風邪の治し方は、体が知っていた
ある朝、目が覚めたら、体がとても重く、喉がかすかに痛く、頭もずしんと痛かった。
布団の中にいるのに体の芯が冷えていた。
完全に風邪だった。
会社で風邪が流行っていた時も大丈夫だったのに、しばらく公私ともに気が張っていたのが、週末で気が抜けて風邪につけ込まれたようだ。
病は気からとは、よくできた言葉である。
体が求めたもの
家には風邪薬はなかったが、外出する元気もない。
とにかく、身体の言葉を聞くことにした。
vol.1
食欲はなかったが、甘いものが食べたかった。
ピエールマルコリーニのビスキュイという素晴らしい頂き物があったのだけれど、体が欲しているのは砂糖を使った甘いものではなく、芋やカボチャといった素朴な甘さだった。
台所にサツマイモがあったので、レンジでチンして、ふかし芋風にして食べた。
その後トイレに行って、洗濯なんぞをしてたら、眠くなったので昼寝することにした。
vol.2
昼寝から覚めたら、しょっぱいものが食べたかった。
塩気がしっかり効いている、体が温まる食べ物がいい。
それに加えて、塩コショウだけで味付けをしたシンプルな野菜炒めも食べたい。
なので、醤油ラーメンに野菜炒めを乗せて食べた。
その後トイレに行って、掃除なんぞをしてたら、眠くなったのでもう一度昼寝することにした。
vol.3
目が覚めたら、優しい味付けのスープが飲みたかった。
美味しい出汁でたくさんの野菜をことことと煮た、味も食感もやわらかいスープがいい。
なので、家にある野菜を細かく切って、体が温まるように長ネギと生姜を多めに入れたスープを作って食べた。
その後トイレに行った。
風邪が治った!
こんなにトイレに行きたくなるなんて、今年の風邪はお腹に来るのかしら?って思ったけど、別にお腹をくだしているわけではない。
そしてよく考えたら、喉の痛みも頭の痛みも、体の冷えもなくなっていた。
多少倦怠感はあるけれど、ひと眠りしたらとれる程度のものだ。
すごい、薬は全然飲んでないのに、風邪が治っている!!
身体が求めるものを食べて、出すものをとことん出しただけなのに、風邪が治っている!
風邪の治し方は体が知っていた
軽い風邪くらいなら、体が治し方を知ってるらしい。
体ってすごい!
しかも体が私に求めたものは、食事と排泄と睡眠だけ。
なんてシンプルなんだろう!
あまりに動物的な風邪の治し方に、自分の体が愛しくなった。
しかし、体の望みを100%叶えてあげられたのは、たまたまこの日は予定がなかったからだ。
普段はなかなかこうは行かなくて、本格的な風邪に移行してしまう。
分かっているのに無理をして悪化させてしまう、まったく困った生き物だ。
でも、体が求めている時は、できるだけ要望にとことん付き合ってあげましょう。
というわけで、おやすみなさい。