『言葉にできるは武器になる。』自分の思いを言葉にするためのワーク
自分の意見を全く言えなかった収録現場
先日、NHKの「私たちのこれから」の収録が行われた。
3時間余りの収録の間、私はなかなか自分の思ったことを発言できなかった。
今までも視聴者観覧などでTV番組撮影の現場を訪れたことはあったが、撮影を横で見ているのと、ライトが当たる場所に座るのでは感覚が全く違って緊張した…というのは、言い訳に過ぎない。
完全に自分の力不足だった。
有識者たちがどんどん自分の意見を話して会話を進めていく中に、割り込むことができなかった。
話したいことがあっても、「どう言おう?」と考えている間にどんどん話が進んでしまうのだ。
では、とりあえず割り込もうと思って割り込んでも、考えがきちんとまとまっていないため、話していてグダグダになってしまう。
反省ばかりの3時間だった。
「言葉にできる」は武器になる
必要なのは、思考の深化
落ち込む私の目に飛び込んできた本がある。
梅田悟司さんの書いた『「言葉にできる」は武器になる。』という本だ。
表紙に書かれている「言葉にできないことは、考えていないのと同じである」という文言に惹かれた。
本を開いてみて、さらに惹かれた。
[box class=”box2″]言葉は思考の上澄みに過ぎない(P5)[/box]
[box class=”box2″]思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない(P6)[/box]
私に足りないものはまさしくこれである。
「内なる言葉」から「外に向かう言葉」へ
[box class=”box2″]P22
頭に浮かぶあらゆる感情や考えは、この「内なる言葉」によってもたらされている。(中略)そして、「今自分が何を考えているのか」「頭の中にどんな内なる言葉が生まれているのか」を正確に把握することで、自然と「外に向かう言葉」は磨かれていく。[/box]
私はわりと考えることは好きな方だが(むしろ考えてばかりで行動が遅い)、普段は頭の中に浮かんだ言葉はそのまま流れてしまって、把握することは意識していない。
ブログを書くときに初めて向き合って、文章にする。
ブログは自分のペースで書けるので、好きなだけ自分と向き合い、文章を考えられるが、人との会話の中では、相手は(特に私に興味のない相手は)私のペースを待つわけがない。
常に自分の内なる言葉と向き合って、必要なときにそれを取り出せるようにしておかないといけないのだ。
「内なる言葉」を深めるワーク
この本には、自分の考えを深めるためのワークが書かれている。
まず書き出す
一番初めに、テーマを決めて、それに基づいて自分の頭にあるものを全部書き出すのだが、これだけでもやってみてよかった。
自分の頭にあるものを書き出すといっても、何もないところから書くのは難しい。
本にはヒントとなるフックが例示されている。
例えば、「自分という存在について」というテーマであれば、
・一番大事にしているものは何か?
・どんな時に充実感を感じやすいか?
・やらなければならないことに追われてないか?
・本当にやりたいことは何か?
・他人には負けない得意なことはあるか?
・今後どう成長していきたいか?
といった質問が用意されているので、これを足がかりに、頭に思い浮かぶのを全て書き留める。
本には他にも、「将来について」「人間関係について」「恋愛について」「仕事について」「就職転職について」といったテーマについてのフックが用意されている。
深め、広げ、分類し、足りないものを補い、違う視点を取り込む
頭の中のものを全部書き出したら、それを「なぜ?」と深め、「それで?」と広げ、「本当に?」と視野を広める。
それを分類し、グルーピングする。
そうすると、よく考えている点と、そうでない点が出てくるので、考えが足りていない部分を補う。
その後、自分の視点とは逆の発想だとどうなるか、と考えを広げたり、あの人だったらどう考えるだろうかと考え、自分自身の限界から自分を解放させる。
本では80ページほどを使い、ワークについて解説されている。
私はまず「自分という存在について」というテーマで試してみた。
10日ほど掛かったが、頭の中が整理され、すっきりした。
思考を深めるには、訓練しかない
一回目のワークには時間が掛かったが、どうやって思考を深めていけばいいか、感覚をつかむことができた。
また、分類し、足りない部分を補う、というステップを踏むことで、自分の考えが偏っているのではないかという不安が解消された。
そして、他の人の視点についても考えることで、自分の考えが独りよがりではないかという不安からも少しだけだが解消された。
このワークを何度も繰り返すことで、「内なる言葉」が「外に向かう言葉」になる回路ができていくだろう。
自分の考えを把握して、深めていくことを、意識していきたい。