リクルート社で50年間言い伝えられている言葉の真意を探る。『自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ』
自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ
リクルートという会社に長い間伝わる言葉がある。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
1968年にリクルート社のスローガンとして発表され、その後社訓となり、1989年に社訓としての取り扱いが廃止された後も、社員の間に言い伝えられ続けている。
発表から約50年、社訓廃止からも約30年経っても、リクルートの社員が大切にしている言葉だ。
あらためて振り返って気がついた。
この言葉に書かれているのは「変化」であって、「結果」については何も書かれていない。
大切なのは変化
何かに興味を持っても、「機会があればやってみよう」と思って、それっきりになることは、よくある。「お金がない」「忙しい」「家族が許してくれない」など、機会があっても別の理由を持ち出して見送ってしまう。
機会が来なかった場合もあるが、機会というものは積極的に探さないと見過ごすものである。
機会は「創る」もの
本当にやりたいことならば、機会が来るのを待つのではなく、自分から機会を創りにいく。
そうしないと、欲しいものは手に入らない。
「作る」ではなく「創る」だ。
簡単に機会を作れそうにないときも、なんとかならないか創造力をフル回転させるのだ。
「結果」は重要ではない
機会を創ったとしても、またそこで躊躇うポイントが生まれる。
「これをやったら、どう思われるだろう」
「ずうずうしい奴と断られるのではないか」
「この歳でこんなことするなんて笑われるのではないか」
「失敗して、馬鹿にされたら嫌だなあ」
機会を創って一歩踏み出したからといって、必ずしも成功するわけではない。
誰だって、失敗はしたくない。
周囲の目も気になる。
しかし、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」の言葉に、結果についての言及はない。
結果は、重要ではないのだ。
大切なのは、自らが主体となって動くこと、それによって自らが変わっていくことなのだ。
自らが変わるとき
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という文章を見ると、「ただ待つのではなく自分で機会を創ること」、そして「その機会を行使した結果、自らが変わること」という2つのことを言っているようにも読み取れる。
しかし、実際に試してみると分かるが、そうではない。
機会を創る
自ら機会を創りだすためには、創造力が必要だ。
会いたい人がいるなら、どうすれば会えるか考える。
欲しいものがあってもお金がないなら、どうすればお金を増やせるかを考える。
もしくはお金を使わなくても手に入れる方法がないかを考える。
できない原因があるのなら、どうすれば原因が解決するかを考える。
これまでであれば、正攻法のよくあるやり方だけを考えてダメだと諦めていたところを、なんとかできないかと一歩踏み込んで考える。
すでに、もう、これが、変化だ。
なんとかしたいという強い思いを持つこと。
そのために諦めずに方法を探すこと。
これらは情熱の源泉であり、人間の強さとなる。
一歩踏み出す
機会を創る方法が思いついたら、さっそく実行する。
方法自体は簡単でも、いざ、するとなると勇気がいることもある。
失敗したらどうしようという躊躇いもある。
それでも、実行しないと何も始まらない。
ただぼんやりと「いいことないかなあ」と外を眺めている日々が続くだけだ。
思い切って、一歩踏み出す。実行する。
これは、もう、大きな変化である。
声を上げる
機会を創る方法を思いついても、簡単に実行できないこともある。
時間が掛かってくじけそうになったり、一人では到底無理だったり。
そういうとき、誰かに助けを求めるのは迷惑なのではないかと心配になる。
でも、思い切って声を上げる。
「一人じゃ難しい、どうすればいい?」「誰かに一緒にやってほしい」「この部分、知恵を貸して欲しい!」
そうすると、自分が思ってた以上に、周囲の人が助けてくれることに気づく。
「機会が来ないかなあ」と外をぼんやり眺めている人と、自分からどうにかしようと動く人がいたら、ほとんどの人にとって応援したいと思うのは後者だ。
人は、多かれ少なかれ誰かの役に立ちたいという願望を持っている。
もし自分にできることが頑張っている人の役に立つなら、力になりたいと思うのが人間なのだ。
人に迷惑をかけたらどうしようという躊躇いを乗り越えて、声を上げる。
これは、変化だ。
助けてくれる人が周囲にたくさんいることに気づくことも、変化だ。
そして、実際に助けを受け、自分が成長していく。
周囲に助けを求めることで、自分自身が大きく変化していく。
機会が変化させるのではない
「機会によって自らを変えよ」という言葉は、その機会の結果によって初めて自らが変わるということではない。
自ら機会を創り出すという行為そのものが、自らを変えるのだ。
創り出した機会が、実るか実らないかではない。
成功しようと不発に終わろうと、機会を創り出したことそのものが、自らを成長させるのだ。
自ら機会を創り出すことによって自らが変わり成長することができるという、この言葉の的確さは、この言葉が50年に渡って言い伝えられていることによって分かる。
表面上だけのお飾りの言葉であれば、半世紀もの間、口伝で残るはずはない。
結果だけが全てではない。
まず、一歩を踏み出すこと。
そのことが、自らを変えていく。
見たことのない新しい1日を始めるために必要なのは、まず一歩を踏み出すことなのだ。
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