志ま平。神楽坂にある完全予約制の蕎麦の名店のコース料理で日本酒を楽しむ


前から気になっているお店があった。

蕎麦屋なのに営業は夜のみ。
蕎麦屋なのに完全予約制。
蕎麦屋なのにコース料理のみ。
店主が一人で切り盛りしているので、席はカウンターのみ。

一般的な蕎麦屋の印象とは程遠い店なのだ。

巽蕎麦 志ま平

その蕎麦屋、志ま平は神楽坂にある。
一番の最寄駅は牛込神楽坂。
どちらかといえば住宅街に近いような道を歩き、店に到着した。

見事な料理たち

コースはお任せコース一種類なので、席に座ればそのまま宴は始まる。
チロリに入った日本酒を嘗めつつ、料理を待つ。

一品目は四種盛。
最初からお酒が進む組み合わせだ。
青のりがかかった大豆が絶品。

 

次は温かい蕎麦のポタージュ。
優しい口当たりのスープと、上に乗せられた蕎麦の実の香りの力強さの対比が美味しい。

 

そして、蕎麦寿司。
詰まりすぎず緩すぎずの絶妙な巻き加減で、食感からして美味しい。
芯に入る野菜の酢の効き具合も絶妙だし、海苔と蕎麦の相性の良さは言うまでもない。

 

出てきた瞬間、思わず「わあっ!」と声が出た肴の盛り合わせ。
一つ一つ丁寧に仕上げられ、一口で食べられるようにさりげなく包丁が入れられている、気の配りよう。

 

右下のさつまいもの梅肉載せは、さつまいもが煮崩れずきっちり炊き上げられていて、美味しかった。

 

牡蠣も美味しかったし、プチトマトを炊いたのも美味しかったし、蕗の香り高さに感動した。
特に、煮こごりのようなものは滑らかだけれど濃厚で、これがあればいくらでも日本酒が飲めそうな幸せの味。

景虎、真澄、大七生酛と日本酒は進んでいく。

店主がヘラを動かしていたので、もしやと期待していたら、やはり蕎麦がき!
ふわりと空気を含んでいて、箸でスッと切れる。
それでいて口に含むともっちりとして、蕎麦の香りがふわっと鼻を通る。

ネギと醤油が添えられて出される

 

蕎麦がきで幸せになった後は、ガラッと変わってクレープが登場。
ビーツで染めたという薄桃色のそばクレープだ。
クレープ生地の優しいほの甘さとシャキシャキの野菜が美味しい。

 

そして最後はもちろん蕎麦。
せいろ、深山、合鴨、かけそば、といった選択肢の中から、せいろと深山の二色盛りをお願いした。

つけつゆはしっかりとした味で、江戸っ子ではないが、下の方をスッとつけて、さっと食べなくてはと思わせられる。

そしてこの二色盛りが素晴らしい。
喉ごしで食べるせいろと、しっかり噛むことで蕎麦の香りと味を深く堪能できる深山と、性格の違いがはっきり分かる。
ただ違う蕎麦を載せているだけではなく、蕎麦の奥深さを感じるためのこの二種類なのだ。

左がせいろ。右が深山。蕎麦の切り方ももちろん違う

追加で注文できるらしい、そばがき汁粉、伊吹だんご、そばアイスといった文字にも惹かれたが、お腹がいっぱいになったので諦めることにした。
とても満足した夜だった。

食後の蕎麦湯はなんと柚子入り!優しい香りにほっとする。

感想

店主一人で切り盛りしている完全予約制の蕎麦屋ということで、店主は気難し目な頑固親父なのかと想像していたが、予想は完全に誤っていた。
実際はとても気さくで、一見さんの私たちにも優しく話しかけてくれ、いろいろなことを教えてくれた。
頑固親父なんてとんでもない。
むしろ、店主との会話を楽しみにきているお客さんが多いのではないだろうか。

お店を今のスタイルに切り替えたのは、店主が60歳の時だそうだ。
それまでももちろんこのお店をしていたが、60歳を機会に、定年退職して第二の人生を歩もうという気持ちで、夜のみ予約のみのスタイルに切り替えたのだそうだ。

今、私は43歳。
近くのものが見えにくくなり、夜遅くまで起きていられなくなり、怪我の治りが遅くなり、少しずつこれからの人生についても考えさせられている。
自ら節目を決めて働き方を切り替えるというのは、素敵な考え方だ。

美味しい蕎麦を食べにきたつもりが、人生のヒントまでもらった訪問となった。

お店情報

志ま平
東京都新宿区納戸町33 ガーデンヒルズ市ヶ谷 1F
03-5261-8381
営業時間:18:00~(完全予約制のため前日までに予約が必要)
定休日:日曜日

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