草喰なかひがしのお昼ご飯。予約難易度の高いお店の絶品料理
野草が好きで、自分でもフキノトウや土筆くらいなら摘んで食べる。
山菜はもちろん大好物だ。
京都に摘草料理と銘打って、野草料理を出すお店があると聞いてから、ずっと気になっていた。
野草なんて誰も興味を持たなそうなのに、ミシュラン2つ星で、予約を取るのが難しいらしい。
地味な野草にここまでスポットライトを当てているなんて、どうしても行ってみたいと思っていた。
草喰なかひがし
なかひがしは、行くのに少々難易度が高い店である。
予約
なかひがしは、とにかく予約の取れない店として知られている。
毎月1日に、翌月分の予約を受け付けるらしいが、電話はなかなか繋がらない上に、一日で予約が埋まるという。
そうは言っても、今のこのご時世、キャンセルをする人もいるかもしれない。
ダメで元々の精神で電話をしてみると、1週間前の予約にも関わらず、「一人なら大丈夫です」と席の確保ができた!
なお、お店で食事をした人は、帰り際に先の分まで予約が取れるそうだ。
このお店で食事をした人枠にも限りがあり、私が行った9月中旬時点で既に1月までいっぱいだった。
2月まで待てない場合は、毎月1日の電話予約に挑むことになる。
なかなかハードルが高い。
お店に行くまで
なかひがしは、銀閣寺から徒歩5分ほどのところにある。
そして、銀閣寺までは京都駅からバスで40分ほど掛かる。
なかひがしでご飯を食べるだけのために訪問するのは、旅行者にとっては時間が掛かりすぎる。
この日の予定は必然的に、南禅寺から哲学の道を通って銀閣寺の観光をすることに決まった。
途中寄り道をしながら2時間ほどのんびり歩いて、ついになかひがしに到着したのであった。
草を食むランチ
なお、私が予約したのは、ランチである。
ランチの開始時間は12時〜13時となっていたが、私を含めて全員の客が12時スタートを選び、一斉にスタートだった。
驚いたのは、こちらが何も言っていないのに、「しずかさんはこちらのお席です」と案内されたこと。
女性の一人客が他にいないからすぐに分かったのだろうが、私以外の全てのお客さんを名前で案内していたことに驚いた。
一度来た客のことは覚えているのだろうか。
さて、さっそく料理がスタートする。
一皿目は、大きな葉っぱに乗って登場した。
9月中旬、芋名月の頃、ということで、大きな芋の葉とすすきがあしらわれている。
上に乗るのは、様々な秋の味覚だ。
ほおずきの中にあるのは、銀杏に卵の味噌漬けを挟んだもの。太陽と月を表現しているらしい。
焼きオクラに挟んであるのは、アユの頭をつぶしてテリーヌにしたもの。
サンマの燻製。
白イチジクと茸の酢の物。
石川小芋の衣かつぎ。
京都の花背で取れた味女どじょう。
石伏魚(ごり)。
とうもろこしを寒天で固めて、ずいきの花に似せたもの。
次は口取り。
格子の器は、菊棚をイメージしているそうだ。
中身は、蒸し栗、豆腐をクルトン状にしたもの、つるむらさき、モロヘイヤの花と菊の花。
モロヘイヤの花が出てくるとは、さっそく草喰で楽しい。
お椀。
京都の白味噌と名古屋の赤味噌の合わせ味噌で、とろっとした口当たりで美味しい。
米原のミョウガに青唐辛子の葉が入り、カボチャと葛を月に見立てている。
鮎の風干し。
昨年取れた鮎で作られた、うるかを塗って焼いているそうだ。
今年の鮎の内臓は、来年のうるかとして再会できるそうだ。
添えられているのは、万願寺唐辛子に煮詰めたトマトを詰めたもの。
鮎をそのまま食べると和風だが、このトマトを乗せるとイタリアンになる。
鉄火ミカンは絞ってもよし、そのまま食べてもよし。
次は賑やかな皿が来た。
中央に鎮座するのは、3ヶ月地下水で飼い慣らして、臭みを抜いた鯉。
