トップアスリートがトップで居続けるために、いかに自分を高めているか
ジムのトレーナーから聞いたトップアスリートの話をもう一つ。
トップアスリートが行う、高い目標を目指すための努力についてだ。
(1つ目の話はこちら↓)
目標の目指し方
私が通うジムには、私のような日頃の運動不足の解消目的の人もいれば、本気で身体を研ぎ澄ますアスリートの方もいる。
アスリートのトレーニングの激しさにはいつも驚かされている。
同じ人間とは思えないスピードや力強さがあり、プロの肉体から表出されるパワーに圧倒されるばかりだ。
いろいろな競技の選手がいる。
毎週のように試合がある競技もあれば、年に数回の競技もあるが、選手はそれぞれの目標に向かってトレーニングを重ねている。
スポーツ選手が高い目標を目指すとき、私は下記の2つのパターンをイメージしていた。
1つ目が、自分の技を磨くことで、高い難易度のものができるようになるパターン。
自分の理想のプレーをイメージし、何度もその動きを繰り返してできるようになることで、目標を目指すやり方だ。
もう1つが、自分の肉体を鍛え上げることで、これまでにできなかったことができるようになるパターン。
理想の状態をイメージして、筋肉を鍛え、力を増強し、目標を目指すやり方だ。
この2つが目標を目指すための基本であることは間違ってはいないらしいが、トレーナーが言うには、この2つだけではトップアスリートにはなれないらしい。
試合に勝つだけではなく、常に勝ち続けるために必要なこと。
それは、自分の基盤を底上げして、目標への到達を目指すことだそうだ。
技を磨くだけでは、その技に失敗したら、目標に到達できない。
肉体を鍛え上げるだけでは、体調不良を起こしたら、目標に到達できない。
どちらの場合も当日のコンディションに左右されるため、目標への確実性が劣る。
なので、自分の基盤を底上げして、高い難易度のものが軽々できるようにするらしい。
体調不良を起こしても挽回が効くように余裕を持っておくらしい。
自分の基盤を高めるとは
自分の基盤を高めるためには、2つのアプローチがあると感じた。
自分の日常を高いレベルにキープすることと、調子が悪いときの下振れを軽減することだ。
自分の日常を高める
先日、「情熱大陸」というテレビ番組で、現時点で日本最高のプロ野球投手である山本由伸の特集があった。
その中に、専属の調理師が登場するシーンがあった。
山本由伸の自宅で、朝と夜の2食を作っているそうだ。
一度見ただけなので正確な文言は忘れてしまったが、山本由伸は怪我が多く、どれだけストレッチなどを身体のケアを気をつけても怪我をしてしまうので、身体の中から変えるために、プロに食事を任せることに決めたというようなことを話していた。
入団した当時は「野菜は全部嫌い!」と言っていた山本由伸が、野菜たっぷりのメニューをぱくぱくと食べていた。
今でもピーマンだけは苦手らしいが、それ以外の野菜は克服したらしい。
自分を常に最高の状態に保つためには、食べ物の好き嫌いなんて二の次なのだろう。
生活全体が、自分を最高の状態にキープするために組み立てられているというようなことを言っていた。
試合の時に状態をマックスに持っていくだけではなく、常にハイレベルに保つように意識するのがトップアスリートなのだ。
調子が悪いときの対策は決めた?
