「戦略性」の特徴は?活かし方は?英語名は?【ストレングスファインダー】
ストレングスファインダーの「戦略性」という資質。
戦略的思考力の資質の1つです。
ストレングスファインダーの「戦略性」にはどういう特徴があるのかを見ていきましょう。
※注:
ここでの説明は、資質が単体のときの性質の一例です。
実際は、資質の現れ方は一人一人違うので、参考程度に見てください。
他の資質との組み合わせや資質が存在するポジションによって、発現の仕方は変わるのです。
「戦略性」の英語名
ストレングスファインダーはアメリカで生まれたテストです。
なので、まず、アメリカでは「戦略性」がどう表されているかを見てみます。
ストレングスファインダーの「戦略性」はアメリカ版では「Strategic」。
「戦略の」という形容詞です。
Cambridge Dictionaryという英英辞典を見たところ、「helping to achieve a plan, for example in business or politics」とありました。
予定を達成させるための助けになるもの、というニュアンスでしょうか。
戦略性は、目指すべきゴールがあるときに、発揮されるものなのです。
「戦略性」の特徴
「戦略性」は、全体を見通した上で、最適なルートを見つける資質です。
力を発揮するときと、暴走して困ったことになるときを見てみます。
力を発揮するとき
「戦略性」は、目的に向かうためにどうやって進めばいいかを見極める資質です。
全体像を把握し、あらゆる可能性を検討し、最適なルートを見つけ出します。
戦略性はいかにゴールに到達するかを考える資質です。
このままではゴールにはたどり着かないと思える状況でも、それでも進む道がないかを考えます。
今のままでは無理だと判断しても、それならどうすれば問題が解消するのかを考えます。
戦略性さんは全体を見て、どこに何があり、どこに誰がいて、何を考えているかを把握してから進みます。
常に全体像を把握し続けるので、状況が変わったことをいち早く察知し、軌道修正を図ります。
今後起こることを予測し、こうなったらどうなるか、ではこうしたときはどうなるかと、常に可能性を検討し続ける資質です。
頭の回転が速いと人から言われることが多い資質です。
戦略性さんは、物事を考えるとき、1,2,3…と順を追って考えるのではなく、1からいきなり10に飛びます。
直感的にゴールへの道筋が見えるので、1から10が見えるのです。
そして必要があれば、10から2に戻り、2,3,4…と考えます。
一般的には、道筋をたどってゴールに到着するのですが、戦略性さんはまずゴールに着いた後に、他の人が理解できるように道筋を作るのです。
戦略性同士が会話すると、道筋を作る過程が必要ないので、話が早いです。
話がいきなりゴールに飛ぶので、周囲の人が何も理解できないうちに結論がまとまっています。
ゴールがすぐに見える性質は、飽きっぽさにも繋がります。
戦略性さんは、結果が見えていることを行うことが好きではないのです。
例えば戦略性3位の私は、小学生の時の理科の実験が嫌いでした。
教科書に載っているとおりの結果にしかならないし、違う結果になったら失敗と言われるのだから、やる意味ないよね。と思っていました。
ゴールを見極めるのが早いのに、ゴールに確実に到達するとわかった途端にやる気を失うので、やることをすぐに変えたがります。
他の飽きっぽい資質として「学習欲」「着想」がありますが、この2つと「戦略性」は飽きっぽさの質が違います。
「学習欲」は、ある程度理解すると、違うことに興味が湧くため、気持ちがそちらに向かっていきます。
「着想」は、どんどん発想が思い浮かぶので、新しい発想に気持ちが向かいます。
このように「学習欲」と「着想」は新しいものに興味が移るために、これまでやっていたことから気持ちが離れていき、飽きたかのように見られます。
一方、「戦略性」はゴールが見えると、つまらなくなるので気持ちが離れます。
次の対象が無くても気持ちが離れる、つまり本当に飽きてしまうのです。
ただし、これは悪いことではなく、管理者や参謀としては理想的な性質です。
やるべきことを見極めて現場に指示を出したら興味を失うので、現場に余計な口出しをせずに任せることができます。
戦略性さんには、一番必要なものを残して、あとは切り捨てる潔さがあります。
ゴールへの最短距離が見えるため、必要のないものがすぐにわかるのです。
