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しずかみちこ
Gallup認定ストレングスコーチ
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の専門家として、個人やチームが「強み」を活かして最大の成果を生み出すためのコーチングと研修をしています。

リクルートスタッフィングで経理したり、レアジョブの管理部門立ち上げたり、ブラック企業に入ったり、上司の横領見つけて辞めさせられたり、人の会社2つ作ったりと波乱万丈な職歴の後、独立して今に至ります。

投資と経理スキルでお金をデザインし、ストレングスファインダーで強みを活かしたら、人生が楽しくなりました。

趣味は野球観戦と美味しいものを食べること

収集心・最上志向・戦略性・未来志向・分析思考
ストレングスファインダーのnote
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楽天優勝を決めたのは、星野仙一の神采配だった。2013年9月26日

球場の空気が変わる瞬間がある。
その時のスコアや状況に関係なく、今日は勝つ、という空気がじわじわと拡がり、ぐわーっと球場を包みこむあの瞬間。

野球の神様が降臨したとさえ感じるあの空気はめったに味わえるものではないが、野球好きとしてあれ以上の至福の時はない。

目次

2013年9月26日、西武ドーム

星野仙一の英断

楽天がマジック2で迎えたこの試合。
札幌の日本ハムvsロッテ戦にてロッテが負け、ここ西武ドームで楽天が勝つと、楽天の優勝が決まる。
しかし激しい3位争いをしている西武ライオンズはこの楽天との3連戦のうち既に2試合連続で楽天にサヨナラ勝ちをしており、流れは完全に西武に向いていた。

青山浩二と加藤大輔という2人のセットアッパーが2日連続でサヨナラ打を打たれた楽天・星野仙一監督は、思い切った策にでた。
優勝が掛かったこの試合は、楽天の若きエース田中将大を胴上げ投手として使うと明言したのだ。

半信半疑だった楽天ファンは予告先発を見て驚いた。
本来のローテーションでいえば田中将大が先発するはずの試合で、違う投手の名前が告げられたのだ。
この年、田中はこの時点で22勝0敗という驚異的な記録を打ち立てている。
星野監督は、本気で田中将大に抑えをやらせるつもりなのだろうか。

三木谷オーナーも試合を観戦

試合開始

楽天は美馬、西武は増田の先発で試合が始まった。
6回裏が終了した時点で、西武3-1楽天と、楽天が2点負けていた。
札幌ではロッテが3点差をつけて勝っているらしい。

ロッテが負けて、楽天が勝たないと、優勝はない。
今日はもう無理かなとファンが諦めかけたとき、勝ち試合で投げるはずの田中将大がブルペンで準備を始めた。

ブルペンにて投球練習をする田中。先発投手はブルペンに入らないため、とても珍しい光景だ

西武ドームは、投手がブルペンで準備をする様子がファンにも見える球場である。
ブルペンの様子に気付いたファンのざわめきが球場全体に拡がっていく。

星野監督は本気で田中に胴上げ投手を務めさせるつもりらしい。
つまりまだ勝利を諦めていないということだ。

チームが勝利を諦めていないのに、ファンが諦めるわけにはいかない。

ファンが気合いを入れ直したそのとき、札幌に動きがあった。
日本ハムは、陽岱鋼、杉谷拳士の連続安打に西川遥輝の犠牲フライ。
さらに小谷野栄一のヒットに佐藤賢治の走者一掃タイムリーという激しい連打で4点を取り、ロッテに逆転したのだ。

「日ハムが逆転した!ロッテ負けてるぞ!!」
グラウンドの選手に向かってファンが口々に叫ぶ。
「日ハムが逆転したぞ!次はこっちの番だ!!」

沈滞気味だった空気ががらりと変わった。

ざわめきの中から生まれる勝利への希望。

野球の神様がやってきた。
 

7回表、楽天の攻撃。
2アウト満塁のチャンス。
頼れる主砲のアンドリュー・ジョーンズが、走者一掃の二塁打を放った!
逆転だ!

AJの走者一掃タイムリー!


 
スコアは楽天4−3西武。

球場を占めていた勝利への希望は確信へと変わり、楽天は優勝に向かって進み始めた。
 

そのまま楽天の1点リードで迎えた9回裏。

札幌では、楽天の優勝を阻止したい2位のロッテが最後の意地を見せていた。
日ハム抑えの武田久から2点を奪い、日本ハム6-5ロッテと、1点差まで詰め寄っていた。
さらにロッテのチャンスは続いている。

ここでロッテが逆転したら、楽天は勝利しても、この日の優勝はない。
それでも田中将大は投げるのだろうか?

ブルペンの扉が開いた。
出てきたのは、田中将大だった。

絶対この日、優勝を決める!
星野仙一監督の強い思いが表れた采配だ。
監督の熱い想いを受け、球場内のボルテージは最高潮まで駆け上がる。

田中が軽く一礼をしグラウンドに足を踏み入れた時、ファンの叫び声が聞こえた。

「札幌、終わった!ロッテが負けた!あとは俺たちが勝つだけだ!!」
 

最高の投手が最高のタイミングで最高の舞台に上がる。
ここまでくれば奇をてらったことをしなければ勝てる。
そして田中は必要以上に自分を大きく見せたりしないピッチャーだ。
野球の神様はこういう選手が大好きだ。

投げる田中将大

西武ファンも必死に逆転を祈り声援を送るが、野球の神様を味方につけた球場の空気は揺らがない。

1アウト2塁3塁からの圧巻の投球。

見ているだけで背筋に電流が走るストレート。

27000人を超える観客、監督、コーチ、フロント、裏方、そしておそらく野球の神様。

全ての人の視線がマウンドに注がれていた。

この痺れる空気の中、楽天最強のエースは、この年一番のガッツポーズを見せた。

マウンドに集まる楽天選手たち

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