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経理部長に教わった2つの経理部員の心得は、会社員の心得でもある価値ある言葉だった


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前の記事はこちら→2001年9月の2つの出来事。9月11日と9月26日。

経理部に異動

2001年10月1日。
経理部勤務初日。

経理部の皆はとても温かく迎えてくれた。
特に「経理においでよ」と誘ってくれた同期は、私が異動できたことをとても喜んでくれた。

経理部には、パンクでロックな雰囲気をまとう人がいた。
新入社員研修の経理のコーナーで登場し、経理というのは真面目で固い人の集まりだと思っていた私を仰天させた人だ。
彼女は外見によく似合うかすれた声で言った。
「私、社長秘書もやっているの。よろしくね!」

私が持つ「経理課員」のイメージを壊した人は、「社長秘書」のイメージも叩き壊してくれた。
とにかく、前にいた部署とは全く違う環境らしいということを理解した。

経理部長の話

異動初日はまず経理部長と話をした。

経理のメンバーは全員年齢が1つずつ違う、といった他愛のない話もしたが、印象に残った話は2つある。

経理部員の心得・1 自分の発言は会社の発言と心得よ

部長は言った。
「自分の考えとして話したことも、人によっては経理の考え、会社の考えと受け取る人が出てくるから、そのつもりで発言しろ」

経理というお金の流れを管理する部署の性格上、他部署よりも早く情報を知ることがとても多い。

それだけではなく、この会社の経理と社長の距離はとても近かった。
物理的にも社長の席の目の前が経理の島だったし、社長秘書が経理にいる関係でコミュニケーションも密に取っていた。

そのことを知る人の中には、経理部員の発言は社長の意思を反映しているものと受け取る人もいるらしい。
そういう人は、私が憶測で話したことや自分勝手な妄想、もしくは冗談であっても、会社側からの発信と受け取りかねないのだと部長は言った。

相手の目には、自分自身がどういう立場の人間として映っているのか。
常日頃から自分の立場を意識して発言する訓練をするようにと部長は言った。

経理部員の心得・2 誰のことも特別扱いをするな

もう一つ部長は言った。
「経理の人間という理由で、仲良くしようとしてくるヤツには気をつけろ」

この会社は社風的にとても自由で、数億円の買い物をするにも稟議書がないほどの自由さだった。
それでもルールはある。
そして、普段から経理に親しげにしておいて、見返りにルールの特別扱いを望む人などもいるらしい。
中には、経理が持つ情報を目当ての人もいるだろう。

だから、理由もなく普段から必要以上に近づいてくる人は、何かを腹に隠し持っているかもしれないから気をつけろ、ということだった。

とはいえ、そうは言っても、会社の人とは仲良くしたい。
そのときに取れる対応は、相手が誰であれ特別扱いをしないことだった。

誰か一人でも一度でも特別扱いをすると、「なんでアイツだけ」「前回は良かったのに何で今回はダメなの」といったことが起こる。
どんなときも誰にでも同じ扱いをすることで、経理には特別扱いをお願いしても無理だと思ってもらうことが、無用のトラブルを減らす。

そうは言っても、仲良くなると情が湧いて、「今回だけはいいよ」などと言いたくなる。
しかし経理部長自らが、相手が誰であれ特別扱いをしないことを徹底的に実践していたので、自然と学ぶことができた。
経理部長は、相手が社長であろうと、「それはできません」「それは違うと思います」とハッキリと言う人だった。
 

それどころか、経理部長は自分自身すら特別扱いをしなかった。

この数カ月後のことだが、会社の給与制度の変更に伴い、インセンティブ制度が変更されることになった。
インセンティブとは、営業が、営業成績によって給与とは別に得られる報奨金のことである。
経理のような非営業部門であっても会社全体の業績によってインセンティブが貰えていたのだが、非営業部門のインセンティブは廃止されることになった。

この廃止によって、一番金銭的なダメージをくらうのは、非営業部門の部長である経理部長である。
そして、経理部長がNoと言えば、廃止されることはなかったのだ。

しかし、経理部長は、会社のこれからのことを考えたとき、新しい給与制度の意義と非営業部門の人間がインセンティブを貰うことが矛盾するからと言い、廃止を決断した。
おかげで経理部員もインセンティブが貰えなくなったが、一番大きな額を貰っていた経理部長の決断とあっては、文句は言えなかった。

経理部員の心得は社会人の心得でもある

このとき経理部長に習ったこの2つのことは、その後の私の会社員人生において、ずっと役立っている。

例えば、1つめの「自分の発言は会社の発言と心得よ」は、経理部員に限らず、管理職でも同じだ。
平社員のうちは冗談と認識されていた発言が、管理職になると「会社側はそう考えているのか?」と受け取られ、話が大きくなることはよくある。

管理職になると、それまで同僚だったメンバーとの距離感がうまく掴めずトラブルになる人もいるが、私は自分が相手にとってどういう立場の人間なのかを意識する練習を続けていたおかげで、管理職になってもスムーズに移行ができた。
 

そして、2つめの「誰のことも特別扱いをしない」ということは、ゆくゆくは信頼を獲得することに繋がる。

特別扱いの依頼を受ける人は、その人に信頼されたいと思って特別扱いをすることが多いだろうが、実際は失う信頼の方が多い。

誰かを特別扱いをすると、それを知った他の人からの信頼は落ちる。
そして、誰かを特別扱いしたときに「誰にも言わないでね」と言っても、その約束は守られないものなのだ。

次回に続く

次の記事は→経理部での最初の仕事のマニュアル作成も経理部長の慧眼のたまものだった

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