しかし、どんなに自分を最高の状態で安定させようとしても、好不調の波はある。
その波への向き合い方にも学ぶものがあった。
私が通っているジムのアスリートの話だ。
隣にいた選手とトレーナーの会話が聞こえてきた。
トレーナーが聞く。「調子が悪いときの対策は決めた?」
「○○の重さを軽くして…」と選手は答えた。
その競技は道具を使ってプレーするもので、その道具は重さなどを調整できるらしい。
その回答を聞いてトレーナーは言った。
「え?本当の調子なんて、本番にならないと分からないでしょ?試合がスタートして調子悪かったら、試合を中断して道具を調整するの?それって諦めるってこと?」
無言になる選手。トレーナーは続ける。
「調子が悪い時にどう凌いで、立て直して、前に出るか考えなくちゃ!例えば、こういう方法はどう?」
そこからは、「足が重くて思ったように動けないとき」「風が強くてバランスが崩れやすいとき」など、ベストパフォーマンスを出せない状況をイメージし、そのときにどういう対応をするかのトレーニングをやっていた。
本番に向けて、調子を上げて、体調を整えることはもちろんしているだろう。
そのうえで、調子が悪いときを想定して、その状況でも最高のパフォーマンスを出す準備をしていたのだ。
常にハイレベルのパフォーマンスを目指すために
これは、アスリートに限らず、誰にでも当てはまる話だと感じた。
試合などの特別な場合に限らず、日常生活全般において当てはまる。
例えば、一日の予定を立てるとする。
明日は朝6時に起きて、お弁当を用意しよう。
会社に着いたら、まずメールチェックと返信で10分。
その後は作りかけのあの資料の作成に取り掛かって、午前中に完成させる。
昼休みはお弁当を食べながら本を読もう。
午後はまず会議から始まって、終わり次第、次のあの仕事に取り掛かろう。
しかし、実際はこうなることが多い。
朝、起きたら7時半だった。遅刻はしないが、お弁当は作れなかった。
メールの返信に手間取って、メールチェックに30分掛かってしまった。
資料作成中に他の急ぎの予定が入り、午前中に完成しなかった。
お昼ご飯を買いに外に出たら大行列で時間が掛かり、本を読むどころか、おにぎりを慌てて飲み込むことになった。
そうしたら、午後の会議は眠くて眠くてたまらない。
午前中完成するはずの資料作成を午後にもしたため、午後に予定していたことは翌日に持ち越してしまった。
一日が思い通りにいかないことにイライラしつつ、帰宅する…
予定を立てるときは、ついつい調子が良い前提で計画してしまう。
しかし、調子が良いかどうか、イレギュラーな事態が発生しないかどうかは、そのときにならないと分からない。
調子がいい日はそうそう多くないし、イレギュラーなことが起こらない日もそうそう無いのだ。
準備とは何か
スポーツに限らず何においても、練習とは自分の実力を上げるためにするものだと思っていた。
今よりも更に高いパフォーマンスを目指して行うものだと思っていた。
しかし、それだけではなかった。
試合以外のときでも、自分の調子を常に最高に保つこと。
そして、それでも調子が悪い時にも最高に近いパフォーマンスを出せるようにしないと、トップには居続けられないのだ。
計画を立てるとき
何かを計画するときは、自分の状態を保つための時間と、調子が悪いとき、つまりうまく行かなかったときはどういう対策を取るかを合わせて盛り込むのが必要なようだ。
一日の予定を考える時に、詰め込みすぎず、自分の状態をキープするための時間をあらかじめ計画する。
そして、予定が想定通りに行かなかったときの対応策も計画する。
こういったことまで考えておけば、当初の想定通りに一日が進まなくても、挽回できるし、イライラしなくても済む。
計画を立てるということは、やるべきことを時間割にはめ込むことではない。
重要なのは、調子が悪いときに発生することを予測し、事前に対応を考えておくことだ。
もし直前まで上手く行っていたとしても、本番での調子なんて本番にならなくちゃ分からない。
だから上手く行かなかったときを想定して準備をしておくのだ。
調子が悪いときをチャンスとする
調子がいいときは、波に乗って何でもできる。
普段できなかったことが自然にできたりもする。
計画を立てるとき頭の中に浮かぶのは、こういう調子がいいときの自分である。
しかし、計画を立てるときに頭に思い浮かべなければいけないのは、調子が悪いときの自分だ。
そのためには、調子が悪い自分を観察して、その自分に合った対策を考えておく必要がある。
調子が悪いとき。
そんな自分からは目を背けてしまいたいし、早くこの時間が過ぎて欲しいと考える。
だが、そういうときこそ調子が悪いときの自分の特徴を知るチャンスだ。
この特徴をきちんと掴んでおけば、この先、最高のパフォーマンスを出すための土台となる。
この土台を見つめて、強くし、高めることが、トップでいるための基盤となるのだ。
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