青山、いち太。季節ごとの豊かな恵みを五感で堪能できる日本料理屋
夫の誕生日。
夫は相撲が好きなので、誕生日が場所中であれば相撲を見に行っていたのであるが、最近はチケットがすぐ売りきれてしまう。
今年の初場所も見事に取り損ねたので、その代わりに美味しいものを食べに行くことにした。
いち太
選んだお店はいち太さん。
美味しいという噂を聞いて前から気になっていたお店だ。
2週間前に電話をしたら、予約がいっぱい。
ゆっくりする時間が取れなくても良ければ、個室になるが入れるという。
せっかくなので、それでもいいと、席の用意をお願いをした。
お店は地下鉄銀座線の神宮前駅から歩くことしばし。
細い道を入るのだがわかりにくくて、10分ほど掛かってしまった。
季節を楽しむ料理の数々
さっそく個室に通してもらう。
いち太さんのメニューはおまかせのみなので、お酒だけ選んで、あとは待つのみ。
華吹雪という目出度い名前の酒米で作られた日本酒を選んだ。
一品目。
松葉ガニが登場。
ふっくらと蒸された蟹に、京花菜が乗り、蕪の餡が優しく掛かる。
雑味のないカニ味噌がひたすら美味しい。
続いて、とらふぐの唐揚げ。
パリッと揚げられていて、香りがとてもいい。
たくさんある骨を、しっかりと吸い尽くす。(個室で良かった)
ここからの日本酒は、富山の立山。
突然ここでご飯物が登場。
見た瞬間は、「何じゃこりゃ?」。
覗いてみると、見覚えのある光る背中。
なんと、鯖寿司!
サバが滑らかでとろけるような舌触り。
海苔の香りと相まって、最高の一品。
真っ白なお椀が登場した。
車海老と海老芋の雲子餡だと言う。
雲子餡という聞き慣れない言葉について訊ねたところ、京都では鱈の白子をその形から「くもこ」と呼ぶそうで、鱈の白子と薄い葛で餡仕立てにしたものだそうだ。
私の故郷の宮城県では、鱈の白子を「きく」と呼ぶ。
土地によってそれぞれの呼び名があるとは、昔から愛されている食材なのかとしみじみしつつ、いただいた。
海老芋は揚げたて熱々で、ほこほことする。
海老はプリプリしている。
上に乗るのはすずしろ。
餡から漂う柚子の残り香が上品だ。
豊後水道の河豚のぶつ刺し。
さすが熟成加減が完璧で、身が厚くてもムニムニしすぎていない。
そうは言っても、もちろんフグの噛みごたえは残っており、噛めば噛むほど味が広がる。
ポン酢が餡仕立てなので、フグの身とよく絡んで食べやすい。
氷見のメジマグロの炙りをワサビと塩で。
口に入れた瞬間にマグロがとろけた。
はまぐりとコノワタの卵蒸し。
はまぐりの出汁が濃厚で、食べごたえがある。
乗っているはまぐりにも貝の甘味がたっぷり。
コノワタは、いいアクセント。
焼き物の一品目はクエの漬け焼き。
漬け時間を絶妙に計算しているのか、クエの旨味をストレートに残しつつ、タレでコクを加えている。
軽く焦げた部分が香ばしい。
焼き物二品目はとらふぐの白子焼き。
焼き物なのに、なぜかスプーンが添えられて出てきた。
なぜかと思ったら、白子がクリームのようにとろとろで、箸でつまむのは不可能!
最高の舌触りを堪能した。
甘鯛と筍と新ワカメの炊き合わせ。
薄味で、出汁の美味しさにほっとする。
締めのお食事はお蕎麦だ。
冷たいものと温かいもの、いくつかある中から悩んで牡蠣のお蕎麦を選んだ。
出てきたお蕎麦を見てびっくり!
牡蠣が大きい!
手の平サイズと言っても過言ではない大きさだ!
大きいだけではなく、味も濃厚で、こんな美味しい牡蠣があるのかと驚いた。
濃厚な蕎麦湯もいただける。
あまりにお蕎麦が美味しくて、冷たい蕎麦も食べてみたいと思ったら、蕎麦はお代わりができるというので、甘えることにする。
せいろを追加でいただいた。
汁は辛めの東京風。
蕎麦は十割蕎麦で、香りも喉越しもいい。
デザートは、和栗のババロア。
飲み物のようにトロトロとしたババロアだった。
感想
季節の味を最高の状態で楽しめて、とても美味しく嬉しかった。
食材の産地から処理から調理まで全てにおいて気を配っているのが感じられた。
こちらのおまかせコースは1人2万円。
私にとっては、なかなか簡単には出すことのできない値段だ。
でも、座るだけで、これだけの品数の季節を感じる料理が最高の状態で食べられると考えると、納得はいく。
またいつか季節を変えて伺いたい。
そう思わせてくれるお店だった。
お店情報
いち太
東京都港区南青山3-4-6 AOYAMA346 101
03-6455-4023
営業時間:17:30~23:00(L.O.21:00)
定休日:日曜、祝日
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