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「社長って孤独なんだよ」と社長に言われて社内の翻訳者を目指した話

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社長って孤独なんだよ。

10年以上前の話だが、当時、私が働いていた会社の社長がぼそっとつぶやいた。
「社長って孤独なんだよ。」
その社長は従業員たちに慕われ、愛されていたので、そんなことを言うことにとっても驚いた。

社長にそう伝えたら、こう返ってきた。

「社員総会のとき、ステージ上から1000人以上の従業員を見て、この人たちとその家族の生活が自分にかかっているんだと改めて思って身震いした。
 そりゃ、いろんなことを決める時、周囲の人に相談するよ。
 でも、最後に決めるのは僕一人なんだ。」

当時の私には、社長が言ったことがピンとこなかった。
じゃあもっと周りの人に相談すればいいんじゃないの?と思った。

孤独の理由

その言葉の意味は、社長を見ていて(経理課は社長の目の前に席があった)、少しずつ分かってきた。
社長は、私にでさえ「日本橋支社と池袋支社を閉鎖したらどうなると思う?」などと聞くくらい、周囲の意見を参考にする人で、大きな決断の前には、前社長や専門家など多くの人の意見を聞いていた。
それなのに「決めるのは僕一人」と言ったのは、決断の結果については、自分が100%責任を取る覚悟ができている、という意味だったのだ。

そして社長がそこまでの覚悟を持って決断しているなんて、私を含めて他の社員は思ってもいなかった。
それが、社長の孤独感の理由だろう。

決断をする側と決断に従う側とでは、全く視点が違うことに、そのとき気が付いた。
「社長は現場のことを全く知らないで、好き勝手なことばっかり言うんだから。」
と口をとがらせる私だって、社長の気持ちを知らなかったのだ。

社長の思いを伝える翻訳者になりたい

そのことに思い至って、社長がどういう思いでその決断をしたかを、社内に伝える翻訳者になりたいと思った。
少しでも社長の孤独感をやわらげたかったのだ。
この会社では、それはうまくいかず、全く役に立てないまま終わってしまったが、この経験はその後に活きた。

翻訳者として心がけていること

小さい会社に勤めていると、社長からいろいろと経営に関して意見を求められることがある。
その時は遠慮なく思うことを言わせてもらっている。
思っていること、特にリスクの懸念に関しては、きちんと言わないと後々まで不安が残ってしまう。

そして、私がしていることは社長が決断するための材料を提供しているだけだ、と割り切るようにしている。
そう思わないと、自分の意見と違う決断をされた時に、イラッとするからだ。

社長が迷っているうちに意見を全て言うようにして、決断の後は反論しないように心がけている。
社長の中で、責任と決断がセットになっているならば、それを受け入れるしかない。
(一瞬、話は逸れるが、社長が責任を取る気のない会社で働くのは、しんどい。
 気の強い他責社長の会社はブラックだし、気の弱い他責社長の会社は、それに付け込む腹黒い人が暗躍する。)

もし社長が、全ての責任を取る覚悟で決断したならば、その決断に込めた思いを自分のものにする。
社長には、私の納得がいくまで、その決断に至った理由を話してもらう。
納得したら、他のメンバーにもそれを伝える。

翻訳者として仕事を楽しむ

会社が何かをするときに、「どうしてそれをするの?」と誰かに聞かれたときに「社長がそう言ったから」とは答えたくない。
臆病な私は、多くの従業員の生活をかけた決断をする側にはなれそうにないが、かといって、社長に言われたからと、渋々する仕事は面白くない。
その仕事をする意味を理解したうえで、自分のこととして動いたほうが、仕事は楽しいのだ。

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