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しずかみちこ
Gallup認定ストレングスコーチ
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の専門家として、個人やチームが「強み」を活かして最大の成果を生み出すためのコーチングと研修をしています。

リクルートスタッフィングで経理したり、レアジョブの管理部門立ち上げたり、ブラック企業に入ったり、上司の横領見つけて辞めさせられたり、人の会社2つ作ったりと波乱万丈な職歴の後、独立して今に至ります。

投資と経理スキルでお金をデザインし、ストレングスファインダーで強みを活かしたら、人生が楽しくなりました。

趣味は野球観戦と美味しいものを食べること

収集心・最上志向・戦略性・未来志向・分析思考
ストレングスファインダーのnote
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残業時間が減らない本当の理由。仕事を増やすのは上司だけではなかった

残業できない社員が怒られた

毎月の売上金額を算出するために、月末最終日は深夜0時過ぎまで残業をしなくてはいけない部署があった。
小さな子どもを抱えている女性社員も、その日は家族に子どものお迎えを頼んで残業を頑張っていた。
ところが家族の誰もが都合の付かない月があり、その日はどうしても先に帰らなくてはいけなくなってしまった。

翌日、その社員は課長に怒られた。
「皆が遅くまで残業している中、先に帰るなんて責任感のない奴だ。
子どもなんて家に鍵かけて置いておけば、数時間くらい何とかなるだろう?」
ありえない言葉を言われたその社員は、トイレでずっと泣いていた。

目次

残業が減らない理由

表向きの理由

このやり取りの噂が経理にも流れてきた。
経理では以前からその部署の売上集計のやり方に疑問を持っていた。
件数の割に時間が掛かりすぎているのだ。

その部署のメンバーから売上集計のフローを聞いたことがあり、時間が掛かる理由も見えていた。
そこで、その部署の部長にフローの変更を提案した。

変更する箇所はほんのわずかでいい。
実は、ボトルネックは課長だった。
ところどころで、課長の承認がないと先に進めないフローになっていた。
そして、課長の承認を待つ時間が長かったのだ。
フローを少しだけ変えて、課長の承認はまとめて一回だけ貰えばいいようにした。
 

翌月、その部署の売上集計は午後7時に終わった。
フローの変更に加え、課長にその社員が泣かされた話を聞いた他の社員が作業を早く終わらせるために協力して、それまでより5時間も早く終わるようになったのだ。

これで今後は、例の社員も家族にお迎えをお願いできない日は保育園の延長保育をお願いすれば乗り切れる。
新しいフローに慣れれば、残業なしで帰れるようにもなるだろう。

しかし、実際は、これでは終わらなかった。

本当の理由

その部署の課長は、残業することが責任感の表れと信じている人だ。
そのため、残業しない人間は責任感のない奴と考えている。
自分自身についても、誰よりも残業をすることで誰よりも責任感があるという証明をしようと思っている。

一方で、その早く帰った社員は課長に対して怒りを抱いている。
状況を考えずに残業をを強いるひどい課長と、小さな子どもを犠牲にして遅くまで働かされる可哀想な私。
このことを会社中に知らしめたいと無意識のうちに考えている。

双方にとって残業をすることが、自分の願いを叶える手っ取り早い方法だったのだ。

売上集計が早く終わることで自分の責任感が証明できなくなると危機を感じた課長は、売上集計表に新たな項目を次々と追加し、仕事量を増やした。
残業をすることで、自分がいかに責任感があるかをアピールしたいのだ。

一方、残業をすることで可哀想な私をアピールしたいその社員も、課長の命令に完璧に応えるためと言って、頼まれてもいない項目を更に追加し仕事量を増加させた。

その新たな項目を必要とする人は、この2人以外誰もいない。
無駄な仕事と無駄な残業が生まれたのだ。

その後

この状況に、フロー変更に協力した他の社員がブチ切れた。
いくら周りが残業時間短縮に協力しても、その分を他の無駄な作業で埋められては意味がない。

「可哀想な私」を指摘された社員は、すぐに目を覚ました。
残業の原因の発端は課長だったが、自分自身も加担していた。
自分が被害者意識が自分の首を締めていることに気がついたのだった。

その社員は、無駄な残業を止めようと決意した。
「子供に淋しい思いをさせてまで意味のないことをするなんて、私は何をしてたんでしょうね。
もういいです、課長に評価されなくても。
無駄な作業をすることで社内で評価されても、世間的には無能扱いですよね。
もしものときは転職できるように、社外で認められる実力つける方がよっぽどいいです。」
 

彼女は、その日から課長からの作業指示を取捨選択するようになった。
必要な作業は行うが、必要性を感じない作業については「はい」と返事だけして取り掛かりすらしない。
もしその新しい作業をやらなかったことで実際に困ったことが起きたら、そこで初めて対応すればいい。
こういう方針に変えたのだ。

そう言いつつも、最初は怯えながらスルーしていた。
しかし特に問題が起きなかったため、すぐに堂々と笑顔でスルーするようになった。

そのうち課長も自分の指示が実行されないことに気がついた。
しかし、何もトラブルが起きず、困っている人もいないため、怒るタイミングが掴めなかった。
自分一人が空回りしている気持ちになったのか、その社員に対しては、本当に必要な作業指示しか出さなくなった。
 

新しいフローが順調に回るようになった今、売上集計は定時内に終わる作業になっている。
彼女の業務量は随分と減った。
空いた時間で実行した新しい施策が当たって会社の利益に貢献し、彼女の社内での評価も上がっている。

残業が減らない本当の理由を考えてみよう

タスク管理をしたり業務フローを見直したりと残業をなくす努力をしても全然残業が減らないのであれば、他の原因を考えたほうがいい。
仕事量が多くて残業が減らないと思っていても、自分が本気で残業を無くそうと思っているか、自分に問いかけてみるといい。
残業をすることで周囲に認められたい、何かを知らしめたい、といった気持ちが少しでもあるうちは、無駄な仕事を必要なプロセスだと無意識のうちに信じこんでしまう。

残業を減らすために必要なのは、プロセスの変化だけではない。
大切なのは、意識の変化なのだ。

私自身が自分が原因で残業をしまくっていたときの話
https://koto1.com/archives/1684

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