国立新美術館の佐藤可士和展に見る、佐藤可士和の究極の答え
国立新美術館で開催中の佐藤可士和展。
自分の奥底にあった何かがぐいっとひっくり返された気分になった。
※トップ画像はお土産コーナー
オリジナルデザインの包装紙にくるまれた、ガトーフェスタハラダのグーテ・デ・ロワ。
佐藤可士和とロゴマーク
佐藤可士和といえば、デザイナーという印象があった。
いろいろな会社のシンプルで力強いロゴマークが印象に残っている。
私は、会社のロゴマークは、会社の理念を体現したものだと思っていた。
でも、佐藤可士和のロゴは違っていた。
もちろん、現在の理念は表している。
しかしそれだけではなく、佐藤可士和の考えるロゴとは、過去の歩みの延長線上にあり、未来をも内包しているもので、しかもそこからコミュニケーションが生まれて広がっていく起点になるもの…そういう思いで作っているそうだ。
佐藤可士和のデザインはすごくシンプルだけれど、そのシンプルな中にこれだけのものが詰まっている。
余計なものを全部切り捨てて、純粋に必要なものだけを残した結果の、あのシンプルなデザインなのだ。
実は、2007年くらいにも佐藤可士和にはまっていたのだけど、当時手掛けていたクライアントとの仕事が今も続いていることに驚いた。
ロゴマークをデザインして終わりなのではなく、コミュニケーションと未来をデザインしているので、終わりがないのだ。
ユニクロの柳井さんとは、今も毎週30分の打ち合わせをしているらしい。
例えば、くら寿司
大きな衝撃を受けたので、佐藤可士和展の会場からくら寿司の浅草ROX店(佐藤可士和が監修した店)に予約を入れ、その日の夜に訪問した。
昼に美術館でプロダクトを見て、夜にそこの中に入り食事をすることを、とても素敵なことだと感じたのだ。
この店は、浅草の六区にある。
六区は、昭和初期には見せ物小屋や映画館が立ち並んでいた場所で、今も浅草のエンターテイメントが集まっているところだ。
店内は佐藤可士和らしくすっきりとしているが、壁にはお面が飾られ、射的や輪投げコーナーもあって、江戸時代の賑やかさに通じるものがある。
開店当初に来た時には、さすがちゃんとこの場所の歴史も考慮してくれているのだな、と思っていたが、それだけではなかった。
くら寿司が佐藤可士和にリブランディングを依頼したのは、グローバル展開に向けてのことらしい。
日本人には和を感じさせる墨を感じさせる書体で「くら」と書き、海外でも伝わるように見やすい文字で「KURA」と添える。
それを提灯に書き、和の要素をさらに加える。
けれども、江戸時代の要素をそのまま取り入れたのでは、浅草ではそれっぽいが、それ以外の町や国では浮いてしまう。
賑やかさ、楽しさを生み出す要素だけを取り出し、世界にも通用するように現代的に置き換えたのが、このくら寿司浅草ROX店だったのだ。
この形態の店がいつかニューヨークやパリにできたらと想像すると、とてもワクワクとした。
広げ、深め、削ぎ落とす
以前、読んだ本に書いてあったのだが、一般のデザイナーさんにロゴを頼むと、A案〜D案みたいに複数出てくるらしいのだけど、佐藤可士和は1つしか出さないらしい。
考えに考え抜いて生まれた究極の1つだから、他の案は存在しないのだそうだ。
プレゼンでは没になった数多くの案を見せながら、自分がどういう思考回路をたどってその1つの案にたどり着いたかを説明するらしい。
そうすると、お客様にも、それが考え抜かれた究極の1つだということが伝わるのだそうだ。
佐藤可士和の視点は、過去から未来へと時空を超える。
日本にも世界にもと国境も超える。
広げるだけ広げた後に、削ぎ落とせるものを究極まで削ぎ落とす。
だから、シンプルに見えるロゴなのに、深いのだ。
彼の仕事の凄まじさに鳥肌が立ちまくった展覧会だった。
予習や復習にオススメの本
私が事前に読んでいて、理解が深まったと感じた本を紹介します。
GOETHE(ゲーテ) 2021年 03月号
佐藤可士和と柳井さんや三木谷さんとの対談が載っていて、どのような仕事の仕方をしているのかが垣間見える内容。
佐藤可士和の愛用品や行きつけのお店も載せていて、幻冬舎らしいミーハーさもあって楽しかった。
SAMURAI佐藤可士和のつくり方
佐藤可士和の妻であり、マネージャーを務める佐藤悦子さんの著書。
クールでスマートに見える佐藤可士和も、間違えたり悩んだりすることが分かる。
それを指摘して、補ってくれる存在がいて、成り立っている仕事なんだと知ることで、完璧な人間なんていないんだと勇気をくれる本。
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