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しずかみちこ
Gallup認定ストレングスコーチ
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)の専門家として、個人やチームが「強み」を活かして最大の成果を生み出すためのコーチングと研修をしています。

リクルートスタッフィングで経理したり、レアジョブの管理部門立ち上げたり、ブラック企業に入ったり、上司の横領見つけて辞めさせられたり、人の会社2つ作ったりと波乱万丈な職歴の後、独立して今に至ります。

投資と経理スキルでお金をデザインし、ストレングスファインダーで強みを活かしたら、人生が楽しくなりました。

趣味は野球観戦と美味しいものを食べること

収集心・最上志向・戦略性・未来志向・分析思考
ストレングスファインダーのnote
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茅ヶ崎への引っ越し編(後篇)取引先の方の死が教えてくれたこと

シリーズ「会社員の歩き方、私の場合」の過去記事リストは→こちら

前の記事はこちら→茅ヶ崎への引っ越し編(前篇)取引先の訃報とマンション住まいの困った隣人

目次

ここでは死にたくない!

隣人(女)が入院することで、隣家の深夜の大喧嘩が無くなることを期待していたのだが、すぐに女は退院してきた。
そして、取引先の方が亡くなったことを知ったこの夜もまた大喧嘩が始まったのだ。

同僚にはこの隣人のことを話していて、「すぐに引っ越せ!」と言われていた。
しかし、心も身体も疲れ切っていた私には現状の生活を変える気力がなく、「そうだよねー、でもー」とうだうだしていた。

だけど、この夜、思ったのだ。
「こんな家で死にたくない!!」

死というものは

取引先の方は、部屋の布団で眠っているときに心臓に発作が起きて亡くなった、と聞いた。
普段どおりの一日を終え、普段どおりに眠りにつき、普段どおりの明日を迎えるつもりだったのに、そのまま死んでしまった、ということだ。

一方、この頃の私は、2つ前の記事で書いたように、一人になると「こんなダメな自分は生きている価値がないから死んでしまいたい」と考えていた。

けれども、取引先の方の死が、私に教えてくれた。

「死」とは自分が選ぶものではなく、望んでいなくても訪れるものであり、それは年齢に関係なく、いつ来るかわからないものである。
「死にたい」とか「死んだら迷惑がかかる」なんてぐちゃぐちゃ私が考えているとは全く無関係に、死は、誰にでも訪れる可能性があるのだ。
私だって、今ここで目を閉じたら、そのまま死んでしまうことだってあるのだ。

隣の家では大喧嘩が続いている。
その音をかき消すような大きな声が、私の中に響き渡った。
「私はここでは死にたくない!!!」

死は自分で選べるものではない。
私が選ぶことができるのは、どの場所でどうやって生きるかだけなのだ。

引っ越そう、茅ヶ崎に

失われていた気力が戻ってくるのを感じた。
「ここはもう嫌だ!引っ越そう!!」

そう決めた瞬間、こうも思った。
「茅ヶ崎に引っ越そう!」

茅ヶ崎?なぜ茅ヶ崎?
そもそも茅ヶ崎ってどこにあるんだっけ?

このとき、なぜ「茅ヶ崎」という地名が思い浮かんだのか、今でもわからない。
茅ヶ崎には行ったことはなく、行きたいと思ったことすらない。
友人知人が住んでいる訳でもなければ、海が好きというのでもない。
サザンオールスターズにも加山雄三にも思い入れはない。

その証拠に「茅ヶ崎って鎌倉だっけ?」というトンチンカンな疑問をこのとき抱いている。
(茅ヶ崎も鎌倉もどちらも「市」で、隣同士ですらない)

まさに天から降ってきたとしかいいようがないのだが、とにかく「茅ヶ崎」という地名が頭に浮かび、それを打ち消す他の引越し先候補は思い浮かばなかった。

眠るのを諦め、布団から出て、電気を点け、時刻表を開いた。(私は鉄道好きで、常に紙の時刻表を備えている)
会社のある新橋から茅ヶ崎までは、東海道線で1時間弱。
雪が谷大塚の家から会社まではドアtoドアで45分なので通勤時間は長くなるが、乗り換えがない分、ゆっくり本でも読めるだろう。

