キティを貫き、理想を追求するハローキティの生き方
先日、サンリオピューロランドに行ってきた。
人生初のピューロランドだ。
キティ愛溢れる友人にお願いして連れて行ってもらったピューロランド。
興味半分で行ったにも関わらず、予想を遥かに超えて楽しめた。
いや、楽しめたと言うよりも、もう一回行きたいと、熱烈な思いを抱くまでに至った。
この記事は、47歳にして初めてハローキティの魅力に気がついた私のピューロランドの体験記である。
カワイイ歌舞伎で得た気づき
到着して最初に向かったのは、「Kawaii歌舞伎」というキャラクターショー。
ハローキティが歌舞伎に挑戦するという時点で、脳内は「???」となったが、このショーがまず私の思考回路を引っくり返してくれた。
—ここから先、ネタバレがあるので、知りたくない方はここを押して先に進んでください—
カワイイ歌舞伎の題材は桃太郎。
ハローキティ一座が演じる寸劇「桃太郎」の鬼役の中に、本物の鬼が混ざっていて、さあ大変!というのがあらすじである。
鬼と戦わねばいけないのだが、ハローキティは暴力は好まない様子。
そこで取られた戦法が、豆を投げるというもの。
節分かよ!
そこから話が進み、行き詰まってどうすればいいか分からなくなったときに、突如、平賀源内が出てきて手を差し伸べる。
桃鉄かよ!
(しかもこの平賀源内は、坂東巳之助が演じている)
そこからスーファミ時代のドラクエ(ファイナルファンタジーかも)を彷彿とさせる世界に飛んで…と、説明すればするほど話が破綻する謎展開を見せるのだが、最後には感動のフィナーレを迎える。
理屈っぽくて筋が通ってないことが苦手な私には、完全に理解できない世界が40分たっぷり繰り広げられた。
(なお、中村獅童も声で出演している。歌が上手い)
上演中、ずっと野村克也監督のことを考えていた。
ノムさんは野村沙知代と新庄剛志をとことん愛したが、この2人は人間観察力に長けてるノムさんでも理解できなかった自由な人だ。
だから魅力を感じて、どんなに悪妻であっても、どんなにやんちゃな選手であっても、無条件に愛した。
私にもこれが求められているんだろうと思った。
ノムさんを引き合いに出すのは僭越であるが、私も余計なことを考えずに目の前に起きることを素直に受け入れて、ただ楽しみ、愛することが必要なんだなと、心の底から感じたのだ。
それに気づいてからは、ひたすら頭を真っ白にして楽しんだ。
マイメロディとクロミ(誰だ?)のカレーを食べ、持ち帰りOKのマイメロマグカップに入ったデザートも食べた。
時間が許す限りアトラクションを回り、閉園時間まで完全に満喫した。
ひたすら楽しかった。
ハローキティとして生きるハローキティ
春休みのせいか予想以上に混んでいて、アトラクションを全部体験できなかった。
それが残念で、もう一度行きたいと思った。
そして、そんな私に自分でも驚いた。
ディズニーもUSJも行って散々楽しんだ帰り道に「乗れなかったものもたくさんあるけど、もう一生分遊んだから大満足」と思った私が、ピューロランドにはもう一度行きたいと感じるとは何故だろう。
施設の規模は比べようもないほど違うのに、広くて回りきれなかったディズニーは満足して、狭くて何周もできたピューロランドにはもう一度行きたいと思うなんて、何がそうさせたのだろう。
この答えは、同行してくれたハローキティ愛溢れる友人の一言がきっかけで判明した。
友人はこう言った。
「キティちゃんはもういつでも全力で常にキティちゃんで、その姿が眩しい」と。
ピューロランド内には様々なショーやアトラクションがあるが、全てにおいて共通するメッセージが貫かれている。
それはサンリオの企業理念でもある「みんななかよく」だ。
サンリオの企業理念のページから一部抜粋する。
理解しあい、仲よくしていくために大切なのは、まず自分から相手を信じ、尊敬し、愛すること。そして、そうした気持ちを表現すること–これが、サンリオを支える考え方です。
ハローキティは、この理念を体現する存在だった。
いつでも皆を信じ、尊敬し、愛し、惜しみなくその気持ちを伝えてくれた。
ハローキティと一緒にいると「うれしい!」「ありがとう!」「みんなだいすき!」「みんなすてき!」という言葉が耳に入ってくる。
とてもポジティブで前向きで、心が暖かくなる言葉たちをたくさん聞くことができる。
実は、あるショーで、気になったセリフがあった。
ハローキティがクイーンの座を掛けてダンスパーティーで踊るという内容のショーでのことだ。
そこでキティは他のキャラクターを抑えてクイーンに選ばれるのだが、彼女は言うのだ。
「みんな頑張って、みんな素敵だった!だからみんなもクイーンよ!」(セリフは意訳)
そしてキティは名誉を皆と分かち合い、皆で踊る。
キャラクターの中には「みなと一緒なんて…。私一人がクイーンがいい…」(セリフは意訳)とぼやく者もいるのだが、それでも最後は皆で仲良く踊るのだ。
突然だが、私は野球が好きだ。
私の応援しているオリックスというチームは、2021年はたまたま優勝したが、それまでは断トツに弱いチームだった。(今年も安心はしていない)
もしオリックスが最下位だった2020年に、絶対的強者のソフトバンクホークスが「みんな頑張った!だからみんなが優勝だ!王者だ!」と言ったら、私はどう感じるだろうか?
