飯山裕志(日本ハム)引退。鎌ヶ谷の超満員の観客に見せた最後の姿
2017年10月1日、鎌ヶ谷スタジアム
野球を見に行った。
日本ハムvsヤクルトの二軍戦であり、日本ハムファイターズ二軍の今シーズンの本拠地最終戦でもある。
飯山裕志登場
試合の終盤、場内が一際湧いた。
今シーズンで引退を発表している日本ハムファイターズの飯山裕志選手が代打で登場したのだ。
1997年ドラフト4位。プロ入り20年目の息が長いベテランだ。
こんなにも長い間プロ野球の世界に身を置く選手には、2つのタイプがいる。
1つめは、ちょっとでも野球を知っている人なら誰でも名前を知るようなスター選手だ。
巨人の阿部慎之助や、ロッテの福浦和也、中日の岩瀬仁紀のように、球団の顔として存在感を発揮している選手は、球団も簡単には手放さない。
そしてもう1つ。
目立つ活躍をしておらず、かといって全く貢献していないわけでもない、良くも悪くも目立たない選手も、在籍年数が長くなりがちだ。
一軍でレギュラーを取るほどの実力はない。しかし、ユーティリティープレーヤーとして、何かあったときにいてくれると助かる。
こういう選手は年俸も安く、球団側にも積極的に手放す理由がない。
飯山裕志は、完全に後者の選手だった。
代打、飯山裕志
飯山裕志は、ここ鎌ヶ谷スタジアムで長い間二軍のレギュラーを張っていた選手だ。
1997年ドラフト組なのに、まともに一軍の試合に出られるようになったのは2005年である。
それまでの間、ずっと鎌ヶ谷スタジアムでしのぎを削っていた。
この鎌ヶ谷スタジアムに集うファンの中には、ルーキー時代の飯山裕志を覚えている人もいる。
温かい拍手で、飯山裕志の鎌ヶ谷スタジアム最終打席を見守った。
超満員の観客が見守る中、結果は、三振!
ヤクルト風張の投球に対し、バットはきれいに空を切った。
観客はため息交じりの笑顔で、ベンチに引き上げる飯山裕志を迎えた。
守備、飯山裕志
そのまま、飯山裕志は守備についた。
内外野全て守れる飯山だが、最後は、彼の守備能力の高さが一番発揮されるショートのポジションに入った。
容赦ない観客は、ヤクルトの選手に「ショートゴロ頼む!」と野次を飛ばす。
それが聞こえたのだろうか、ノーアウト1塁の場面で、ヤクルト比屋根がショートにゴロを打った。
ぼてぼてのショートゴロ、ゲッツーコース。ショートの腕の見せ所だ!
ところが、ボールは、飯山裕志のグラブにおとなしく収まらなかった。
軽くお手玉をしている間に、一塁ランナーは二塁に近づき、慌てて一塁に投げるも、比屋根の足が勝ってセーフに。
最後の最後に、飯山裕志にエラーが記録されることとなった。
それで、いい
今では守備職人と評される飯山裕志だが、ルーキー時代から今の守備能力を備えていたわけではない。
この鎌ヶ谷で泥まみれになりながらボールを追いかけたその結果が、守備一筋20年のプロ野球生活に結びついたのだ。
飯山裕志の若い頃を知っている観客たちは、目に涙を浮かべながら笑った。
あの頃の飯山裕志を見ているような、そんな郷愁を感じたのだ。
そのまま試合は終了し、飯山裕志の二軍最後のプレーは、エラーということになった。
そう、二軍の観客は、エラーをしてもボールに食らいついて、何年もかけて成長をした飯山裕志を知っているから、それでいい。
10月3日の一軍での引退試合で、守備職人としての実力をよく知っている北海道のファンの前で、華麗なプレーを披露できれば、それでいい。
二軍に長い間在籍した選手が北海道(一軍)に呼ばれると、鎌ヶ谷のファンは、子供の親離れを見るような、寂しさまじりの喜びで送り出す。
泣いても笑っても、飯山裕志を見送るのは、これが最後だ。
「いってらっしゃい!最高のプレーを見せつけておいで!」
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