落合楼村上の文化財ツアー。日本の素晴らしいものを次世代に引き継ぐということ


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国登録有形文化財の宿

落合楼村上は、宿の木造部分の9割が国の登録有形文化財に指定されている。
そして指定の部分は昭和8年から12年にかけて作られたものだそうだ。

この建物は伊豆の金山のオーナーが建てたものである。
金山の権利の売却金をもとに、贅を尽くして建てられた。
昭和恐慌後の不景気な時代に、仕事のない地元の職人のことを思って建築されたとも言われている。
職人たちは持てる技の全てを注いで建てたのだろう。
 

毎朝10時から、この建物を見て回るツアーが開催される。
宿泊者は無料で参加できるこのツアーに参加した。

玄関棟

落合楼村上は、玄関がまず文化財だ。
入り口を入ると、広い玄関が迎えてくれる。

入母屋造・平屋建・桟瓦葺。
梅型にくり抜かれた飾り棚や欄間が上品だ。


本館棟

客室が並ぶ宿泊棟も文化財だ。
つまり、宿泊客は文化財に宿泊することができるのだ。

例えば、「松一」という部屋にある、「富士山と干し網」の組子細工。
富士山に、金運や幸運をすくいとるという意味の網が組み合わされた縁起柄だ。
しかし、造り方は秘法とされてきたため国内で作ることのできる職人は、残り少ないらしい。

眠雲亭

数寄屋造りの眠雲亭にも宿泊ができる。
こちらでも美しい細工の小障子を楽しむことができる。

階段棟

多くの配膳を運ぶ従業員とでもスムーズにすれ違えるように配置された広い階段もまた文化財だ。

 

こちらの天井の独特の木目は、屋久杉だそうだ。

宴会場

圧巻の広さの宴会場は、108畳。
途中に柱がないため、見通しがとてもいい。

床柱は直径1尺4寸もある紫檀だ。
木のウロに見えるのは、全て彫刻。
これだけの彫刻を施すには、元々は相当の太さだったのだろう。
同じく紫檀の床框は、歪みが出ないように何十年もかけて下処理されたものらしい。

108畳分の広さを囲む障子戸にも手入れがしやすいように細かな細工がされている。
桟の部分が斜めに削られているため、見た目を細くなり圧迫感を少なくし、埃が溜まりにくいそうだ。

応接棟

今回は中に入れなかった応接棟だが、この赤い屋根瓦が特徴だ。
実はこれは鉄でできた瓦だそうだ。
鉄を薄く伸ばし、軽さと丈夫さを両立させているらしい。
戦時中の金属供託から守られた貴重なものだそうだ。

旧オーナー邸

オーナーの住居部分にも贅沢な細工が施されている。

蜘蛛と蜘蛛の巣の障子。
蜘蛛の目には宝石がはめ込まれている。


 

他の小障子も意匠が凝っていて、どうやって作られているのかを考えるだけで時間が経っていく。

文化財を守るということ

現オーナーの村上さんは、最後にこう話した。

「国の文化財に登録されているとは言いましても、国や自治体から維持管理費の助成はほとんどありません。このガラス1枚・柱1本・組子細工のそれぞれは、ご利用いただきました皆様のおかげで守られております。」

そして、他にも多くの国登録有形文化財があること、その多くが維持管理に苦労をしているだろうことを教えてくれた。

「1軒でも多くの文化財に足を運んでいただくことこそが、その場所を守ることに繋がり、さらには日本の文化を守ることに繋がることを知っていただきたいと願っております。」

素晴らしい建物を見て、「うわあ、すごい!」と感嘆して終わらせてはいけない。
次の世代に残すためには、宿や施設を利用することはもちろん、語り継いで多くの人にも足を運んでもらうように働きかけることも必要なのだ。

落合楼村上は、ただ泊まるだけではなく、日本の良きものを守ることを考えさせてくれる宿だった。

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