睨みをきかせたニラの花。(大将はちょくちょくこういうダジャレを挟む)
黄色く熟したゴーヤ。
スベリヒユ(野草)。
おろせないほど小さい間引大根をシャーベットにしたもの。
ウドの花。
すだち。
菊菜のかいわれ。
乾燥醤油。
ササゲ。
紅葉した山椒と実山椒。
大根とにんじんの間引き菜。
熟した万願寺唐辛子。
ミョウガの花。
大黒時納豆。
鯉の鱗の素揚げ。
これらを全部混ぜて食べる。
甘苦酸というあらゆる味覚と、トロッパリッというあらゆる食感が混ざり合い、一気に押し寄せてくる。
目の前の竈では、米が炊かれている。
その煮え花のおすそ分けを頂いた。
米からご飯に変わる瞬間の、水分をたっぷり含んだお米が一番美味しいと言われているのは知っていたが、始めて食べた。
みずみずしくて甘みを感じる。
芯がまだ少し残り、アルデンテな食感。
次は、炊き合わせ。
さつまいも、レンコンの穴に小豆を詰めたもの、さつまいもの葉、インゲン豆、新生姜の入った生麩、ずいき。
別に小分けのおちょこを貰って、残った出汁を皿から移して飲ませていただいた。
焼き物、笹カレイ。
鹿肉とどちらか選べるが、あまり重くしたくなかったので笹カレイにした。
付け合せの、トマト、玉ねぎ、クレソン、間引きラディッシュ、唐辛子は肉も魚も共通。
なお、ランチコースには6000円と8000円の二種類があるが、その違いは、このお皿が付いているかいないかだ。
次はお口をさっぱりと。
糸瓜、四角豆、カンゾウ、卵茸、ミョウガのおひたし。
上に乗るピンクの四角は、シソ酢を寒天で固めたもの。
ここで、焼き物で魚を選んだ人にのみ、笹かれいの骨が供される。
よく焼かれてパリパリとした魚の骨に、赤万願寺唐辛子を煮詰めたソースが添えられている。
ここからはラストスパートだ。
ご飯の友が続々と出てくる。
マイクロ胡瓜と、太い胡瓜と、椎茸の胡麻ダレ。
焼きナスに、花オクラと普通のオクラの共演。
お漬物。
メインディッシュの目指し。
ご飯も添えられた。
ご飯をいろんな楽しみ方ができるのも、なかひがしの特徴だ。
お焦げは通称パリ。
山椒オイルとイギリスの塩が添えられて、付けて食べる。
お湯漬けは通称ニューヨーク。
梅と紫蘇がいい香りだ。
最後にデザート。
葛の葉があしらわれたお皿の上は、温州みかんのゼリーの上には、バジルと豆腐のシャーベットにバルサミコソースを乗せたもの。梨の上には、山梨(果物)を炊いたソース、山梨(地名)の葡萄。
感想
品数たっぷりで、とても楽しめた。
量は多いが、野菜がほとんどなので、苦しいことはない。
ちなみに私は、予約の時は6000円コースを頼んでいたが、煮え花をいただくタイミングで焼き物の説明があり、そこで8000円コースに変更するかを決めることができる。
お腹の空き具合を確かめつつ、焼き物が何かを聞いた後で選べたのはありがたかった。
今回はお酒は飲まず、炭酸水を頼んだ。
日本酒もいろいろあり、大将オリジナルブレンドの日本酒もあった。
出てくるスピードがゆっくりなので、全部食べ終わるまでに2時間半!
なかひがしの予約が取れたら、直後は予定を入れないほうがいいだろう。
8000円のコース+炭酸水(小)1本で、9240円也。
お店紹介
草喰 なかひがし (そうじき なかひがし)
京都府京都市左京区浄土寺石橋町32-3
075-752-3500
営業時間:
12:00~14:00(L.O)
18:00~21:00(L.O)
定休日:月曜日(祝日も休み。月末の火曜日も定休日となります)
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260302/26001800/
https://www.soujiki-nakahigashi.co.jp/