ブルノの地下納骨堂で日本では決して見られない光景に出会う プラハ・ブルノ・ウィーン旅-8
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前回、プルノ名物の地下通路を探求する予定が塔に登る羽目になってしまった我々だが、こうなると意地でも地下に潜りたくなる。
聖ヤコブ教会を出て、ブルノ本駅方面にほんの数m進んだ先に、地下通路への入り口はあった。
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地下納骨堂
納骨堂への入場料は140コルナ(≒700円)(カード払い可)である。
地下道の中は冷んやりとしている。
『女神異聞録ペルソナ』のベルベットルームのような何とも言えない音楽がかかり、ときどき水がポタリと上から落ちてくるのも、地下道らしくて良い。
大理石で掘られた墓標めいたものに、骸骨のレリーフがあって、「きゃあ、リアル!」なんてかわいく怯えてみたりする。
ところが、その直後、言葉を失うことになる。
地下道内はフラッシュを焚かなければ写真撮影OKなのだが、写真を撮る気持ちになれない光景が広がっていた。
「納骨堂」と聞いて、骨壺がずらりと並んだ様子を想像していたが、それは単なる日本人の思い込みだった。
目の前にあるのは、ただ、ひたすら、骨だったのだ。
日本の城の石垣を人骨で再現した、という表現が一番近いだろうか。
頭蓋骨や大腿骨といった骨を、器用に組み合わせて積み重ね、壁や柱ができている。
ここにあるのは、1600年〜1700年頃の人骨が5万体。
黄色味を帯びている骨はコレラによって亡くなった人で、赤っぽい人はペストによって亡くなった人、それ以外にも30年戦争やそれ以外の紛争で亡くなった方達だそうだ。
絶句。
もう言葉を発することはできず、ただその空間を見ていた。
明るい広場の地下に、何百年もこういった空間を忍ばせているとは。
ブルノというのは一筋縄ではいかなそうな町である。