B/S照合、マーケ編完結。未収入金、ついに解明!
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未収入金のズレ、過去編
これまでは新規に発生するズレを解消することに力を注いでいたのだが、新規のズレが発生しなくなったことによって、ようやく過去のズレに取り組めるようになった。
なお、このときも部長に「新規のズレは発生しなくなったから、過去は免除して」とお願いしたのだが、冷たい目で「は?」という返事を貰っている。
ズレだけを見るな!
このとき部長から何度も言われたのは、「ズレだけを見るな。全体を見ろ」だった。
全体というのは、マーケの未収入金の全てということだ。
私はマーケの未収入金をプロジェクトごとに分解して、残高にズレがあるプロジェクトだけを見ていた。
それを部長に「非効率だ」と怒られていたのだ。
どうしてだろう?
ズレを解消するのが目的なのだから、ズレを見ていけばいいのではないだろうか?
部長の言っている意味がわかったのは、しばらく経ってのことだった。
ズレだけを見ると起こること
過去の未収入金のズレを解明していく過程で、とあるプロジェクトの経費が、違うプロジェクトの経費と混ざり合っていることが判明することがあった。
特に販促キャンペーンで多かった。
クライアントの販促キャンペーンは、名前を変えながら連続して行われることがよくある。
春には「新入学キャンペーン」で、夏には「夏休みキャンペーン」、秋には「読書の秋キャンペーン」、冬には「年末年始セール」といった具合だ。
お客様の視点では春キャンペーンの終了後に夏キャンペーンが始まるが、舞台裏では春キャンペーンの追い込みをしながら、同時に夏キャンペーンの準備に取り掛かっている。
キャンペーンの切り替え時期に発生する経費は、春のものが夏のものとして申請されていたりと、入れ違うことが起きていた。
例えば、未収入金の残高上は、春キャンペーンではズレはなく、夏キャンペーンでズレが起きていたとする。
そこで夏キャンペーンのズレを調べたところ、春キャンペーンの経費が混ざっていたことが判明する。
春キャンペーン終了時、その経費は夏キャンペーンのものとして扱われているので、クライアントへ請求もされていない。
要するに、春キャンペーンでは経費を計上漏れして、なおかつクライアントにも請求漏れをしていたため、ズレがないように見えていたわけだ。
しかし、実際にミスが起きたのは春キャンペーンであり、夏キャンペーンではない。
ここで、残高にズレがあるキャンペーンしか見ていないと、困ったことが起こる。
帳簿上では春キャンペーンではズレが起きていないため、PMさんに「春キャンペーンは問題なしです」と告げる。
PMさんは安心して、春キャンペーンの資料をしまい込む。
ところが、その後の夏キャンペーンの調査で、春キャンペーンのズレが発生していることがわかる。
「春キャンペーンが請求漏れしていました」とPMさんに告げるが、PMさんからしてみたら「春キャンペーンは大丈夫と言っていたじゃないか!」となる…。
当時、PMさんのことはかなり混乱させてしまった。
また、自分自身でも、一つのプロジェクトを調べて、そこから違うプロジェクトのミスが紐付いて出てきて、そのプロジェクトを調べて…とやっているうちに、何を調べて何を調べてないのかわからなくなってしまった。
何が何だかわからないので、結局、最初から全部調べなおしすることになってしまった。
最初から「全部調べる」と覚悟を決めて、端から端までしらみつぶしにしたほうが、最終的には効率が良かったのだ。
未収入金:マーケ、解明!
そんなこんなでまた一年ほど掛けて、全ての経費について調べることができた。
マーケで発生した未収入金を一つずつ、これは請求済み、これは請求不可、これは違うプロジェクトの経費、これはクライアントが勝手にディスカウント、これは…と、発生した経費の行く末を全部調べきったのだ。
最終的に、どうしても行く末がわからないものは2つあったが、これは部長も許してくれた。
私が3年以上の時間を掛けて取り組んできたマーケの未収入金のB/S照合が、ついにきれいになったのだった。
次回に続く
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