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B/S照合、マーケ編その3。PMさん達のと心が通うようになってきたときの話


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前の記事はこちら→B/S照合、マーケ編その2。PMさんたちとついに出会う

PMさんと心が通う

納会でPMさん達の活躍の話を聞いて感動している私の周りに、遠目で様子をうかがっていたPMさん達が集まってきた。
どうやら皆、私からの連絡に返事をしていなかったことに罪悪感はあったようだ。
口々に、なぜ連絡しなかったのか、なぜ経費の処理を間違ってしまうのかを説明し始めた。

PMさんが私の連絡を無視する理由

話を聞いていると、よく出てくる2つの言葉に気がついた。
それは「わからない」と「怒られる」だった。

「やらなきゃとは思うんだけど、やり方がわからなくて、調べようと思いつつそのまま忘れちゃう」
「どうしたらいいかわからないから、質問しようかなと思うんだけど、こんなこと聞いたら怒られるかなと思ったら、なんか億劫で」
「経理とか法務とか人事から連絡がくるときは、怒られるときばっかりだからねー」

なるほど。
その気持ちは私もわかる。

私は夏休みの宿題を7月中に終わらせるタイプではあるが、締め切りギリギリまで動かないこともよくある。
やり方がわかるものは早めに手を付けることができるのだが、やり方がわからないとついつい後回しにしてしまうのだ。

そして、相手が怒っているかもしれないときに、その相手に連絡を取るのが億劫になる気持ちもよくわかる。
PMさんが私からの連絡に気がつくのは、客先での仕事が終わった後だ。
一日の終わりに怒られるのは誰だって嫌だろう。

私は、PMさん達に、2つの約束をすることに決めた。

PMさんへの2つの約束

私は、PMさんを見回して、こう宣言した。

皆さんの状況はわかりました。
今後、私は皆さんが何を言っても怒りません。

そして、これからは、わからないことは全部私に質問してください。
経理以外のことでもいいです。
誰に聞いていいかわからないことも、全部私に聞いてください。

「ほんと?」「え?いいの?」という声があがった。

PMさんに伝わる言葉

そして私は、なぜ未収入金の解明をしようとしているかを説明した。

皆さんにとっては数百円の交通費を立て替えただけの話かもしれませんが、それが積もり積もって、ズレが1000万円を超えようとしているんです。
これはクライアントに請求漏れをしている可能性がある金額です。
プロジェクト終了後にクライアントに請求するのは大変です。
だから早くズレを解明して、正しい処理をしたいのです。

「1000万円!?」「請求漏れ!?」
PMさんは驚いていた。

誰かが言った。
「請求漏れということは、これが請求できたら、その分まるまる利益の上乗せになるってこと?」

その通りです。
現状、クライアントが負担する経費を、我々が負担しているのです。

「うおおおおおお!」
PMさんはどよめいた。
「それは大変だ。俺たちは何をすればいい?」

営業のプロであるPMさん達を動かすには、「残高がズレている」と言っても意味はなく、「利益が増える」という言葉が有効だったのである。

納会後、1ヶ月

さっそく私宛に、質問の電話が掛かってくるようになった。

PMさんからの質問

PMさんから最初に掛かってきた電話の内容は、経理とは全く関係がなかった。
「これから〇〇支社に行くんだけど、いつも迷惑かけてるから差し入れ持っていこうと思うんだけど、あの支社、全部で何人?」
組織図の人数を数えて、答えた。

すぐにまた同じPMさんから電話が掛かってきた。
「今日暑いから、差し入れはアイスにしようと思ったんだけど、あの支社、冷蔵庫ある?」
固定資産税の申告用に全支社の見取り図を作っていたことが、こんなところで役に立った。

違うPMさんから電話が掛かってきた。
「うちのチームの〇〇さんが引越したんだけど、どうすればいい?」
人事に電話を転送した。

また違うPMさんから電話が掛かってきた。
「経費申請用の伝票がなくなったんだけど、在庫はどこにある?」
「マーケのフロアの真ん中あたりにNさんの席があるのわかります?Nさんの席の隣の棚の中に入ってます」
マーケにしょっちゅう通って、あちこちの棚から資料を探していたことが役に立った。

またまた違うPMさんから電話が掛かってきた。
「〇〇部の電話番号教えて」

PMさん達って、本当に何もわかってないんだと、心の底から驚いた。

PMさんは採用された後、1週間ほどの研修ですぐにクラアント先の現場に入ることになる。
社内のことが何もわからないのも当然だ。
それだけでなく、社内の人間との人間関係ができる前に現場に入るので、困った時に質問できる相手もいないのだ。

こんな不安な状態な中で仕事を続けていたとは…。
PMさんの苦労が私にも理解できてきた。

組織の変更

納会から1ヶ月近く経ったある日、私を納会に誘ってくれたマーケ部門の担当役員が声を掛けてきた。
「最近のマーケ、どう?何か改善点ある?」

私はこの1ヶ月のことを説明した。
PMさんはこの会社のことを全く何も知らないこと。
それはPMさんのせいではなく、事業の性質上、そうならざるを得ないこと。

そして私は軽い気持ちで提案した。
PMさんが困ったときの窓口をはっきりさせた方がいいと思いますよ。
例えば、今いる営業アシスタントさんを各部署ごとの担当制にして、わからないことは担当のアシスタントさんに聞くようにするのはどうでしょう。
 

その4日後、人事部から「組織図に一部修正が入りました」と全社員に広報があった。
目を通して見ると、変更があったのはマーケで、営業アシスタントチームが解散となり、各部署付きのアシスタントとして任命されていた。

マーケ内で各部署ごとの窓口をお知らせすればいいと思っていた私は、組織の体制から変わったことに驚いた。
「どうせやるなら徹底的にやる」というこの役員の性格を甘く見ていたと気がついた。

とにかく、役員が本気でマーケを良い組織にしたいと考えていることが伝わってきた。

私も全力で未収入金の解明に取り組もうと、気合いが入った。

次回に続く

次の記事は→B/S照合、マーケ編その4。不夜城での日々。新規のズレの発生源をつきとめる

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