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税理士試験、消費税に挑む。消費税ってどんな税金?そして引っ掛け問題。


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税理士講座に申し込む

前回の記事で、簿記3級に受かったから浮かれて税理士試験受験を決めたと書いたが、当時の日記を読み返してみたら、少し違っていた。

税理士受験を決めたのは、簿記3級の試験終了直後。
試験の手応えがあまりにも良くて、合格発表を待たずに浮かれて税理士受験を決めたというのが事実だった。
アホすぎる。

とにかく、浮かれた私は、税理士講座を開講している学校をいくつか探し、家から通いやすい場所にあった大原簿記専門学校の税理士講座の受講を決めた。

税理士試験概要

税理士試験は年1回、8月に行われる。(合格発表は12月)

受験科目は、簿記論と財務諸表論の2科目が必修。
法人税もしくは所得税のどちらか1つも必修。(両方受験しても可)
そして他の税金科目(相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)の中から2つ(所得税と法人税の両方に合格した場合は1つで可)の計5科目に合格する必要がある。

この5科目は一度に合格する必要はなく、どれだけ時間が掛かっても、最終的に5科目合格すれば問題ない。

税理士講座の選択

税理士試験は年に1回8月にしかないため、初学者向けの税理士講座は9月開講で1年掛けて学ぶのが王道だった。

しかし、時は11月。
通常の選択肢は、簿記の勉強をしながら翌年の9月まで待つか、もしくは年内は倍速で授業を受け、年明けから9月開講講座と合流する講座を受講するかだ。
ところが私は無謀にも、税理士受験経験者用、つまり12月の結果発表を見てから申し込むことができる1月開講講座を選んだ。
理由は、受講料が安かったからである。

受験科目だが、多くの初学者は、最初に学習する科目として簿記論か財務諸表論を選ぶ。必修科目だからだ。
しかし私は消費税を選んだ。
理由は、受講料が安かったからである。

消費税法

日本で消費税が施行されたのは1989年4月のこと。当時の税率は3%。
1997年4月に5%にアップ。
2014年に8%にアップ。

私が消費税法の講座を受講し始めた2000年1月当時、消費税は5%だった。

税金の法律は難しいのか?

税金の法律というと、難しいと感じている人が多いのではないだろうか。

実は、税金の法律というものは、シンプルに設計されている。
新しい税金導入に対する金銭的負担の他に、事業者にとっては事務処理の負担もある。
導入当初の税金は、なるべく事務処理の負担が掛からないように、注意深く考えられているのだ。

税金の法律が複雑になる要因は、イレギュラーを多く作るからである。
消費税も、同じだ。

消費税の課税対象は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引」である。
これだけであればシンプルなのだが、そこにいろいろな人の思惑が入る。

「低所得者からも消費税を取るのか!」という声が上がれば、生活必需品に消費税を掛けるのは止めようとなる。
それなので、賃貸住宅の家賃、学校に払う授業料や入学金や教科書代、病院に払う診療費などは消費税が掛からない。

「身体障害者からも消費税を取るのか!」という声が上がれば、身体障害者の方が生活するための補助器具には消費税を掛けるのは止めようとなる。
それなので、車椅子や盲人用の杖、義肢などには消費税が掛からない。

「人の死からも消費税を取るのか!」という声が上がれば、人の死に掛かる費用に消費税を掛けるのは止めようとなる。
それなので、火葬料や埋葬料にも消費税が掛からない。
 

ちなみに、今後導入予定の軽減税率やインボイス制度もこういったイレギュラーなものだ。
軽減税率は、低所得者への更なる配慮が目的とされ、消費税導入時には見送られた食品に配慮がされることとなった。
インボイス制度は、消費税導入時から問題とされていた、益税(免税事業者が消費者から受け取った消費税を納税しないこと)への対策である。

こうやって税金が導入されて時が経てば経つほど、多くの人の要望を取り入れようとするため、イレギュラーが増えて複雑に難しいものになるのだ。

税法は美しい

これは消費税法に限ったものではないと思うが、条文というのは、よく考えられて作られている。

消費税法によく出てくる言い回しにこういうものがある。
「その受領日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日」

これは、3月末日決算の会社でいえば6月1日を指すのだが、決算日は会社ごとにバラバラだ。
また、決算期間も1年とは決まっていない。
どんな会社にも適応するようにと条文を考えた結果、こういう回りくどい言い回しになっているのだ。

