経理したり、レアジョブの管理部門立ち上げたり、ブラック企業に入ったり、上司の横領見つけて辞めさせられたり、人の会社2つ作ったりと波乱万丈な職歴の後、独立して今に至ります。

投資と経理スキルでお金をデザインし、ストレングスファインダーで強みを活かしたら、人生が楽しくなりました。

趣味は野球観戦と美味しいものを食べること

収集心・最上志向・戦略性・未来志向・分析思考
ストレングスファインダーのnote
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『十五の夏』佐藤優:知らなかったことを知ることで世界が変わる。これぞ本の醍醐味だ

『十五の夏』佐藤優

本屋で見かけて気になった本。
私自身が、学生時代に社会主義国に興味を持っていたので、同じく興味を持って旅をした高校生の記録というものに心惹かれた。

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目次

あらすじ

元外交官の佐藤優さんが高校一年生であった1975年に、東欧・ソ連・中央アジアの社会主義国を旅した記録。

日本人の海外旅行がようやく一般化してきた1970年代は、外国人、特に資本主義国の国民は、社会主義国を自由に旅行できなかった。
そんな中、旅程に工夫をこらし、社会主義国に向かった佐藤さんの旅の記録。

社会主義国と言っても、外国人を家に招くことや文通をすることを許可している国も禁じている国もあり、国の豊かさも様々である。
日本で報道されていることとは違っていたり、実際にそこに行ったからこそ分かることがある。

そんな当時の社会主義国の様子が、まるで今見たばかりのように活き活きと描写されている。

特に心に残った部分

この本全体に渡って、驚きの連続だった。

まず、旅の準備からして、今の旅行と全然違う。
特にソ連では、事前に日程を決め、移動手段とどの街に何泊するかを決めて支払いまで済ませておかないと、入国できない。
それなのに、いざ現地に着くと、移動手段は変更になっている。
また、ホテルは当日までどのホテルに案内されるかは分からない。

そして多くの国で「インツーリスト」という会社から派遣された観光ガイドがつく。
行きたいところを案内してくれるだけでなく、困ったことへの対応などをしてくれるのだが、外国人観光客が勝手に行動しないように見張る意味合いもあるのだろう。

私の勝手な印象で、当時の社会主義国の国民は貧しいうえに抑圧された辛い生活を送っていたのだろうと思い込んでいた。
しかし、佐藤さんが現地の人と交流した結果見えてきた生活は、そうではなかった。
海外旅行に自由に行けないなどの不便な点はあるが、大学で高度な学問を学び、誇りを持って仕事をしている。

1974年生まれの私の義務教育期間中は冷戦真っ盛りだった。
あのとき教えられた「社会主義国」は実際の社会主義国の姿とは異なっていたのかもしれない。

感想

とても大きな気付きがあった。

2019年現在、日本人は多くの国を自由に旅行することができる。
例えば社会主義国の一つであるベトナムも、自由に訪問することができる人気の旅行先だ。

しかし現在でも、北朝鮮は外国人に自由旅行を許していない。
朝鮮国際旅行社といった北朝鮮運営の旅行会社を通してツアーを申し込むこととなる。
そして、旅行期間中は常にガイドが同行する。
訪問できる都市や施設は限定されており、許可されている施設でも必ずしも訪問できるとは限らない。
自分でチケットを買い、自分でホテルを探し予約し、自分の行きたいところにふらっと訪れるような旅はできないのだ。
このことについて、北朝鮮独自の閉鎖性と感じ、正直なところ、かの国への得体の知れない薄気味悪さを感じていた。

ところが、ソ連時代は、ソ連をはじめとする多くの社会主義国も同じだったのだ。
ソ連の場合、インツーリストというソ連国営の旅行会社を通していないと外国人観光客は旅行できなかった。
旅行期間中は常にガイドが同行していた。
そして、当時の私は、ソ連という国は閉鎖的で人々は常に暗い顔をしていて、何を手に入れるにも大行列の貧しい国だと思っていた。

 

しかし、この本を読むと、当時のソ連の国民が多少の不自由はあれど、彼らの楽しみと誇りをもって生活を営んでいるのが分かる。
モスクワと中央アジアでは生活レベルが違うが、それでも美味しい食事を楽しみ、高度な学問を学んでいる。
どうやら、私が長い間抱いていたソ連国民のイメージは誤解だったのだ。

となると、同じことを北朝鮮に対してもしているのかもしれない。
私は北朝鮮の人々は食べ物がなく、無理矢理マスゲームをやらされ、機械のように扱われている、そんなイメージを持っていた。
たまにきれいに着飾った女性や遊ぶ子供の写真を見ても、外国人向けの印象操作なのでは?と思っていた。
平壌と地方では生活レベルは違っていそうだが、それでもあの国の国民も、日々の生活を楽しみ、笑ったり泣いたりしているのだろう。
確かに、北朝鮮の人々は、日本人に比べて日々の生活のあれこれにおいて選択肢が少ないだろう。
得られる情報量も違うだろう。
でも、彼らも人なのだ。
彼らのことを機械のように感じていたのは、北朝鮮の政府ではなく、私だったのだ。
 

本を読み、新たな角度で物事を見ることを学ぶ。
それによって自分のフィルターに気づき、世界を見る目が変わる。

これこそが本を読む醍醐味だろう。
その醍醐味を思い切り味わうことのできた本だった。

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