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同期からの思いがけない一言が、追い詰められていた私の心に風穴をあけた


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同期会のお誘い

こんなに頑張っているのに、どうして誰も分かってくれないのだろう?

そういう思いで八方塞がりになっている私のところに一通のメールが届いた。
東京で行われる全社員総会に合わせて同期会をやろうというお誘いだった。

この会社では毎年、全社員を集めての社員総会がある。
通常は4月に行われるのだが、役員体制の変更があり、この年だけ7月に行われることとなっていた。

20人弱いるこの年の5月1日入社のメンバーは、東京、名古屋、大阪と勤務地は違うが仲が良く、マメに連絡を取り合っていた。
大阪は私一人だったが、東京組と名古屋組も配属の支社や部署がバラバラで普段会えないので、皆でまた会いたいとのことだった。

会社で孤立し孤独感に打ちひしがれていた私は、そのお誘いがとても嬉しかった。

同期会

2ヶ月ぶりに会う仲間は皆元気そうだった。
皆が一斉に、この2ヶ月の間に起きたあれやこれやを伝えようとするので、会はにぎやかだった。

「経理においでよ」

経理に配属になった同期が私のところにやってきた。
この同期は公認会計士の勉強をしていたことがあるため、税理士の勉強をしていた私に親近感を持ってくれ、気に掛けてくれていた。

「しずかちゃん、最近どう?」
私は、仕事がうまくいっていないこと、人間関係も最悪なことを簡単に話した。

すると、同期は言った。「今の場所が辛いんだったらさ、経理においでよ」

おいでよと言われて行けるものなら話は簡単だ。
何を言ってるの、と笑う私を制して、彼は声を潜めてこう言った。
「まだ秘密なんだけどね…」

話を要約するとこうだった。
・会社が来年の4月に新しい人事制度を導入する
・それは社員が自分の希望部署に異動できる制度
・具体的には、人が欲しい部署が募集を出して、そこに行きたい社員が手を挙げる
・社員が手を挙げるときに上司の許可はいらない

そして、更に声を潜めて言った。
「まずこの10月に一部の部署でお試しでやってみることになってるんだよね。
で、実は経理が一人辞めることになって、その補充をこの新制度でやる話が進んでる」

そして、もう一度言った。
「だから、しずかちゃん、経理においでよ」

思いがけない話に、私はとても驚いた。

彼は楽しそうに話を続ける。
「もし、しずかちゃんが手を上げたら、俺、上司に推薦するからさ。今やりたい仕事があるんだけど、しずかちゃんは税務に詳しいから、一緒にやれたら心強いんだよね。その仕事はね……」

最後に彼はこう言った。
「大阪から東京に来ることになるから簡単には決められないだろうけど、募集が始まるのは8月に入ってだから、1ヶ月あるから考えてみてよ。
ほんと、しずかちゃんが来てくれるなら、俺、応援するからさ」

迷う迷う迷う

経理に異動できるかもしれない。
これは、思いがけない展開だった。

私はもともとは経理職が希望だった。
しかし、実務経験がないと経理職にはつけないと言われて諦めていたのだ。

だが、もう一度、経理職に挑戦するチャンスがくるのだ。

迷う理由

今の仕事は合っていない。
人間関係も最悪。
そこに降ってきた、やりたい仕事ができる可能性。

迷う余地はなさそうだが、当時の私はとても迷っていた。

迷う理由はいくつかあった。
・東京で暮らせるのか
・今の場所から逃げることが許されるのか
・経理に移ってもまた嫌われるのではないか

1つ目の「東京で暮らせるのか」は、当時の地方出身者特有のものだと思う。
かつては地方の人間にとって、東京とは「夢が叶う場所」であり、「とても怖い場所」であった。
私も幼い頃から「東京は怖いところだ」と聞かされて育ったので、単純に東京に住むことが怖かった。

2つ目の「今の場所から逃げることが許されるのか」については、よく分からなかった。
私がいない方が皆が喜ぶ気もしたが、こんな根性無しでいいのかとも思った。

3つ目の「経理に移ってもまた嫌われるのではないか」が一番怖かった。
私は「こんなに頑張っているのに、誰も分かってくれない!私が絶対正しい!」と思いつつも、心の奥底では自分に自信がなかった。
経理の同期は「応援する」って言ってくれたが、それは私をよく知らないからの発言であって、一緒に仕事をしたら嫌になるかもしれない。
東京まで行って嫌われるよりも、今ここで現状を我慢している方がまだマシなのではないだろうか…。

ほんの少しの余裕

「経理においでよ」と誘われる前の私だったら、これ以上考えることを放棄していただろう。
追い詰められていた私は、何も考えたくない心境で毎日を過ごしていた。

ただ、「経理においでよ」の一言で、心に少し風穴が空いた。
今の場所に留まる以外に、逃げ道があることが分かったのだ。
風穴から光が差し込んでいた。

追い詰められて視野が狭くなっていた私だが、その光のおかげで、違う角度から物事を見ることができるようになっていた。

そして、私は考えた。

どうして、私は嫌われているのだろう?

これが分からない限り、経理に異動してもまた嫌われるかもしれない。
そして、もし嫌われる理由が分かったら、今の部署と経理部とどちらがいいか判断できるかもしれない。

私は、自分を客観的に見つめてみた。

これは、とても苦しいことだった。

次回に続く

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