徳仙、浅草。絶品のキスフライ。そしてまさかのカープファンの店!
浅草で夕飯を
その時、私は浅草にいた。
時はお盆。祝日の夕暮れ。
一人でさくっと夕飯を食べようと思いきや、知っているお店はどこもお休み。
お酒抜きで、1000円以下で、夕ご飯が食べたい!
フラフラ歩く私の目に、インパクトのある建物が飛び込んできた。
徳仙
何度もこの店の前を通りかかっているはずなのに、今まで気にも留めなかったのは何故か。
それは、この店が、営業しているとは思えなかったからである。
暖簾が出ていて、看板も出ているのだ、営業していると考えるのが自然だろう。
しかし、この建物の迫力。私の脳内では営業していないものと勝手に変換されていたのだ。
これまた年季が入っている蝋細工のサンプルメニューを見てみると、1000円以下で食べられるものもありそうだ。
意を決して…心を決めるまで店の前を3回往復したが…暖簾をくぐる。
まさかの、激旨
店に入る。
先客は3人。
私はカウンターを案内される。
壁に定食メニューが貼ってある。
アジフライ定食、キスフライ定食、豚生姜定食。各750円。
キスフライ定食とは珍しい。
それを注文する。
店内のテレビでは、広島vs巨人戦を映している。
これだけ見ると普通の昭和の食堂だが、この店は違った。
この外観からは全く想像つかないが、なんとカープファンの店だった!
巨人軍のユニフォームを乗せた車が渋滞に巻き込まれた、という珍しい理由で30分遅れで試合開始だ。
先客達は、阿部慎之助のあと3本に迫った2000本安打について話している。
カウンターの奥からは、カラカラカラと揚げ物の心地よい音が響く。
のんびり試合を見ながら待っていたら、「はいっ!」といい色に揚がったキスフライを手渡された。
キスフライを一口食べて、唸る。
サクッとした衣の歯触りの後、フワッとしたキスの身が、ホロっと口の中でほどける。
この鮮やかな対比はなんだ!!
そこに、シャキッとしたキャベツと、粒が立ったご飯が、更なるリズムを加える。
この素晴らしい演出はなんだ!
糸のように切られた大葉が入った大根の塩もみが口の中をさっぱりとさせ、キスフライの感動をまた一から蘇らせる。
この完璧な構成はなんだ!
もう、本気で驚いた。
まさかこんなに美味しいキスフライ定食が、まさかこの外観のお店で食べられるとは思わなかった。
しかもこれで750円だ。
どうしてこんな素晴らしいことが起きるのだ。
浅草、恐るべし。
感想
きちんと、話そう。
店の外観と内観はある程度比例する。
虫一匹出ないほどのクリーンな環境で食事をしたい人にはオススメしない。
しかし!
この世界は人間だけのものじゃないもんね、と気にしない心を持つならば、絶品のキスフライが食べられる。
ところで、このお店、欽ちゃんこと萩本欽一氏の行きつけのお店だそうだ。
下積み時代の最高の贅沢が、ここのアジフライを食べることだったそうだ。
店の場所柄、今でも芸人さんが通う店と思われる。
実際、この日お話しさせてもらった先客さんも、どこかで見た顔だと思ったら、芸人さんだった様子。
いろんな意味で、濃い店だった。
お店情報
徳仙
東京都台東区浅草2-4-4
03-3841-5596
定休日:水曜日
営業時間:天ぷら 11:30 ~ 20:30、 寿司 17:00 ~ 24:00
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