『ニュータイプの時代』新時代を生き抜く24の思考・行動様式を読んで思うこと
本というものは、自分がよく知っていることばかり書いてある本だと、読んでいて飽きる。
かといって、どんなにいいことが書いてある本だとしても、自分の実感とかけ離れていると心に残らない。
読み進めるうちに興奮してくる本は、頭の中に漠然とあるものをクリアに言語化してくれる本だ。
先日、私にとってのそういう本に出会った。
『ニュータイプの時代』という本だ。
『ニュータイプの時代』
『ニュータイプの時代』。
サブタイトルに「新時代を生き抜く24の思考・行動様式」と書かれている。
著者は電通やボストンコンサルティングのあとに独立された山口周さん。
この本では、これまでの資本主義社会で優秀と評されてきた人物像を「オールドタイプ」と定義している。
そして、今まさに起きている社会構造の変化を生き抜くためには思考や行動様式をアップデートしなければならないとして、今後の望ましい人材である「ニュータイプ」となることを推奨している。
その「ニュータイプ」の具体的な思考や行動について解説している本である。
あらすじ
まずこの本では、社会の変化を6つの視点から解説し、その社会の変化に伴って起こる人材要件の変化についてを7つの切り口から説明している。
社会の変化の6つの視点
まず、社会の変化を下記の6つの視点で説明している。
(一部、私の好きではない表現方法が使われているが、原文ママで表記する)
・飽和するモノと枯渇する意味
・問題の希少化と正解のコモディティ化
・クソ仕事の蔓延
・社会のVUCA化
・スケールメリットの消失
・寿命の伸長と事業の短命化
(社会の変化だけではなく、それに伴い求められる人材がどう変化しているかがこの本の主題なので、この章の個々の説明はとても短い。)
人材要件の変化
人材要件の変化を以下の7つの切り口で説明している。
・価値創造
・競争戦略
・思考法
・ワークスタイル
・キャリア戦略
・学習力
・組織マネジメント
それぞれの切り口は、いくつかの項目で構成され、それぞれ「オールドタイプ」と「ニュータイプ」で比較されている。
例えば、「競争戦略」の章には「ポジショニング」という項目があり、そこにはこう書かれている。
オールドタイプ:「役に立つ」で差別化する
ニュータイプ:「意味がある」で差別化する
その説明として、いくつか例が挙げられている。
車は、快適に走ることで、役に立っている。
そういう意味では、日本車はとても優れている。
しかし、イタリア車といったメンテナンスが必要な車を好んで乗っている人も多い。
「走る」というお役立ち度合いより、フェラーリやマセラティが持つ歴史やストーリーといった「意味」に惹かれて車を選ぶ人がいるのだ。
そして、意味に惹かれて購入する人は、高い値段を出すことを惜しまない。
他のものでは代替不可能な価値を、その意味に見出しているのだ。
この世はモノで溢れている。
そういった時代に選ばれるのは、意味のあるものなのだ。
特に心に残った部分
この本は全体的に、肌感覚で気がついていたことを言語化してくれていると感じたのだが、特に「ワークスタイル」の部分には勇気づけられた。
今、私が活動のメインに置いているストレングスファインダーの考えと通じるところが多いのだ。
・自分の価値が高まるレイヤーで努力する
・内発的動機とフィットする「場」に身を置く
これなどまさに、私自身が会社員時代に生き延びるためにとった生存戦略であり、今個別セッションで伝えていることでもある。
「努力すれば夢は叶う」と闇雲に努力するのではなく、適切な場所で適切な努力を模索する必要があることなど、まさに全世界に訴えたいことである。
感想
この本は、これまでの社会に適応できずに評価されなかった人が読んだら、救いになるだろう。
今はそこそこうまくやれているがこの先が不安だという人が読んだら、道標になるだろう。
これまでうまくいっていたやり方が、この先もうまくいくとは限らない。
このことを頭で理解していても、何を切り替えればいいのかわからないことが多いだろう。
そんなときに、自分の視野を広げてくれる本である。