戦略性さんは無駄なものを見分けて捨てることができるので、断捨離が得意です。
感情に任せて短絡的に捨てるのではなく、今後必要になるかどうかを見極めてから捨てるので、捨てなきゃ良かった…という後悔は少ないです。
「戦略性」の役割は、目的に向かうための最適なルートを見つけることです。
全体を把握することで、ルートを見つける精度とスピードが上がります。
これが「戦略性」の本質であり、「戦略的思考力の資質」である理由です。
暴走すると…
一方、「戦略性」が暴走すると、どうなるでしょうか。
戦略性は全体を把握することで進む道を見つけるので、全体像を把握するまで動き出せません。
動き出すまでに大量の情報収集を必要とするため、動き始めるまでが遅いです。
また、不必要なものを切り捨てるのが上手いため、人の意見を的はずれだと思うと、発言者の気持ちを考えずに切り捨ててしまうことがあります。
発言者からしてみれば、会議でせっかく発言したのに一瞬で切り捨てられてしまうのは恐怖です。
暴走を抑えるコツは次の「活かし方」を参考にしてください。
「戦略性」の活かし方
「戦略性」は進むべき道を見出すのが得意な資質ですが、暴走すると、なかなか動き出せなかったり、人の意見を切り捨ててしまったりします。
「戦略性」の暴走を抑え、プラスの方向に進むには、最短距離を進むためには、回り道も必要なことを意識することが大切です。
自分が「戦略性」を持っている場合
「戦略性」は全体の状況を把握し、目的に向かうために進むべき道を見極める資質です。
つまり、進むべき道を見極めるためには、
・全体を把握する
・目的を知る
の2点が重要となります。
この2点が揃わないと、戦略性は力を発揮できません。
戦略性単品では未来への目標や目的を決める要素はないので、未来や目標を見る資質を持ち合わせていない場合、どこに進めばいいかわからずに立ち往生します。
その場合は、未来が見えて夢を語る経営者の右腕的なポジションに付くと、存分に力を発揮することができます。
また、全体を把握することも重要です。
しかし、まだこの世に一般的ではない未知の分野に取り組むときや、スピードが求められるときなどの全体を把握することが難しい場面があります。
その場合は、今わかる範囲内での最善で進むという覚悟を決めるしかありません。
幸いにも、戦略性さんには柔軟性があり、状況が変わる都度、その時点での最善の道を見つけることができます。
全体を把握できないまま進む道を決めた時は、情報収集をして全体像をアップデートしていきましょう。
その場合は、事前に一緒に取り組むメンバーに「今の決定は今わかる範囲で決めたものだから、新しい情報が入り次第、違う道を進むことがある」と伝えておきましょう。
何をやるかの指示が変更になることに抵抗がある人もいるので、事前に予告しし、心の準備をお願いすることでメンバーのストレスを緩和できます。
戦略性の特徴で書いたとおり、戦略性の飽きやすい性質は、実際の運用を現場に任せて、自分は次の仕事に取り掛かることができるため、指揮官や参謀にぴったりです。
現場との連携がきちんと取れているならば、仕事を任せたら余計な口出しをしない指揮官になります。
ただ、興味を失いすぎると現場に丸投げになるので、そこは注意しましょう。
思い描いた通りのルートを進んでいるかのチェックと、状況の判断と、道を変更する必要がないかを確認することは指揮官の仕事です。
戦略性さんは、最短ルートにこだわるあまり、途中の過程を無駄なことと排除しがちです。
また一瞬で答えがわかるので、他の人が試行錯誤する様子に苛立ちを感じます。
しかし、結果に至る過程に価値を感じる人が多くいます。
頂上に立つことだけが登山をする理由ではありません。
途中の景色を楽しむために山に登る人も多いのです。
この人たちの楽しみを切り捨ててしまったら、誰も自発的に行動しなくなります。
何を言っても、何をしても、苛立たれて切り捨てられてしまうのなら、自分の頭で考える労力を無駄に感じるからです。
全体の状況を把握したい戦略性にとっては、誰も何も言わない状況も面白くなく、自主性がない人々に苛立ちを感じるでしょう。
どちらに転んでも苛立つ結果になるのであれば、皆が気持ちよく動けるほうがいいはずです。
他の人が試行錯誤したり、失敗したり、とんちんかんなことを言ったりすることを楽しめるようになると、戦略性さんの人としての幅が広がります。
そして、世の中の多くの発明は、失敗やとんちんかんなことから生まれています。
