鮨處やまだ 銀座の熟成寿司、この味とこの量でこの値段は安い!
「熟成寿司」という言葉を知ったのは、つい最近のことだった。
先日食べた「熟成肉」がたまらなく美味しかったので、お寿司にも期待が持てる。
https://koto1.com/archives/8878
都内に熟成寿司の店は何店かあるようだが、一番リーズナブルという噂のお店に行くことに決めた。
鮨處やまだ
新橋駅から数分歩き、たどりついたのが鮨處やまだ。
店内はカウンター席8席のみ。
メニューはお任せコース1種類のみ。つまみ等はなし。
何とも言えない潔い店だ。
至福のお寿司たち
席に座る。
飲み物を聞かれる。
飲み物メニューも無く、「ビール」「日本酒」「ウィスキー」などなど、飲みたいお酒を言うとおもむろに出てくる。
私は日本酒をお願いした。
隣の席の方とは違う日本酒が出て来た。
そして、私の舌がとても喜ぶお酒だった。
どういう見極めをしているのだろうか。
私のところに出て来たのは、群馬の町田酒造。
内陸のお酒らしい味の強さが、しゅわっとした舌触りで中和され、バランスが取れている。
そして、さっそく握りが始まる。
まず最初はスミイカ。
固めに炊かれた米が小振りに握られており、余裕で一口で口に入る。
シャリの温度はネタと同じくらいだ。
次はマグロ。
ん!?シャリが先程より温かい。
マグロの香りはその方が引き立つ。
もしかして、一貫ごとに、シャリの温度を変えているのだろうか?
ひらめ。
白身の魚だが、味が濃く、とても美味しい。
甘鯛。
こちらも、しっかりとした味わい。
しいたけ。
…しいたけ!?!?
軽く炙られ、水分がほどよく抜けた椎茸が、なぜかシャリと合う。
握っているのを見たときはギョッとしたが、これはこれで悪くない。
中トロ。
温かめのシャリのおかげで、トロの脂がふわりと溶け出し、香りがとてもいい。
赤貝。
とろりとしたトロの後に、しっかりした歯ごたえの貝。
この緩急もしあわせ。
鰆は炙りで供された。
香りがいい。
帆立。
下ごしらえの段階で客の目を釘付けにしていたホタテ。
ホタテといえば、薄切りにするものだと思っていたが、こちらのホタテは桂剥きされるのだ。
桂剥きに耐えられるほど、ぷっくり厚みのホタテは、もちろん食べてもプリプリで、口いっぱいに甘みが広がる。
さっと茹でられ、握られた、しらうお。
崩れやすいので手渡しで供される。
しらうおは、茹でた方が身の甘みが際立つ。
ホッキ貝。
ワサビと胡椒がアクセントに。
口に入れた瞬間に胡椒の香りが広がる。
貝の甘味と胡椒の香りがいい。
胡椒は辛くなく香りのみなので、ホッキの旨味を邪魔せず、ただただ引き立てている。
海老ちゃん。と言われて出て来た海老ちゃん。
身が厚くてしっかりとして、甘い!
鯛の稚魚、カスゴ。
身が柔らかい春の味。
写真を撮り忘れた。。
イワシ。
よく焼けてるが、脂がたっぷりなので全くパサつきがない。
お任せコースの最後は玉子だった。
まだ熱い。
プルプル震える玉子は、甘くて美味しい。
ここで、大将から質問が入る。
「追加しますか?」
この答えが非常に重要になる。
もし追加するなら、あと何貫食べるかを答えるのだが、一発勝負だ。
一度、何貫食べるかを申告したら、再追加は不可能なのだ。
真剣に考えこむ私とは対照的に、即決型の夫(なお、ストレングスファインダーの「適応性」は即決が得意と言われている)は迷わず答える。
「10貫お願いします!」
10貫も食べたら、いったいいくらになるのか。
慌てて頭で計算しつつ、私が食べていないものを夫だけが食べるのも悔しいなと思う。
そこで私も答える。
「10貫お願いします!」
さて、ここから追加分がスタートだ。
追加一品目は、熟成まぐろの赤身。
14日間寝かせたらしい。
先程食べた赤身より、味が深い。
次は、熟成さくらます。7日間。
ねっとり濃厚に変化している。
驚くほど大きな牡蠣。
というか、牡蠣の握りは初めてだ。
「(牡蠣を)三回噛んだらこれを飲んでください」と熱い煮汁を渡された。
そうは言っても、ぷくぷくとした牡蠣がそのままで美味しいのだ。
うっかり5回くらい噛んでしまい、大将と目が合う。
慌てて、出し汁を飲む。
美味しい!口の中が牡蠣の風味でいっぱいになり、何も考えられなくなる。
小肌。
酢はほんのり効く程度。ただ酸っぱいだけの小肌もあるなか、好印象。
噛み締めると美味しい。
熟成中トロ。10日間。
ねとっとした舌ざわり。
脂が旨味に転化している。
大きなはまぐり。
噛めば噛むほど味が出るので、飲み込むのが勿体ない。
穴子。
ふわふわで、口の中でとろけていく。
大トロ。
こちらも口にいれた瞬間に溶けた!
大トロの余韻が残ったまま、手渡しされたウニを頬張る。
なんと、トロの脂が消えてさっぱりする。
大トロの口直しがウニだなんて、なんて贅沢なのだろう。
そして、ついに最後の一貫となった。
これ以上の追加の注文はできないため、泣いても笑ってもこれで最後となる。
最後に手渡されたものは、「あん肝のエベレスト」と名付けられたものだった。
ラップの上からしっかり練られたあん肝が、海苔とシャリの上に山盛りとなっている。
口一杯にあん肝を頬張る贅沢!
この味と余韻はしばらく口の中に留まった。
感想とお値段
ラスト5貫の怒涛の流れがすごかった。
特に最後の3貫の流れは美しかった。
「ストーリーを考えて出しているから、追加は一回しか受けてないんですよ」と大将は言う。
確かに、納得だ。
結局、お任せ15貫に追加で10貫と、合計25貫も食べてしまった。
ひとつひとつが小ぶりなのでペロリと食べられてしまう。
ただ、我々以外のお客様は、2貫~5貫の追加だったので、適正量はそれくらいかもしれない。
さて、気になるお値段は。
夫がビール+日本酒1杯。私が日本酒1杯。そしてお互いがお寿司を25貫ずつの50貫。
これで合わせて税込41500円だった。
お任せが1人前10000円。
お酒は1杯800円、お寿司は1貫800円といったところか。
銀座でこの味のお寿司を食べれるのだから、安いと感じた。
なお、クレジットカードは使えないので注意!
お店情報
鮨處やまだ
東京都中央区銀座7-2-14 第26ポールスタービル 3F
03-3572-7534
営業時間:18時~21時30分
定休日:日、祝日
[box class=”box28″ title=”同じ地域の他のお店”]
銀座の他のお店の情報はこちら
[/box]