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B/S照合、マーケ編その4。不夜城での日々。新規のズレの発生源をつきとめる


シリーズ「会社員の歩き方、私の場合」の過去記事リストは→こちら

前の記事はこちら→B/S照合、マーケ編その3。PMさん達のと心が通うようになってきたときの話

不夜城の住人となる

この頃のマーケは「不夜城」と呼ばれていた。
24時間誰かがオフィスにいて仕事をしている。
ビルの空調は20時に切れるため、夏は深夜になると上半身裸の男たちが出現し、蒸し暑さの中、異様にテンションが上がっていく。

私は、毎日のようにマーケにいた。
9時〜18時過ぎまで新橋にある経理部で仕事をし、その後、山手線で一駅分を歩いて有楽町にあるマーケに移動し、未収入金の調査をする。
早くて終電、遅い時は始発で家に帰る生活となった。
いつの間にかマーケ内にも私の席が用意され、私のことをマーケの一員だと勘違いする人も出てきた。

下手すると一日20時間くらい仕事をしているわけだが、それが全然苦痛ではなかった。
マーケのことが大好きで、もっとこの空間にいたかったのだ。

(この生活がたたって身体を壊すのだが、その話はまた後日)

未収入金がずれる原因

PMさんともマメに連絡が取れるようになり、未収入金のズレる原因も見えてくるようになった。

未収入金のズレが発生するタイミングは下記の3つだ。
1.使用した経費を経理に申請する時
2.クライアントに請求する時
3.クライアントから入金がある時

1.使用した経費を経理に申請する時

経費を使用した時、経費伝票と呼ばれるものを作り、経理に申請してもらう。
申請の時、クライアントに請求できるかできないかを合わせて申請してもらうのだが、これが間違っているのだ。

2.クライアントに請求する時

クライアントに請求できる経費は、クライアントに請求しないといけない。
この請求が漏れているケースもよくあった。

3.クライアントから入金がある時

これには私も驚いたのだが、請求書通りの金額を振り込んでこないクライアントがいた。
独自の基準でディスカウントするのだ。

例えば、今では民間企業になった元国営企業では、取引先が使用した経費を全部確認していた。

銀座から渋谷に移動するとする。
東京メトロ銀座線を使えば、乗換なし16分で190円だ。(2004年当時の金額を覚えていないが190円だったはず)
しかし、その元国営企業は160円しか払ってこない。
その理由は、銀座駅から有楽町駅まで歩いて東京メトロ有楽町線に乗れば、乗り換え1回14分で160円だから、と言うのである。

銀座から有楽町まで歩く時間と乗り換えの手間を掛けることを思えば、30円高くても銀座線を使うことに合理性があると思うのだが、先方は「無駄に高い経費を使いやがって!」の一点張り。
その30円を調べるためにどれだけの人件費を使っているのかを逆に問い詰めたい気もするが、残念なことに、人件費は無料だと思っている会社がこの世にはある。

国営企業時代の、税金を無駄に使わないために調べる習慣が残っているのだろう。
それはとても大切だが、いくら以上なら調査するという金額ラインを決めてもいいと思う…ということを言ってもしょうがなく、こちらは粛々と30円の処理をするしかなかった。

ズレが起きない対処法

ズレの原因がわかると、対処法もわかる。
試行錯誤しながら、ズレが起きない体制づくりに取り組んでいった。

1.使用した経費を経理に申請する時→経理語からマーケ語へ

経費を使用した時に、クライアントに請求できるかどうかを伝票上に記載してもらっていたのだが、これがかなり間違っていた。

最初は請求できないはずだったのに、クライアントとの話し合いの中で請求できるようになったケースもある。(逆もある)
しかし、それよりも単純な記載ミスの方が圧倒的に多かった。

当時の伝票は、クライアントに請求できるのであれば伝票の未収入金欄に金額を書き、できないときは原価欄に金額を書く形式になっていた。

このことについてPMさんに話を聞いてみた。
「未収入金とか原価とかって意味わかんないから、全部原価のところに書いてる!」

昔の怒っていた私なら、「わからないなら聞けよ!」と怒っていたと思う。
でも、怒るのを止めた私は素直に思った。
「使う人がわからない伝票を使わせる方が間違ってるよな」

「経理語」「マーケ語」

当時の私は「経理語」「マーケ語」という言葉をよく使っていた。

未収入金と原価の違いは、経理相手ならすぐに通じる「経理語」だ。
でも、相手は経理ではなく、マーケの住人だ。
彼らが使う「マーケ語」で話さないと、通じないのだ。

経理国の住人は、これしきの経理語くらい覚えてくれよ、と他国の住人に対して思いがちである。
でもマーケ国の住人にとってこの異国の言葉は、彼らの本来の業務である、クライアントと握った売上目標を達成するためには全く必要のない無駄知識だ。

同じ理由で、経理国の住人にマーケ語を覚えろと強制するのも違う。

相手の言語を理解しなくても一目で理解できるような仕組みを作ることが解決の道だと気がついた。

伝票リニューアル

それならば、マーケと経理の間を行き交う伝票に、経理語とマーケ語の両方の言語を書けばいい。

これまでは会社全体で同じ経費伝票を使っていたのだが、マーケ専用伝票を作った。
「クライアントに請求できる用」「クライアントに請求できない用」の2種類を作り、記載すべき場所がわかりやすいように罫線も工夫した。

マーケにも経理にも使いやすい伝票を目指して、作っては改善し、また改善し、と何回かリニューアルをしつつ、ついに完成した。

2.クライアントに請求する時→情報の共有

この部分の解決策は、マーケの営業アシスタントさん達が生み出してくれた。

クライアントへの請求漏れが発生する原因は、どの経費をクライアントに請求するかの情報がPMさんから営業アシスタントさんに共有されてないことにあった。

営業アシスタントさんはPMさんと連絡を密に取るようにしたりと情報を共有するために頑張ってくれたが、どうしても限界がある。
そこで営業アシスタントさんが思いついたのが、全ての経費の情報をいったん営業アシスタントに集める、という方法だった。

これまでクライアントに請求できる経費が発生すると、PMさんは経理に伝票を送り、営業アシスタントさんには個別に連絡を取って、それぞれと情報を共有していた。
それをまず営業アシスタントさんに情報を集め、営業アシスタントさんから経理に伝票を送ることにしたのだ。

伝票フローのリニューアル

私が作ったマーケ専用伝票はエクセル製だったが、印刷業者により複写式の伝票に生まれ変わった。

3枚複写の伝票を記入するのはPMさんだ。
PMさんは1枚を自分の控えにし、残りの2枚を営業アシスタントさんに送る。
営業アシスタントさんは1枚を自分の控えにし、原本部分を経理に送る。

経理は、複写の紙がついたまま伝票が届いた時は、営業アシスタントさんに送り返す。

営業アシスタントさんを飛ばして情報が行き交うことが無くなり、新規のズレの発生がほぼ無くなった。
また、PMさんと営業アシスタントさんが同じ情報を持っているので、私が調べ物をするときにPMさんに確認することも格段に減った。

ここまで、1年

私がマーケの納会に出てから、ズレが起きないフローが完成するまで、だいたい1年くらい掛かっている。
当初の予定よりも、随分と時間が掛かった。
多くの人の協力を得て、少しずつ進んで、ようやくだった。

新規のズレの発生が止まることで、過去の未収入金の調査もどんどん進むようになった。

次回に続く

次の記事は→B/S照合、マーケ編完結。未収入金、ついに解明!

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