B/S照合、マーケ編その2。PMさんたちとついに出会う
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現場に通う
この時点でわかっているのは「PMさんに話を聞かないと何も解決しない」ということだけだった。
しかし、PMさんは常に外にいるのでメールを送っても見ないし、電話を掛けても折り返しが掛かってこない。
途方に暮れたが、PMさんに会うために、マーケに通うことにした。
朝9時〜18時過ぎまで、経理業務を行う。
その後、マーケの入っているビルに向かい、PMさんを待つ。
山手線で1駅の距離をテクテク歩き、週に2回ほど通った。
たまに夜、オフィスに立ち寄るPMさんもいたが、多くは空振りだった。
マーケに行って、ぼんやり待つのもあれなので、領収書などの資料を探っていた。
それを見て分かることもあったが、ほとんど何も解決しなかった。
ただ毎日が過ぎていった。
ありがたいお誘い
そこに風穴を開けたのは、マーケの一番トップの担当役員だった。
私は経営委員会の事務局をやっていたため、役員さんは私のことを知っていてくれたのだ。
「最近いつもここにいるよね?何してるの?」
かくかくしかじかと簡単に経緯を説明した。
「そっかあ、だったら月末、うちの納会においでよ。PM全員来るから」
この会社では、毎月末に「納会」と呼ばれる、支社単位のちょっとした集まりがある。
その月の営業成績を振り返り、優秀者には拍手が送られる。
支社によっては、缶ビールなどで乾杯もする。
ちょうどこのときは2003年9月。
9月末の納会は、半期末ということもあって大掛かりにやる支社が多い。
マーケも、全PMを呼び寄せて大々的に行うらしかった。
ありがたく参加させてもらうことにした。
納会当日
さて、納会の日が来た。
会場の大会議室は人が一杯で、熱気に満ちていた。
私は一番後ろの隅っこにこっそり立っていたつもりだったが、目ざといPMさんは見慣れぬ顔を見つけ出していた。
「ねえ、あの人誰?」
「経理のしずかさんらしいよ。」
「うげっ。俺、怒られるのかな」
こんな声が聞こえてきた。
PMさんのお仕事
一方で私は、そこで発表される表彰されたPMさんが体験を語るスピーチに感動していた。
商品が「営業部隊」なので、クライアントから課せられた目標金額を売らなければいけない。
売れなければ肩身が狭いが、売れたら売れたでクライアントの社員から嫉妬されるようになる。
その狭間で舵取りをする難しさは、想像するだけでも厳しいものと感じ取れた。
当時、私が一番困らされていたプロジェクトについても知ることができた。
そのプロジェクトは、最初1ヶ月の期間限定プロジェクトの予定が、2ヶ月、3ヶ月、半年とズルズルと伸びていた。
最初は「1ヶ月のプロジェクトが終わったら、収支のご報告をします!」と言われていたのに、どんどん延長になり、収集がつかなくなっていたのだった。
話を聞いたところによると、そのプロジェクトは、まずは本部のある東京で行われていた。
あまりにそのチームの成績が優秀だったので、地方の営業所にそのノウハウを伝えて欲しいと言われ、PMさんが現地社員の指導係として1ヶ月限定で東京から遠く離れた県に出向いたのだった。
ところが、その営業所は本部から送り込まれた他所者を歓迎しなかった。
「我々にはあなたは必要ありません。まあ、あなたにも本部との契約があってすぐには帰れないでしょうから、席だけは用意します。1ヶ月、お一人で好きにしていてください」
その営業所には営業1部と営業2部があった。
一人で好きにしろと言われたPMさんは勝手に営業3部を名乗り、一人で勝手に販売を始めた。
1ヶ月終了後、一番売上を上げたのは、たった一人の部署である営業3部だった。
さすがにその営業所長は慌てふためき、契約延長を願い出て、今に至っているらしい。
その後の宴
各種表彰が終わり、懇親会となった。
私にも缶ビールが手渡され、乾杯の声に唱和する。
いつも協力してくれている、数字を扱う部署の人が「どうでした?」と声を掛けてくれた。
私は大興奮で、PMさんの仕事ぶりに感激したと答えた。
こっそり耳をそばだてていたPMさんが近づいてきた。
私は、こんな苦労があったとは知らなかった、というようなことを話した。
PMさんは、我が意を得たり、といった顔をしていた。
どんどんPMさんが集まってきて、自分たちのことを話し始めた。
大半は「俺達はこんなに大変だから、伝票の提出ができないんだ」という言い訳だったが、その大量の言い訳を聞いて気がついたことがあった。
私は、PMさんたちを前にして、2つのことを宣言した。
次回に続く
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