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しずかみちこ
Gallup認定ストレングスコーチ
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の専門家として、個人やチームが「強み」を活かして最大の成果を生み出すためのコーチングと研修をしています。

リクルートスタッフィングで経理したり、レアジョブの管理部門立ち上げたり、ブラック企業に入ったり、上司の横領見つけて辞めさせられたり、人の会社2つ作ったりと波乱万丈な職歴の後、独立して今に至ります。

投資と経理スキルでお金をデザインし、ストレングスファインダーで強みを活かしたら、人生が楽しくなりました。

趣味は野球観戦と美味しいものを食べること

収集心・最上志向・戦略性・未来志向・分析思考
ストレングスファインダーのnote
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法人よりも個人を優先して守らなければいけない理由

私がかつて働いていた人材派遣会社。
多くのビジネスの大切なことを、この会社で教わった。
その中でも印象に残っている一つが、「トラブルがあったときは、自社の名誉ではなくクライアント企業でもなく、派遣スタッフさんを守りなさい」という言葉だった。

目次

なぜクライアントである法人より、個人を優先するのか

「トラブルがあったときは、自社の名誉ではなくクライアント企業でもなく、派遣スタッフさんを守りなさい」と聞いたとき、自社の名誉よりも他者を優先する理由は理解できるが、派遣先企業と派遣スタッフは対等なのではないかと、最初は思った。

いや、派遣会社は派遣先の企業からお金を貰って、派遣スタッフにお金を払う。
普通に考えたら、自社にとってのお客様は派遣先の企業だ。
それならば、派遣先企業の機嫌を損ねないようにしろと言われてもおかしくはないはずだが、そうではなく派遣スタッフさんを大切にするように言われていた。

その理由を社長に聞いたことがある。
答えは「うちもクライアントも法人だけど、スタッフさんは個人だから」だった。

法人は組織だから人がたくさんいるけれど、スタッフさんは一人。
法人と対等に渡り合えるのは法人なのだから、スタッフさんを一人で戦わせてはいけないよ。
こう言われた。


派遣会社や派遣先企業のような法人と個人である派遣スタッフの間には大きな違いがある。

法人の社員にとって、トラブルとは、仕事上の面倒ごと。
でも派遣スタッフさんにとっては、自分の生活を揺るがすもの。

法人の社員にとって、トラブルとはいくつもある仕事の一つで、仕事だから「家には持ち込まない」という選択もできる。
でも派遣スタッフさんにとっては、人生の一大事で、仕事が終わった後に生活の時間を削って向き合う、逃れられないものだ。

法人の社員にとって、トラブルとは、同僚の誰かが過去に似たようなことを経験していることが多く、相談できる人も専門家を含めてたくさんいる。
でも派遣スタッフさんにとっては、多くの人にとって初めての経験で、どうしていいか分からず、一人で抱え込む。

どの角度から見ても、重さが全然違うのだ。
法人の方が圧倒的に余裕があって、強い力を持つ。

だから、スタッフさんを一人にしてはいけない。
絶対的な味方にならないといけない。
そう何度も言われ続けた。

法人と個人の温度差

今の私は人材業界から離れているが、この話は人材業界に限ったことではない。

法人から個人へ

先日、ある漫画のドラマ化にまつわる悲しい事件が起きて、またこのことを思い出していた。

あのドラマの脚本家は、何度も脚本の書き直しをさせられたあげくに、最後は原作者が脚本を書いたことについて、深くプライドを傷つけられていた。
原作者は、自分が原作に込めた思いが踏みにじられることに、人生を終わらせたくなるほど心を傷つけられていた。
一方で、間に立つテレビ局と出版社は一線を置いたようなどこか他人事にも見えるコメントを出していた。
まさにこれが、法人と個人の間にある温度差だと思った。

脚本家にとっては、脚本の書き直しを命じられ、挙句の果てにクビになるというのは、自分の存在価値を根底から覆された出来事だっただろう。
原作者にとっては、自分が紡いだ物語が改変され、別のものになるというのは、やはり自分の存在価値を根底から覆された出来事だっただろう。
個人にとって、仕事は、自分の存在価値に直結する威力を持つ。

現段階では、脚本家と原作者のそれぞれの思いが、どれだけ相手に伝わっていたかは分からない。
でも、もし間に立つ企業が、自分たちがやることは相手の存在価値に影響を与える大きなことだと認識していたら、こうはならない違った対応になっていたのではないかと思う。

法人の方が圧倒的に余裕があって強い力を持つからこそ、その力を、個人をねじ伏せるために使っていたとしたら、これほど悲しいことはない。

法人の立場にいる人間として個人と向き合うときは、自分には余裕と力がある上に守られている立場だと認識した上で、その余裕と力を個人に寄り添うために使うことを忘れないように意識したい。

個人から法人へ

一方、個人で仕事をしている人に対して、「相手は法人だから、そんなに深く考えていないよ!」と言いたくなることもある。

例えば、私の過去の職業柄(法人の経理を長くやっていた)のせいか「取引先がお金を払ってくれない」と個人事業主の方から相談されることがある。
裁判にでもなっているのかと思いきや、それ以前の段階、例えば督促していなかったり、そもそも請求書を送っていないケースすらもあった。

個人事業主にとって、仕事の対価は自分の価値に直結するので、自分から言い出しにくい。
お金が支払われなかったら、自分に価値がなかったのではないかと悩んでしまうのも分かる。
こちらからお金の話をすることは厚かましいのではと心配になるのも分かる。

でも、相手の企業にとっては、取引先への支払いは無数にある事務処理の一つでしかない。
「何も言ってこないから後回しでいいや」と他の業務を優先されていたり、そもそも処理を忘れていたりするケースがほとんどだ。
請求書だって、相手にとっては数多く届く書類の一つであって、こちらが(私の仕事は請求書を送るに値するだろうか)と悩んでいるだろうなんて思いもしない。

そもそも法人が取引先へ支払いをしても、窓口になる担当者の懐は全く痛まない。
会社の銀行口座から出金されるだけであって、担当者はその残高がいくらあるかすら知らないだろう。
自分の財布に影響がない事柄について、深く価値を考える人はほとんどいないと思っていていい。

個人で仕事をするときは、個人にとっては重い意味を持つお金の話も、法人の一担当者にとっては単なる作業の一つであると認識しておく方がいい。
この温度差を知るだけでも、少しはお金の話が切り出しやすくなるのではと思う。

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