馬鹿にされているように感じて、苛立ちしかないような気がする。
もし私が選手だったとしたらどうだろうか?
最後まで戦い抜いたこの一年は何だったのだろうかと虚しくなる気がする。
下手な茶番劇に巻き込まれたと、ため息が出ると思う。
だから、最初にキティが「みんながクイーン!」と言い出したときは「え?」と思った。
その後に「私一人がクイーンがいい」と違うキャラクターに言わせているということは、私のように引っ掛かる人を想定しているのだと思う。
けれども、嫌な思いはなかった。
嫌な思いをしないのは、猫のキャラクターが言っているせいなのだろうかと考えたが、ピンとこなかった。
もし、現実世界に住む現実の人間で、このセリフを言っても嫌味に感じないのは誰だろう?
考えて考えて、思い浮かんだのが愛子様だった。(ちょうどご成年会見をされていた)
愛子様だけでなく皇族の皆様であれば、こういうセリフを仰られても、スッと心に入ってくるだろう。
それは、天皇ご一家が、日本国の象徴として、国民について常に心を巡らせ、祈られる姿を見ているからだ。
皇族の皆様に直接お会いしたことはないが、彼ら彼女らが自分たちは一歩引いて国民を立てる姿を想像することに、私の中では全く違和感はない。
そして、ハローキティはサンリオの象徴であり、今では世界共通語となった「Kawaii」文化の象徴でもある。
だが、昔はハローキティはただの猫のキャラクターだった。
彼女は1974年生まれ。私と同い年だ。
私が幼い頃は、パティ&ジミーやマイメロディと並ぶただのキャラクターの一種だったはずが、いつの間にかずば抜けた人気を獲得し、サンリオとカワイイ文化を背負って立つ存在となった。
その間、何度も衣装を変え、イメージチェンジも繰り返してきたが、キティはキティで有り続けた。
キティはあまりに多くの企業…企業どころか、タコ焼きからYOSHIKIまで…とコラボレーションするため、「仕事を選ばない」とも言われている。
だが、キティ曰く「全部選んでいる!」とのことらしい。
やりたいと思ったことを全部選んで、今があるのだそうだ。
サンリオ社長の言葉を借りると、キティとのコラボレーションは売れていない良いものを助けるために行われている一面もあるのだそうだ。
みんななかよく、助け合う。
このサンリオの理念を、キティは実現しているのだ。
サンリオとカワイイの象徴として、キティは体を張って働いているのだ。
いつ、いかなるときも、相手が誰であっても、「みんながなかよく」のためにその身を投げうつことができるのがキティなのだ。
常に思いを持ってキティちゃんが行動しているからこそ、「みんながクイーン!」と言い出しても違和感がないのだ。
私の友人が言うように、キティはどんなときも常に全力でキティで在り続けている。
数あるキャラクターの一つだったキティが、今のこの道に至るまでのことを思うと、ただのキャラクターとは思えないほど尊敬の気持ちが湧いてきた。
サンリオとカワイイ文化の象徴という宿命を背負って存在するキティ。
それなのに、その姿には気負いは全く感じない。
ただただ、かわいい。
そのキティが中心にいるピューロランドが、みんな仲良く、思いやりに満ちた空間となるのも当然の結果だ。
全く肩に力は入らず、柔らかく、温かい空間で、でも奥底には理念が根を張っていてしっかりとした土台を作っている。
ピューロランドから感じる格別な居心地の良さは、ハローキティが生み出しているのだ。
理念。理想。
時には綺麗事と呼ばれてしまうこともあるかもしれない。
けれども、綺麗事を言い続けることしか、理想を叶える方法はないと思っている。
誰一人として綺麗事を言わなくなったら、汚い事が蔓延するだけじゃないだろうか。
でも、綺麗事を言うのは怖い。
綺麗事を体現するのはもっと怖い。
諦める人が増えれば増えるほど、夢を見て、理想を掲げ、理念を唱えることが怖くなる。
だけど、キティは諦めない。
「仕事を選ばない」と馬鹿にした口調で言われようとも、自らの理想を叶えるためにできることは全部やるのがキティの生き方なのだ。
非日常感でいえば、ディズニーランドの方が上だ。あそこはまさに夢の国。
でも、日常に近いからこそ、ピューロランドには価値がある。
日常の隣にある肩に力が入らない優しい空間でありながら、理念を貫くキティちゃんがそばにいる場所。
あの居心地の良さが恋しくて、もう一度ピューロランドに行きたいと考えている。
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