他にも、条文同士が矛盾しないようにするために、各条文は非常に練られた凝った言い回しとなっている。

ありとあらゆる可能性に目を配り、その可能性を一つずつ潰している消費税の条文を、私は美しいと感じた。
同時に、これを作り上げる苦労に気が遠くなった。

消費税受験

受験勉強

2000年の1月〜8月まで、かなり熱心に受験勉強に取り組んだ。
生活のためにアルバイトをしていたが、それ以外の時間はほぼ全て受験勉強に充てた。
アルバイト中も暗記すべき条文を書いた紙を持ち込んで、隙あらば見ていた。

受験当日

実は、受験当日の記憶はほとんどない。

受験場所はどこかの大学だったが、その記憶すらない。
ただ、受験会場の一つだった近畿大学には当時クーラーがなく、近畿大学が会場になると地獄だと言われていた。
受験の申込みが遅くなると近畿大学に回されるという噂があったので、早々に申し込みをし、近畿大学を免れたのだけは覚えている。

あと、同じ教室にそろばん受験者がいたのも覚えている。(通常は電卓を持ち込む)
カチカチカチカチとそろばんの玉を弾く音が響き渡っていた。

試験の手応え

さて、試験はというと、ボロボロだった。

消費税法は計算パートと理論パートがある。
計算は、企業の事例が出されて、その会社の消費税を計算する。
理論は、設問に対して該当する消費税の条文をひたすら記載する。

計算は、手応えがあった。
最後、少しミスをしたが、配点は低い部分だろう。
満点に近い点数が取れたと思った。

理論は、ボロボロだった。
税理士試験の理論は、条文を一字一句、句読点の位置まで正確に書き記さなければならない。
しかし、もともと記憶力に自信がない私は、試験の緊張で、テスト用紙が配られた途端に頭が真っ白になってしまったのだ。
頭に残る条文の断片を必死に繋ぎ合わせて、なんとかそれなりの形にしたが、模範解答を見るまでもなく、ひどい出来だった。

合格発表

2000年12月、私は、消費税法に合格したという通知を受け取った。

これは、ラッキーだったとしか言いようがない。

引っ掛け問題

この年の税理士試験の計算パートは、引っ掛け問題が出されていた。
詳細は覚えていないが、引っ掛けの種類としては、「掛けて割る」か「割ってから掛ける」といった部類だった。

例えばこういうことである。(当時とは法律が変わっている部分があるため現在の法律に置き換える)

現在の消費税法では、2期前の売上高が1000万円を超える場合、課税事業者となる。
会社によっては、決算期間が1年未満のところもある。
その場合は、売上高を1年間に換算する。

決算期間が10ヶ月の会社の2期前の売上が8,333,335円だとする。
その場合、この8,333,335円を10で割って1ヶ月の平均売上高を出して、そこに12を掛けて1年間の売上を推定する。
計算式で書くと、8,333,335×12/10、となる。

正しい計算方法は、まず一ヶ月分の平均売上高を出すため、最初に10で割り、その後に12を掛ける。
8,333,335円÷10=833,333.5円→1円未満切り捨てで833,333円
833,333円×12ヶ月=9,999,996円
つまり、1000万円以下なので、免税事業者である。

しかし、計算式に釣られて、こう計算する人が案外多い。
8,333,335円×12=100,000,020円
100,000,020円÷10=10,000,002円
この方法で計算すると1000万円を超えるため、課税事業者という誤った回答になってしまう。

消費税の条文で正しい計算方法は定められているが、多くの場合で先に掛けようと割ろうと計算結果が同じになるので、意識している人は少ないのだ。
ところが、この回では、その滅多にない落とし穴を付いてきた。

ここで間違えると、その後の計算が全て誤りになるため、点が全然取れなかった人が多いと思われる。

合格の要因

消費税法の試験の採点は、まず計算パートを採点し、合格基準に達した人だけが理論パートも採点をしてもらえる。
そして、その中での上位者だけが合格する。
(当時はそう言われていた。今は分からない)

この回は、計算パートで合格基準に達した人が少なかったため、理論パートがボロボロだった私でも、上位に食い込むことが出来たようだ。

そういうわけで、思いがけず、合格通知を手にすることができた。

さて、どうする?

8ヶ月必死に頑張った結果、念願の合格通知をまずは1科目分手に入れることができた。

しかし、私は、片手に預金通帳、片手に親からの手紙を持ち、その後も税理士試験受験を継続するかを迷っていた。

次回に続く

次の記事は→税理士試験に科目合格したのに、税理士になることに挫折した理由

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