失敗や試行錯誤を楽しむことで、新たな世界につながるキーワードを見逃さずに捉えることができるのです。
どんなに困難な状況でも、どのように動けば目的を達成できるのかを一目で見抜く戦略性は、他の人に勇気を与えます。
独りよがりになりすぎず、皆で目的を達成することを意識すると、とても頼りがいのある存在になれるでしょう。
身近な人が「戦略性」を持っている場合
「戦略性」は全体を把握してから動くため、新しい環境ではすぐに力を発揮できません。
鳴り物入りで転職してきたのに、最初の1ヶ月は何も動かず期待はずれ、ということも発生します。
戦略性が身近にいる場合は、全体を把握するための情報と時間を与えてください。
会社の場合、組織図や座席表は大好物です。
誰がどういう役割で、どの位置にいるのか、直接の関わりがない人についても知る必要があるのです。
また、チームで動く際は、チームが目指している目的について、じっくりと話すようにしてください。
組織によっては、皆に発表している表の目標と、本質にある裏の目標があることがあります。
戦略性さんが裏の目標まで理解すると、より組織が目指している方向性にマッチした動きをしてくれるでしょう。
上司やパートナーが戦略性持ちで、自分に戦略性がない場合、戦略性の言うことが理解できずにイライラされてしまったことがあると思います。
戦略性の悪い癖です。
しかし、この人たちに「自分たちのペースに合わせてくれ」と願うのは、難しい問題です。
戦略性は頭の回転が速く見えますが、実際、脳内でゴールまでワープするかのごとくの超高速回転が行われています。
戦略性の脳内にはワープするかしないかの二択しかないため、頭の回転を遅くして足並みを揃えることは不可能なのです。
戦略性がイライラするのはこの超高速回転に急ブレーキが掛かるときで、脳内でキキーッと摩擦熱が発生し、着火します。
ただ、熱が落ち着いた後に戻ってくることはできます。
戦略性に「ここまでは理解しました」と自分がいる立ち位置を伝えることは、戦略性に新たな目的を与えることになるため、戻ってくる可能性が高くなります。
なので、戦略性が気持ちよく話している時は最後まで話をさせて、高速回転が一段落したときに発言すると、耳を傾けてくれやすいでしょう。
なお、日本で戦略性がTOP5に入っている人は、15.4%。6-7人に1人の割合です。
6-7人のうちの5-6人は戦略性の考えに付いていけない…付いていけない方が多数派ということを、戦略性の耳に入れておくことも効果があるかもしれません。
「戦略性」について、まとめ
「戦略性」は、全体を把握し、あらゆる可能性を検討し、最適なルートを見つける資質です。
最短ルートで走り出せるように、道を見出します。
しかし、戦略性が暴走すると、無駄なものを切り捨てる過程で、他の人の大切なものを切り捨ててしまいます。
戦略性さんは目的を意識し、全体像を把握することで、進む道を見出します。
一見無駄なことの中に、世界を広げる鍵があることを意識しておくと、人生が更に広がるでしょう。
※このブログにおけるクリフトンストレングス(ストレングスファインダー®)に関する解説は、しずかみちこ独自のものです。
Gallup認定ストレングスコーチとしての知識をベースにしていますが、個別セッションにて多くの方の資質にじっくり向き合った経験と、カウンセラーとして得た心の知識を組み合わせ、より理解しやすいように踏み込んだ解説をしています。
Gallup社の承認を受けたものではない点、ご了承ください。
ストレングスファインダー関連記事
ストレングスファインダーをもっと知りたい方へのサービスのご案内です。
個別セッション
自分の強みは自分ではわかりにくいもの。
そういうときはストレングスファインダーのプロである認定コーチに頼ってください。
第三者の目で、あなたの強みを見抜きます。
note
ストレングスファインダーにまつわるnoteを書いています。
合わせて、ご覧いただけると嬉しいです。
活用法について
ストレングスファインダーで自分が常に力を発揮するための取扱説明書を作ることができます。
取扱説明書を作ると、ストレングスファインダーの活用法が広がります。
ストレングスファインダーを複数回受けると、自分の現状がわかります。
全34資質一覧
全34資質について、解説文を更新中です。
下記の記事の資質一覧から各資質の解説に飛ぶことが出来ます。
強みにまつわるコラム
全記事一覧
他にもいろいろな記事を用意しています。