人生が前に進み始めた日は、自分を縛っていた思い込みから解放された日だった。
人生が前に進み始めた日
ある日を境に、人生が突然前に進みだした。1年半ほど前のことだった。
特に劇的に何かが変わったわけではない。
ただ自分の思考回路が変わっただけだ。
それなのに、すごい勢いで人生が前に進み始めた。
私の場合
抱えていた思い込み
1年半ほど前、私は「私のためにお金を使ってはいけない」と信じ込んでいることに気がついた。
それまでの私は、自分のためにお金を使うことが苦手だった。
定食屋で松・竹・梅とあったら、必ず一番安い梅を頼んだ。
外出先で突然雨に降られても、ビニール傘を買うくらいなら濡れた方がマシだった。
欲しいものを買うことにも罪悪感があった。どうしても必要な時は、なるだけ安い似たようなものを選んだ。
欲しいものとは違うものなので満足感はなかったが、その分罪悪感が薄まって安心できた。
子供の頃からそうだった。
小学校の時、バレーボール部に入ったが、バレーボールシューズを買ってほしいと言えず、ずっと学校の上履きを使っていた。
教材や絵の具を買って貰わなければいけない4月は辛かった。
子供の頃は、家にお金がないから言い出せないのだと思っていた。
社会人になって自分で稼ぐようになっても、給与が安いから自分のためにお金が使えないのだと思っていた。
しかし、社会人になって年数が経ち、新卒の時から給与が増えても、自分のためにお金が使えないことは変わらなかった。
長い間、「私は稼いでないからお金が使えない」のだと思っていた。
とはいえ、社会人になって20年経ち、新卒時代よりも給与は何万円もアップしている。
それなのに、相変わらず500円のビニール傘一本すら買えなかった。
思い込みに気づいたとき
この思い込みに気がついたのは、偶然のことだった。
誰かとたまたまお金の話をしていたときに聞いた話が、私を激しく揺さぶった。
そして気がついたのだった。
「私は、お金が無くなることへの恐怖心が、とてもとても強い」
更に掘り下げてみると、もう一つ気がついた。
「私は、私のためにお金を使うことに、罪悪感がある」
思い込みが生まれた経緯
私の父親は大酒飲みだ。
ザルを通り越してワク(枠)と呼ばれるほどだ。
私が幼少の頃、父は家に給料を入れずに、全てを酒に変えていた。
母は常にお金に困っていた。
そこで幼い私は考えたのだろう。
「お金が掛かる子供は、捨てられるかもしれない!」
時が経ち、父の会社でも給与が現金手渡しから銀行振込に代わり、母は生活費の確保はできるようになった。
しかし、子供にはそんな事情は分からない。
幼いときに胸に刻み込んだ「お金が掛かる子供は、捨てられる」という思いを大事に抱えて、お金が掛からないように注意しながら生きていた。
成長しても、胸に刻み込んだ思いは、大切にし続けた。
それが当たり前になってしまって、他の選択肢があるという発想にすら至らなかった。
そのため、いつもいつもお金が掛からないように注意しながら生き続けてきた。
ついでにいうと、お金が無くなることへの恐怖心が強いのも、捨てられた後に自活できるようにお金を貯めなくてはと思っていたからだった。
お金が無いと親に捨てられたら死んでしまう、という恐怖心が、お金への執着心を産んでいた。
思い込みから解放されたとき
確かに、私の幼少時は、私にお金が掛かることが、母を困らせ苦しめることになったかもしれない。
しかし、それは、両親に完全に依存しなければ生きることすらできなかった頃の話だ。
今の私は、自分の生活費は自分で稼いでいる。
私に少々お金が掛かったとしても、私には私を捨てることはできない。
なあんだ、もうお金使ったって、いいじゃない!
こう気がついた瞬間、私が後生大事に抱いていた「私のためにお金を使ってはいけない」という思いは消え失せた。
あっという間だった。
その後
そこからは不思議なことに、当たり前のように自分のためにお金を使うことができるようになった。
自分に必要なものや欲しいものに、お金が使えるようになった。
とはいえ、お金には限りがある。
松阪牛A5ステーキセットは見なかったふりをして、粗挽き豚のハンバーグセットを選ぶ日もある。
しかし、それまでは何も考えずに一番安いものを頼んでいたが、今は、自分の食べたいものと財布の中身を考えて、「今日は節約しよう」「今日は贅沢しよう」という風に選択することができるようになったのだ。
これだけで、随分と人生が豊かになったような気がした。
そして、大きな変化として、自分が抱えている他の思い込みにも気づくようになったことがあげられる。
自分の思い込みに触れた時、胸がざわめく。
つまり、胸がざわめいた時、そこに思い込みがあるのだ。
「私のために人に時間を使わせてはいけない」
「私なんかが人前に立ってはいけない」
他にもいろいろあった。
こうして一つ一つ自分の思い込みを確認して、そこから自由になった結果、今までしてこなかった新しいことに挑戦する力が湧いてきた。
会ってみたいけれど雲の上だと思っていた人に会いに行ったり、行ってみたいけれど私なんかが行ってはいけないと思っていた場所に行ってみたり、イベントを開催してみたり。
こういう挑戦を繰り返すことで、人生が突然動き出したのだ。
思い込みについて学ぶ
思い込みから解放された後、私の変化を知った友人から何が起きたのかと聞かれるようになった。
しかし、なかなかうまく説明ができなかった。
「思い込みが外れた」と言っても、もちろん通じない。
「思い込みって具体的にいうと?」「外れるってどういうこと?」という質問に、なかなかうまく答えることができなかった。
しかし、思い込みが外れることで私の人生が動き出した、この経験をもっと人に伝えられるようになりたい。
この「思い込みとそこからの解放」は、カウンセラーの大塚あや子さんが「ビリーフリセット」と名付けて体系化している。
belief=信念をリセットして、心が自由になるよう導く方法である。
その大塚あや子さん自身が講師を務めるビリーフリセットの初級講座に申し込んだ。
本当はここで初級講座1日目の感想を書く予定だったのだが、自分語りが長くなりすぎたので、感想は次の記事で。
次の記事はこちら。
ビリーフリセットとは心の地雷を撤去・無力化することである