次に神奈川県の地図を開いた。
私の理想の住まいの条件は、駅前にスーパーがあること、徒歩圏内に図書館があること、駅ビルに本屋があること、だ。
茅ヶ崎のページを見ると、駅前にイトーヨーカドーがあり、図書館も歩いて10分くらいのところにあった。
駅ビルに本屋があるかは地図ではわからなかったが、駅ビルの名前が「茅ヶ崎ルミネ(当時)」だったので、本屋くらいあるだろうと勝手に推測した。

窓の外が明るくなってきた。
土曜日の朝が来た。

私はさっそく茅ヶ崎に向かうことにした。

茅ヶ崎へ

当時の東海道線はクロスシートの113系が主流で、土曜の朝は電車も空いており、4人掛けのボックスシートを独り占めできた。
茅ヶ崎まではちょっとした旅気分だった。
1時間近い乗車時間はあっという間に過ぎた。

茅ヶ崎駅に降り立った瞬間に、「ここは私の場所だ!」と感じた。
空気に懐かしさがあったのだ。
海と山に挟まれた土地に吹く風の匂いが、私の故郷の仙台によく似ていた。

茅ヶ崎駅を出て、そのまま真っすぐ歩いた。
20分ほど歩いただろうか。
目の前に海が現れた。

天気が良く、波は穏やかで、水面がキラキラと光っていた。
ぼんやりと海を眺めていた。
海を眺めていると、隣人のことも、取引先の方のことも、抱えている仕事のことも、全部遠い世界のことのように感じられた。

しばらくの間、海を眺めていた。
心が決まった。

ゆっくりと立ち上がり、駅に向かってもと来た道を歩いた。

途中、不動産屋さんに入った。
いくつか賃貸物件を紹介してもらった。
その場で内見をした。
東京より家賃相場が安く、今の家と同じ家賃で条件のいい部屋がたくさんあった。
その中で1つ、とても気に入った物件が見つかった。

茅ヶ崎に引っ越そうと思いついてから12時間も経っていないのに、茅ヶ崎の住人になることが決まったのだった。

いざ、引っ越し

時は9月の終わり。
茅ヶ崎の家を決めてすぐに引っ越し屋に申し込んだのだが、転勤シーズンなので、最短で10月の平日しか無理だと言われた。

10月の平日。
経理は中間決算で大忙しだ。

それなのに、同僚は私が休むことを許してくれた。
「しずかちゃんがあの家から離れることの方が決算より大事だから」と一番心配してくれた同僚(私を経理に呼び寄せてくれたあの同僚だ)が言い切ってくれた。

ありがたく休みをもらい、引っ越しをした。

新しい隣人、新しい生活

新しいマンションは、オートロック付きでエレベーターもあり、これまでの家とは比べ物にならないくらい快適だが、1フロアに2部屋しかないので、これまで以上に隣人との関係が重要になる。

人間関係は最初が肝心だから、丁重に挨拶しよう。

手土産を持って訪ねた隣の家は、10月だと言うのにクリスマスツリーが飾ってあって不思議に思ったが、悪い人ではなさそうだった。
40歳前後と思われる夫婦で、背は低いが、とてもガタイのいいご主人と、背が高くて、化粧が水商売風に派手だが美しい奥さんの二人暮らしだった。

引っ越しの挨拶の風習がないのか、私の訪問に戸惑った様子を見せていたが、無難に世間話をこなした私は満足だった。

この家から、新しい生活が始まる!
希望に満ち溢れた気持ちで、茅ヶ崎暮らしがスタートした。
 

余談だが、この新しい隣人のご主人がヤ◯ザであり、突然、堅気の女が、1人で、笑顔で、手土産を持って、ヤク◯の家を訪問してきたことに対して、相当な警戒と困惑を感じていたということを、私が知るのは数カ月後のことである。

次回に続く

次の記事は→ヤクザの隣人と過ごす、楽しいマンションライフ

シリーズ「会社員の歩き方、私の場合」の過去記事リストは→こちら

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